よしなしことを、日々徒然に……
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 僕は婚約破棄なんてしませんからね
2022年07月28日(Thr) 
読書記録:
■僕は婚約破棄なんてしませんからね
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ミッドランド王家の第一王子シン・ミッドランドは、10歳になり婚約者を決めることとなった。
ひとまずは表敬訪問ということで、お供一人だけを連れてのお茶会で初顔合わせとなったのだが。
シンを見るなり、相手の公爵令嬢 ―― 同い年の少女セレアは、いきなり悲鳴を上げてぶっ倒れてしまった。完全に白目をむいて意識を失っている。
「……僕ってそんなひどい顔してますかね?」
そんなことを思いつつその日はひとまず場を辞し、後日今度はお見舞いという名目で、床に伏せっているという彼女の元を訪れた。そうして、前回のことはなかったことにしようと告げつつ、マナーを無視してお菓子を食べてみせると、セレアは突然はらはらと涙をこぼし始めた。
「なんで泣くの!?」
「みたことあるんです、このイベント」
イベントってなに? と詳しく聞いてみると、なんでも彼女は一度死んで生まれ変わり、この世界に来たのだという。そうしてこの世界は、その死ぬ前の世界で遊んでいたゲームにそっくりなのだと。
うん、こういうの知ってます。十四歳症候群って言いましたかね。小説とか、冒険物語とか読んで夢中になっちゃった子供が、現実と空想の区別がつかなくなって、自分がその主人公になっちゃったような妄想するっていうやつ。まだ十歳でそうなるとは、このお嬢様もおませさんですね。
などと考えつつ話に付き合っていた彼だったが、話を聞くにつれじょじょに引き込まれていった。なにしろ彼女が語る内容には、三年前、シンが城を抜け出した際にいじめられていた女の子を助け ―― ようとして失敗。結局は衛兵に助けられたという、誰も知らないはずの黒歴史まで混じっていたのだ。
彼女は前世で重い病気にかかっており、十歳で死んだのだという。そしてこのゲームにおけるその立場は、悪役令嬢というらしい。婚約者である王子と恋に落ちたヒロインへ、いじめや嫌がらせを行い、最終的には追放されて実家は没落するのがその役目。彼女に対するハッピーエンドはないのだと。
前世で不幸だった子供が、今世でも不幸を繰り返す。なんだか気の毒になってきた。それは婚約を嫌がるのも無理ないと思う。
けれどなんだかひどく悔しい。自分がまだやってもいないことを、やると今から決めつけられて、それで婚約を断られるって、なんだかとっても理不尽だ。
それにそもそもこの婚約は、政治的な意味合いから当人達の意志など関係なく進められるはずだ。だから彼女に逃れるすべはないのである。
ならば彼女を幸せにするか、悲しませるか、それは全部自分次第ということだ。
そう思ったシンは、セレアからゲームに関する内容を洗いざらい聞き出して分析し、『攻略本』を作成。二人で幸せな未来を築くべく頑張ろうと、心に決めて ――

悪役令嬢転生モノの、お相手王子主役のお話。書籍化・コミカライズ・完結済。
「北海道の現役ハンターが〜」のジュピタースタジオさんのお話です。
シン王子は秀才型というか……まあ年齢にそぐわぬ考え方とか有能さではあるんですが、性格的にはそこまでエキセントリックでもなく、子供らしい部分を備えた常識的な人物像です。努力がちゃんと身になるタイプのリアルチートって感じでしょうか(笑)
で、セレアの話をちゃんと信じて、力を合わせてゲームの強制力に抗いつつ、絆を深めていくのが微笑ましい感じでした。
セレアちゃんもセレアちゃんで、十歳で死んで、生まれ直してまた十歳まで育ったから、中身は十歳だと思いますという、「前世の年齢足したら〜〜」とかいうタイプじゃないので、同い年の王子様といっしょに額を突き合わせて一生懸命頑張るのがいい感じ。
……ただ、いくらずっと入院してた設定とはいえ、医療に関する前世知識が細かすぎるよww
ざっくり案とか基礎知識だけ出して、あとは専門家にお任せというのは良いと思うんですけどね。でも天文関係とか、途中で作る紙芝居の内容なんて、いくらなんでも詳細すぎるわww
と言うかこの世界、病気とか天体についてがほぼ完全に地球と共通している設定でして、その他の題材も史実や古典、実在の人物を多く扱っています。作者さまも本編完結後に「元ネタ一覧」を乗せているぐらいなので、それはそれと割り切って楽しむのが良いと思います。
結末(ザマア)も、そこまで酷いことには……まあ、一人ほどやらかしすぎてアレになった人はいますが、それ以外はまあ程々のところで抑えられていて良かったんじゃないかと。
「この程度のことでいちいち人の人生、潰してしまう必要なんてないんです」という台詞が、まさに「それな!」とうなずかされました。
あ、完結後といえば、「ボツになった展開集」というのが複数掲載されてますけど、私は2つほどしか読んでません。個人的に、本編の読後感を損ないたくなくて、IFルートは苦手なんで。
でも閑話の方は面白かったです。シュリーガンとか、もっと活躍してほしかったなあ……
No.3219 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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