C.M.B森羅博物館の事件目録 37巻
2019年08月10日(Sat)
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読書記録:
同人誌作成をメイン活動とする美術部の中で、一人油絵を描く少年。己の絵に行き詰まりを感じていた彼は、部員達の口からかつての先輩の噂を耳にする。日本画家として大成したその先輩は、『十字路の悪魔』と契約することで、突然絵がうまくなったのだと言う。その話を聞いてから、彼の様子はおかしくなっていった。しかも美術室では異臭騒ぎや勝手に物が動いたりといった、怪奇現象が起こるようになり……「クロスロード」 闇ブローカーのマウが今回持ち込んできたのは、ギリシアの古いコインだった。棕櫚がデザインされたそれは、バルカン半島の小さな村に伝わっていたものだという。戦火が絶えず、巻き込まれた村が全滅することも珍しくなかったバルカン半島で、その村だけは何度襲われても生き延び続けた。その秘密が、古いコインには秘められているらしい。胡散臭い話だと調査を断ろうとした森羅達の目の前で、コインは謎の男に奪われてしまい……「シュロのコイン」 時は2075年。月を巡る軌道にある小惑星で、男の射殺体が発見された。鉱石資源を採掘するその小惑星には、死んでいた男しか人間は存在せず、すべてのシステムがロボットによって運営されていた。状況を見ればロボットによって殺されたとしか見えないが、ロボットはロボット三原則に縛られているため、人を傷つけることは絶対にできない。事件の謎を解明するために派遣されたのは、航空宇宙監察官 七瀬立樹と、宇宙工学博士 榊森羅だった……「鉱区A−11」 どこにでもある、平凡な海辺の町。その風景を愛した戦前のある画家は、『猫のしっぽの先に、黄金を隠した』と言い残したらしい。これまで多くの人間がそれを探してきたが、誰一人として見つけることはできなかった。地元の小学生三人組もまた、宝を見つけようと考え、まずは猫田神社へ向かうことにした。切り立った崖の上に存在するそこは、祭りの際に大人がよじ登ってゆく以外、立入禁止となっている。案の定、登る途中で動けなくなってしまった彼等を助けたのは、町の古地図を見に来た森羅と立樹で……「猫のしっぽ」
表紙の二人は、舞台を60年後に設定したお遊び企画の二人。この事件が初対面の間柄で、「どこかで会ってない?」という会話が挟まります。 ……正直、読んでいても別人感があるというか、二人の間に信頼関係があまり感じられなくて微妙かなあって。いつもなら立樹が担当する、人の心の機微についても森羅が一人で解説しちゃうので、立樹ちゃんの立場が(苦笑) トリック的には面白かったと思います。私は単純に弾を公転軌道上に静止させといたのかなとか思ったんですが、さすがにそんな単純なことじゃなかった(^^;; 「シュロのコイン」は読んでいて悲しい……戦争が関わる話はほんと辛いです…… 最初のお話は、まあ時おり挟まる日常の謎的なお話ですが、むしろ謎? ぐらいの拍子抜け感。 最後のお話は逆に、最初は日常の謎だと思ったけれど、よく考えるとこれめっちゃ怖くね? 的な(汗) 軽い気持ちで遺された小洒落た言い回しのために、いったい何人が人知れず命を落としたんだろう(((( ;゜Д゜)))) ガクガクブルブル
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No.1400
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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