婚約者が悪役で困ってます
2019年05月16日(Thr)
|
|
|
読書記録: ■婚約者が悪役で困ってます 〜エミーリアの日記10 https://ncode.syosetu.com/n1920df/
リートベルフ侯爵の娘リジーアは、十歳になったある日、ふと気がついてしまった。己には二人分の記憶があるのだと。 それまでは、誰も知らないことを唐突に口走るような、妄想癖のあるちょっと変わった子供だと自他ともに認識していた。しかしごちゃごちゃになっていた二人分の記憶が整理されたことで、ようやく自分がかつて現代日本で生きていた女子大生であったこと、そして今は中世ヨーロッパに似た世界へ、貴族令嬢として生まれ変わったリジーア・リートベルフなのだと自覚ができた。 しばらくはかつての両親や友人を思って悲しんだ彼女だったが、しかし今度の両親も親として愛してくれているし、使用人達もとても良くしてくれている。今世はせいぜい親孝行しよう! と前向きに生きていくことを決意する。 そんな矢先、今年十二歳になる第一王子の婚約者候補を探す、お茶会が開催されることとなった。一応侯爵家の令嬢であるリージアへも招待状は届くが、彼女の容姿は特筆すべきほどのものでもなく、また実家も侯爵とはいえさほどの権力も持たない、ほどほどの家柄であった。 べ、別に悲しくないし! 王妃とか興味ないし! そんなことを思いながらとぼとぼとお茶会に参加した彼女は、しかしそこで驚くべきことに気付く。 第一王子エドウィン殿下、そしてその傍らで周囲を威嚇している銀髪の美少女、ブルンスマイヤー公爵家のカテリーナ様。この二人は前世でプレイした乙女ゲーム『ライラックの君』の登場人物 ―― 攻略対象と、その婚約者である悪役令嬢だったのだ。 そして、ショックで頭がぐらぐらしてきた彼女に手を貸してくれたのは、漆黒の髪に銀色の瞳をした美少年。 「僕はベルンハルト・ユース・ブルンスマイヤー。よろしく」 悪役令嬢カテリーナの兄である彼は、攻略対象ではない、いわゆるお助けキャラだった。様々な相談に乗ってくれ、時に進行を手伝い、祝福もしてくれる存在なのだが……実は密かにヒロインへ想いを寄せており、裏で攻略対象の殺害を企んだり、父親を隠れ蓑に王位簒奪を目論むという、完全に悪役で黒幕的な存在。うっかり選択肢を間違えると、ヒロインも殺害されて終わりという、バッドエンドになるのである。 しかもハッピーエンドになればなったで、彼の方は全てを暴かれ、一生孤島の監獄で幽閉されることとなる。 ゲームプレイ時には、攻略対象者達よりもむしろベルンハルトを気に入っていたリジーアなど、初回プレイ時に思わずコントローラーをぶん投げた記憶があった。 そんなややこしい存在達には、絶対に関わりたくない。幸い自分は、名前すら訊いたことないモブに転生したようだから、このままモブとしてゲームのシナリオに関わらず、傍観を楽しみながら親孝行し、高望みしない幸せを探せばいい。めんどくさいことは嫌ですからね? そう思っていた彼女だったが、数日後に届いたのは、ブルンスマイヤー公爵からの、ベルンハルトとの婚約を申し込む書状で……
お約束の乙ゲー世界へのモブ転生モノ。書籍化・コミカライズ済、ダイジェスト化なし、本編完結済。現在は前日譚的な、ベルンハルトの母親視点の番外編を連載中。 ゲームにどハマりしていたわけでもないので、あんまりゲーム知識のない主人公が、いきなり将来の悪役令嬢の兄で黒幕キャラの婚約者に抜擢されて、なんだかんだでこの世界はゲームに似た、でも現実の世界なんだと認識して、自分と大切な人達が幸せになれるよう努力するお話。なお魔法はない世界観。 他にも転生者達が出てきたり、なんか平行世界? 的な存在もほのめかされたりして、彼女達の転生にはいろいろ秘密がありそうだなあと思わせつつ、そこらへんはぼんやり曖昧なままにされています。 とりあえず主役が、「悪いことなんてダメ!」とありきたりな正義を押し付けるのではなく、手を汚さなければ生きてこれなかった婚約者のことを理解して、抱きしめて共感して時には共同作業(?)までしつつ、それでもできるだけ平凡な幸せに近付こうとするあたりが好感度高かったです。 あとゲーム知識があんまり活用されてないのも良い感じ。全ルートやりこんだオタクとかではなく、婚約者が実は隠し攻略キャラだったことすら知らないぐらいなので、もう普通にその時その時で感じた通りの行動を取ってます。 最初はありがちな「この世界は私のためにあるのよ!」的行動をとっていた痛い系転生ヒロインにも、いろいろな事情があって、状況が二転三転するのも面白かったです。なんだかんだでルーカス先生もいい味出してるよなあ……現実にいたらめっちゃ怖くてはた迷惑な、刑事さんこっちです的ストーカーしかも後にロリですけどねww とりあえずレオノーラちゃん逃げてーーーー
|
No.1240
(読書)
|
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
|
にほんブログ村
|
|