よしなしことを、日々徒然に……
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 Web版・追放された元令嬢、森で拾った皇子に溺愛され聖女に目覚める
2023年02月06日(Mon) 
読書記録:
■Web版・追放された元令嬢、森で拾った皇子に溺愛され聖女に目覚める
 https://kakuyomu.jp/works/16816452219645544444

血の繋がらない薬売りの祖母ラミアと、森の中で二人暮らしていた少女キャナリー。
つかみ合い罵り合いは当たり前。時に飛び蹴りを食らわし、乏しい食事を奪い合うような生活だったが、それでも寄る年波には祖母も勝てず。
寝ついてあと数日も生きられるかどうかという状態になったところへ、なぜかいきなり子爵家の使いがやって来た。なんでもキャナリーを、養女にしたいという。
『そうさのう。最後にたらふくうまい飯を食って、浴びるようにワインが飲みたいのう。それと、腰が痛くてかなわんから、やわらかい布団が欲しい。その望みが叶うんなら、その娘はくれてやるわい』
そうして、死ぬまでの数日間にシチューとスープをそれぞれ鍋に八杯と、ワインを十七本飲み干したラミアは、ふかふかの綿の布団で永遠の眠りについた。
そのことについて、キャナリーは素直に感謝している。なんだかんだと捨て子の自分を育ててくれた祖母にも、子爵家にもだ。
だから約束を守るべく子爵家に引き取られてからも、言葉遣いの修正や、重たくて動きにくいドレスでのダンスレッスンも、我慢して必死に学んだ。半年で最低限を詰め込まれて、貴族の令嬢のみで構成された王立歌唱団へ送り込まれてからも、その頂点となる『四音の歌姫』へと選ばれた。
この国の貴族の令嬢の歌声には、魔力が秘められている場合があるらしい。故に『四音の歌姫』として披露される場で魔力を発現させたなら、確実に高位貴族や王族に見初められる。つまりキャナリーは、子爵家がさらに成り上がるための、少しでも身分が高い家に対する貢ぎ物として引き取られたのだった。
数日分の食事と布団代は、随分と高くついてしまったようだが、まあ仕方ない。
そう思いながら参加した、国中の貴族が集まる披露会。他の三人の令嬢は美しい花びらを降らせたり、光の蝶の群れを舞わせたり、幻想的な霧を生み出したりした。
最後にキャナリーが歌うと……起きたのは低い地響きだった。
これには出席していた王太子が癇癪を起こした。歌う前はキャナリーの容姿を気に入ったとほざき、歌などどうでもいいから妃になれと、ふざけたことを言っていたのだが。
「冗談ではないぞ! その顔と声で、余をたぶらかしおって、なんと不吉な女なのだ!」
その尻馬に乗り、列席する貴族達も他の歌姫も、キャナリーへとひどい言葉……どころか、靴、ワインの空瓶、コップ、食べかけの菓子までをも投げつける。
そうして彼女は王立歌唱団から永久追放、子爵家からは絶縁を突きつけられ、国外追放を言い渡される。数日分の食料だけを持たされ子爵家から追い出された彼女は、
「はー。せいせいした」
心の底から羽根を伸ばしていた。
森で祖母と罵り合っていた彼女にとって、あの程度の悪口など、そこまで気に病むほどのものでもなかったのだ。むしろ意にそまぬ縁談や窮屈な生活から逃れられて、本当にほっとした。
そうして森の中の小屋へと戻ってきた彼女だったが、そこでは見知らぬ二人の男性が、今にも行き倒れそうな様子で扉を開けようとしていて ――


追放した人物が聖女だった系。転生要素なしの現地主人公。
書籍化・コミカライズ、完結済。
……うーん(苦笑)
なんというか、ヒロインが一周回ってテンプレお花畑っぽく思えるというか。あまりに周囲に合わせなさすぎる&その天真爛漫かつ新鮮さに、隣国の皇子さまがころっといっちゃうあたりが、私にはちょっと感情移入しにくかったかなあと。
見ず知らずの他人にどこまでも手を差し伸べていっちゃうのも、国同士のパワーバランスとかにまったく関心がない、庶民……というか野生児感覚のままでこの先も突き進んでいっちゃって、本当にいいのか!? 的な。
まあ確かに、王国側の王侯貴族のありようはひどいんですが……
ただ、途中でキャナリーの出生の秘密が明らかになった時点で、ああそれならと、なんだか腑に落ちました。最初から『違う』感性で生きている存在なら、いつまでもマイペースに我が道を行く感じでも当然かなって。ヒーローも、王太子ではなく第三皇子ですし。いずれは臣籍降下なら、いつか彼女と結婚するようなことになっても大丈夫でしょう。うん。
恋愛に関して鈍感すぎるのも、きっと森育ちが理由なだけじゃなく、出生のあれがそれで、なかなか人間の異性を恋愛対象として見れないだけなんだ……
ところで、最初に国外追放を言い渡されてるのに、ふっつーに元の家に戻って暮らそうとしてるのが、すごく気になるんですが……この世界観における「国内」の範囲って、あくまで王都だけで、領土内は含まれないんですかね?
No.3467 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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