よしなしことを、日々徒然に……
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 吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。〜日光浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません〜
2025年04月29日(Tue) 
読書記録:
■吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。〜日光浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません〜 253.緋色の宝石
 https://ncode.syosetu.com/n2539hw/

時は2062年。
とある機械音痴の売れっ子作家に、担当編集が頭を下げていた。
「先生がアナログ派なのは知っているのですが……弊社としても、手書き原稿を受け取って推敲し、デジタルデータへ変換する手間がかかりますので、その点を改善いたしたく」
「うん、本当、いつも申し訳ないとは思ってる……」
山奥の、それこそ電車、バスと乗り継いで半日がかりのところへ通い続けるのはさすがに大変だろう。しかし以前ワープロソフトを使用しての電子入稿を試みた際は、原稿を執筆するのにも四苦八苦。完成したデータを危うく消失させかけたうえ、機械を使うことに必死になった結果、内容は目も当てられないほどひどかったという顛末である。
そんな彼へと担当が提案したのは、フルダイブ型のVRゲームであった。
いわゆる剣と魔法の世界で狩りや生産をしつつ様々なクエストをこなしていくというものだが、このゲーム内で紙に書いたものは、そのままデジタルデータへと変換することができるのだという。
要するに、ゲーム内であれば、今まで通り原稿用紙に執筆しても、出版社の方はデジタルデータで受け取ることが可能。しかも遠距離をわざわざ取りに来る必要もない、と。
実はそのゲーム「 God of World 」には政府の協力もあり、ゲーム内の一部にオフィス街が設けられているのだという。一部の企業などでは既に、VR空間での業務が開始されているのだそうで。
「うーん……僕ゲームは一切やったことが無いからよくわからないんだけど、これは始めてすぐに執筆できる環境が整うのかい? 前にいくつかVRMMO日常系小説を読んでみたけれど、確か冒険してお金を稼いだりしないといけないんだよね」
そう渋る作家……蓮華だったが、そんな彼へと担当編集は決定的な言葉を告げる。
「ゲーム内であれば、日光もお料理の方も、楽しめるのではないかと」
料理を作るのは好きだが、味覚音痴で食べることがほとんどできず、日光アレルギーのため昼は家から出ることもできない。そんな彼でも、存分にそれらを楽しむことができるのだ、と。
そのあたりはちょっとした事情があるため即答は避けた彼だったが、しかしそれらには非常に興味をそそられた。
結局、長らく連絡を断っていた『仲間』と会い、諸々の準備を整えた彼は、機械音痴故にほぼ自分の姿そのままでキャラメイクし、ゲームを始めてみた。
「ん? 小説とかにあった、チュートリアル的なものはないんだろうか。何かしらの行動をとる度に説明が始まるタイプかな?」
西洋ののどかな田舎町といった場所に現れたは良いが、誰も話しかけてくれないし、地面に矢印がついたりしている訳でもない。自力でNPCと会話していかなければならないのかと、手近な人物相手にコミュニケーションを開始した彼だったが……しばらくゲームを堪能したのち、ログアウトしようとしたところでさすがにおかしいと気がついた。
ログアウトボタンを押す……どころかシステムメニューを開くことすらできないのだ。幸いこのゲームは一定時間毎に強制排出されることになっているため、戻れないという心配はないのだが。
まあ、詳しくは王都のオフィス街で、担当さんと合流した時に聞けばいいか、と。そのままのんびり日光浴や料理を楽しみつつ住民(NPC)達と交流し、王都へ向かう隊商の護衛となった彼だったが……初期設定で配信がONになっていたことにより、その斜め上の行動が動画視聴者の間で少しずつ話題となり始めて……

いわゆるVRMMOで斜め上スローライフ……と見せかけて、けっこういろいろ隠し玉があります。書籍化・コミカライズ済、連載中。
ひとまず主人公は吸血鬼。しかも日本最古だろうと言われる、平安末期〜鎌倉時代に転じた存在。諸事情により血液を飲むと吐いてしまうため、身体能力は人間並みで太陽の下にも出られないミソッカス……と、本人は思っていますが、人間並みの身体能力にも関わらず、刀があれば普通の吸血鬼と渡り合えちゃうあたり、さすがは実戦経験豊富な鎌倉武士なんですよねえ。普段はほわほわぽやんな天然さんなのに、敵と決めた相手には全く容赦しないですし。
あと最初は『仲間』として登場する、日本の吸血鬼を束ねるカリスマ美丈夫!的な洋士さんも、話が進むに連れてどんどん愉快な人になっていきます(笑)
いやあ、良いわあ。疑似家族で突き抜けたファザコンww
ゲーム内と現実世界が並行して進み、そこへ配信を見ている視聴者達の掲示板回や動画コメントも挟まってきます。個人的に掲示板で主役がざわざわされる系は大好きなので、逆にコミカライズでは現状掲示板要素がほとんどなくなっているのが残念です(´・ω・`)
あと鎌倉時代の知識が皆無なので、蓮華さんが語る「あの歴史は実は……」というのがよく判らないのも無念。「鎌倉殿の13人」を見ていたら、もうちょっと理解できたのかなあ。
ともあれ、現実世界では他種族と人間との関係変化の引き金を引き、遠い過去から続く因縁も絡まってくるわ、ゲーム世界では意図せずしてトッププレイヤーの道を邁進するわ。
洋士さんいわく「生きることに飽きていた」「いつ消えるか判らない、動く屍のようだった」という時が止まったかのようだった蓮華さんが、ゲームを始めることで新たな生活をエンジョイしているのを、私も一視聴者としてほのぼの眺めている気分になれました。
ただこれ、まだ先が長そう……追い続けていけるかな……?
No.4343 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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