よしなしことを、日々徒然に……
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 仏頂面な旦那様ですが、考えはお見通し
2020年04月14日(Tue) 
読書記録:
■仏頂面な旦那様ですが、考えはお見通し
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“人の心の声”が聞こえる。そんな誰にも言えないギフトを持って生まれた伯爵家令嬢エヴァ・カントールは、屋敷の離れに引きこもり、畑を相手に野菜を作る日々を送っていた。18になっても社交に出ようともせず、土いじりに勤しむ彼女を、口さがない人々は芋令嬢などと呼んでいる。
彼女自身もいつまでもこうしていられないと、判ってはいるのだ。しかし一歩屋敷を出れば、行き交う人々の“声”が飛び込んできて、まともに息をすることすらできない。
そんな彼女へと、ある日父が縁談を持ってきた。相手は分家筋の子爵家の次男で、王都で騎士を勤めている青年だという。
とにかく急な話だったので、結婚式は後回しに、大量の書類にサインだけして、エヴァは一人王都へと向かった。結婚相手であるリオ・フェナンシェットは、王都で一人暮らしをしていて、その屋敷はこじんまりとしたものだった。家の中は埃だらけで、小さな庭も荒れ放題である。
そしてエヴァを出迎えた青年は、ひどく不機嫌な顔をしていた。
「言っておくが、私もあなたのことをついさきほど聞いたところなものでね。悪いがなんの準備もできていない。それでもよければあがってくれ」
とても大柄な青年が尊大に告げると、威圧感が半端ない。
しかしエヴァが驚いたのは、別の理由だった。
(彼女がエヴァさんか。申し訳ない、女性にこのような態度を取るなど、本当に申し訳がない! 許してくれ、いや、俺を許さないでくれ!!!)
彼の心の“声”は、耳と尻尾を垂れてぷるぷる震える、小型犬のようであったのだ。
「私は先程まで、遅めの朝食をとっていたんだ。――とは、言ってもだな。私にはいささか多い量だ。あなたさえよければ適当にしてもらっても構いはしない。まあ、あなたのためにわざわざ頼む侍女などいやしないが」
(長旅でさぞ疲れて、腹も減っているだろう。大したものも出せないが、よければ食べていただけるとありがたいのだが)
言葉に出している内容と、心の中で考えているそれが完全に食い違っている。
ありがたく朝食をいただきながら、漏れ聞こえる声に耳を傾けてみると、どうやら今回の件は彼にとって非常に不本意かつ、心苦しい事情が存在しているようだった。
要は持参金目当てというやつである。
お人好しで迂闊すぎる彼の父と兄が、天候不良による領地の不作を乗り切るべく、残ったわずかな資金をよくある投資話に突っ込み、見事にすっからかんになったのだと言う。もはや破産は目前。そんな折に、変わり者で貰い手がないという令嬢との縁談を持ち込まれたフェナンシェット家は、一も二もなくこれに飛びつき ―― そして当事者であるリオへと事情を話す前に、受け取った持参金を使い切ってしまったのだと。ちなみにその額は、毎月給料のほとんどを自宅に仕送りしているリオの年収、およそ十年分に当たるらしい。
持参金とは本来、妻のために使うものだ。なのにそれは既に一銭も残っておらず、結婚式を上げる金もなければ、このさき幸せにしてやれるような甲斐性もない。さりとて今さら縁談を断ろうにも、やはり返す持参金は以下略。
そこでリオの兄は、リオにこう提案したのだ。こちらから断ることができないのだったら、向こうから離縁を言い出してもらえば良いのだと。
この国では、結婚してから10ヶ月の間は何があろうとも離縁ができないという法律がある。昔々の、とてもおせっかいな王様が決めたことらしい。そして現在はこの法律、体の良い離婚の理由に使われていた。すなわち10ヶ月経ったその日ぴったりに縁を切った夫婦とは、つまり『夜の相性が悪かった』のだ、と。もちろんそれはあくまでも建前で、本当は様々な事情での離縁はあるのだろう。けれども世間的には『そういうことだから、とやかく言ってくれるな』という意味になるのだ。
なのでひたすら相手に嫌われるよう仕向けて、10ヶ月経ったちょうどに離縁を提案してもらえれば、周囲からも『まあ仕方がないことだったのね』とふんわり見逃されて、さほどの醜聞にはならないだろうから、と。
そんな訳での、リオのこの態度なのである。
必死に嫌われようと努力している彼だったが、根本的に優しく実直なのと、エヴァのギフトのおかげで、はっきり言ってぐだぐだであった。
リオ自身、たとえ一生かかろうとも返済するつもりでいるようだし、もともと父が金をちらつかせてこぎつけた婚姻だ。彼らの本意でないというのならば、協力することはやぶさかではない。
そう思って、せめて10ヶ月は居心地良く引きこもって暮していけたらなあと考えたエヴァだったのだが ――


訳あり令嬢と不器用ワンコ騎士との、偽装結婚から始まるじれじれ両片思いな恋物語。中編で完結済。
とりあえず、リオの父と兄はぶん殴っていいと思います。土下座程度で許されて良いのかこれ(−ー;)<発想が完全に結婚詐欺
なまじリオがめっちゃ家族思いで、家族に尽くしまくりつつ、はからずも利用する形になってしまったエヴァへの罪悪感と愛しさとで板挟みになってるだけに、この父と兄がもうね……
あとエヴァが引きこもりになってた理由も、単に“声”が聞こえるからと言うだけではない、かなりヘヴィな過去が関わっていたりして、そりゃこれは父伯爵もそれを容認してきたはずだわってだけにね。
っていうか、なんだかんだで父伯爵最強説?
神が与えたと言われるさまざまな『ギフト』によって、人生を左右され、時に狂わせられる人々がいる一方で、持たざる者の想いもある。
番外編の『おかしな王様』のエピソードがもう……虹の男と透明な王様が尊すぎる(T^T)
虹の彼は、結局どんなギフトを持っていたんだろう。というか、実は彼は『彼女』だったり……しないかなあと、期待したくなっちゃうよこの話は……
あとは個人的に、番外編としてマルロとシャルロッテのお話も見てみたかったり。
そのギフト故に食に興味を持てない青年と、ささやかなギフトを磨き上げて、美味しい料理を作り上げられるようになった女性とのお話とか、絶対面白そうだと思うんですよww
No.1931 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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