よしなしことを、日々徒然に……
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 堅物閣下はわけあり男装令嬢を逃がさない!
2022年08月22日(Mon) 
読書記録:
■堅物閣下はわけあり男装令嬢を逃がさない!
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十七歳となり社交界デビューし、年に一度、皇后陛下が主催する大規模な舞踏会に参加した子爵家令嬢、アイリス=コスタ。
そんな彼女は突然、婚約者から婚約の解消をつきつけられていた。
「アイリスは俺のこと、好きじゃないだろう? いつも弟にかかりっきりだし」
ふてくされたように言う婚約者の後ろには、小動物を思わせるおどおどした様子の少女がいた。しかもその両手は、腹部をかばうように当てられている。
つまりは、そういうことだ。
「何が『支える自信がない』よ! 不貞を働いただけじゃない! しかも正式な結婚前に子供を作るなんて!」
こんな男、こっちから願い下げだとばかりに拳を繰り出した彼女の前で、婚約者だった男は数メートルはふっとばされた。
「なんて女だ」だとか「とんでもない乱暴者ですわ」とか聞こえてくるが、意に介さずテラスから会場へ戻ろうとすると、そこには一人の男が立っていた。
女としては長身のアイリスでも見上げる程に背が高く、茶色の瞳は猛禽類を思わせる鋭さがある。
「言いふらすの?」「何をだ?」「今見たことよ。私がとんでもない乱暴者だって」「言わないな。言う必要もないし、そもそもお前が誰か知らん」
そうして男は笑みを漏らす。
「なかなかよい拳だったな」と。
その場はそれで終わったが、しかしことは急を要していた。
アイリスが暴力を振るったことで、婚約解消の違約金はなくなり、アイリスには婚約を破棄された令嬢という汚名だけが残った。しかも結婚の予定がなくなったことで、期待していた相手の家からの援助もなくなってしまう。
コスタ家は騎士爵から手柄を立て、こつこつと地位を上げていった名門である。しかしアイリスが十一歳の時に起きたクーデターで近衛騎士団長だった父は命を落とし、母もまた十四の時に馬車の事故で亡くなってしまった。遺されたのは双子の弟と、維持する費用にも事欠く屋敷と、わずかな使用人のみ。
しかもそんなところへやってきたのが、父方の叔父シレックである。後見人を名乗ったその男は、残り少ないコスタ家の資産を搾取していくばかりで。
さらに次期当主となるべき弟が、社交界デビューを目前にして病に倒れた。ベッドから起き上がることもままならない。このままでは叔父に家を乗っ取られてしまう。
コスタ家を守るため、アイリスは決意した。騎士爵の名門の子息は、無試験で騎士団に入ることができる。ならば弟の病気が治るまでの間、自分が彼として ―― ディーン=コスタとして騎士になろう、と。
そうして家へ給金や皇都のよく効く薬を仕送りしながら、コスタ家の子息として実績を上げ、弟が快癒した際には領地への転任を願い出る。誰も偽のディーンを知らない場所で、再び入れ替われば良い。
自慢だった琥珀色の髪をばっさりと切り落とし、アイリスは男装して皇都騎士団の入団式へ向かった。
そうして再会したのは、あの時、舞踏会の会場で出会った男。アイリスの拳を褒めてくれた彼は、皇都騎士団の団長かつハイランダ帝国軍の副将軍レオナルドで ――

転生・乙ゲー要素なしの現地主人公もの。書籍化済で完結済。
感じとしては、古典の「とりかえばや(ざ・ちぇんじ)」的な? あと「詐騎士」とか……「銀河の果てでつかまえて!」なんてのもあったなあ(歳がバレるww)
事情があって、兄弟の代わりに性別を偽って生活。なんやかんやでお相手見つけて、すったもんだはあるものの、最後はめでたしめでたしといったところ。
職務上の相方には、かなり早いうちに性別がバレるものの、これがまたすっごく良いやつで、某宰相中将のようなことは一切ありません。もともと恋人持ちですし。
で、ヒーローたる騎士団長さんは、ちゃんと調査してアイリスの事情を全部突き止めた上で、いろいろと手配してくれてます。まあ私情もけっこう入っていて、良いのかそれはと思う気持ちもなくはないんですが。需要と供給と本人の努力と資質と実績が釣り合った結果の、情状酌量込み的な采配ってことで。
職務上の事件はいろいろ起きるものの、恋愛面でのすれ違いはほぼありません。
書籍版タイトルには「溺愛」の文字が入ってますけど、少なくともこのWEB版ではそこまででもなく、破れ鍋(騎士団で男に混じって、平均より上の評価をもらえるご令嬢)に綴じ蓋(堅物朴念仁すぎて女性への気遣いが壊滅的)のお似合いカップルという感じでした。
ザマアに関しては、元婚約者はほぼ空気。主役と関係ないところで勝手に報いを受けてます(笑)
騎士団内でいろいろ因縁つけてきてやらかした同僚については、同情の余地皆無ですね。嫉妬したり気に入らなかったりというのは仕方なくても、やらかす内容が己の職務というか騎士の騎士たる所以を全否定してる感じで。そもそも情報を手に入れたのなら、それそのまま上司に報告すれば済むだけなのに、なんであんな面倒かつ周囲を巻き込む厄介な行動に出たのやら。
……もう死刑にならなかっただけ、ものすごい酌量というか。ひとえにお家(立場的にはコスタ家と似た感じの騎士爵名家)の人達に感謝しろよ! というレベルでした。まあしないんでしょうけどね。
No.3253 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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