追放された末端令息は辺境の野蛮令嬢に一目惚れする
2025年11月03日(Mon)
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読書記録: ■追放された末端令息は辺境の野蛮令嬢に一目惚れする https://kakuyomu.jp/works/16817330668647312702
魔法のない異世界での、現地男主人公で婚約破棄もの。完結済、続編あり。書籍化準備中。 主役のルカは、金で爵位を買った成金男爵の三代目が、結婚前に作った平民との間の私生児。お約束どおり継母と異母弟にいじめられ、婚約者もミドルネーム(貴族の証し)も奪われた挙げ句に実家から追放。たどり着いた辺境の地で出会った辺境伯の令嬢アレクシアに一目惚れして尽くしに尽くしまくります。一見地味な子犬系に見えて、ある意味リアルチートなキャラ。 なお実父は、結婚前にできた愛する人(産褥で死亡)との子供を最初は愛そうとしていたはずなんですが、あまりにヒステリック過ぎる政略結婚相手にどんどん気力を削られ、もはや鬱状態に。 ルカも虐げられても誰も恨まず前向きに頑張る健気な……といえば聞こえは良いですが、自己肯定感がマイナス天元突破してるレベルでトラウマ化されていて、ちょっといびつな部分を感じさせます。 そしてヒロインたるアレクシアはと言うと、国境を守る武門の家の一人娘なこともあり、剣も乗馬も狩猟もどんとこいで、これまで辺境伯の地位目当てでやってきた都会の令息達が、あまりの強さに圧倒され尻尾を巻いた挙げ句に「粗野で粗暴な野蛮令嬢」とかいう噂を広げてしまっている訳あり物件。ただし部下や領民達からはたいそう慕われている男前なお嬢様。 ルカはというと、初対面で狼から救ってくれたその勇姿に一目惚れ。貴族の中でも最底辺の末端令息である自分など、身分違いで叶う恋ではないと弁えながらも、一生を彼女のために捧げる決意をして、これまで培ってきた使用人スキルを全力開放。 素直で一生懸命でお嬢様命なその姿には、他の使用人達は愚か、一人娘を可愛がりに可愛がりまくっている世紀末覇者な辺境伯をも落としていきますww むしろこれまで都会の令息達に手のひらを返されまくっていたアレクシアだけが、「しょせん一時の気の迷いだ」とか「吊り橋効果だ」とか言ってるんですが、違うんだよなあww ルカはとにかく誤解だけはされるまいと、つどつどきっちり気持ちや事情を口に出して報連相するので、ひどいすれ違いはほとんど起きないのがせめてもの幸いか。あと継母と異母弟と元婚約者がひどすぎる代わりに、他の人達はすごく良い人達がほとんどなのも良かったです。 ……良い人だからといって、まともとは限りませんが^^;; 特に第一王子とかいろいろ面白かったですが……とりあえず、感想を同時進行で読んでいくのはおすすめしません。作者様がコメ返しで、先のネタバラシを積極的にしていくスタイルなので(遠い目)
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No.4548
(読書)
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オタクに優しい冒険者 〜幼馴染に追放されたぼくは、イケメンのギャルハーレムパーティに紹介されたので、支援無双します〜
2025年10月30日(Thr)
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読書記録: ■オタクに優しい冒険者 〜幼馴染に追放されたぼくは、イケメンのギャルハーレムパーティに紹介されたので、支援無双します〜 42話 https://kakuyomu.jp/works/7667601420079979360
魔法ありな世界の田舎に転生した元オタクの青年が、幼馴染の少女に無理やり誘われ都会に出て冒険者になるも、魔法ばかり研究しているオタクだ、口うるさいと結局はパーティー追放。 ギルドで紹介された新しい仲間は、イケメン1人にギャル系ビッチ2人のハーレムパーティー。連れ込み宿の隣室から聞こえてくる3人分の嬌声に、耳をふさいで落ち込んでいたら、実は3人には意外すぎる秘密があって……という、様々な特殊性癖をこれでもかとぶち込みつつも、元・現代日本のオタク青年の感性で一気に信頼を勝ち取って、夜はただれつつも昼間は仲良くほのぼのと冒険して成り上がっていくお話。連載中。 夜の方は、朝チュンに近い感じでそこまで細かい描写はないです。 「女性の同性愛は、百合っていう花にたとえられて、ひっそりと陰で人気でしたよ。そういう話を好んで読む男性も女性も多くいました」とか「生まれつきの両性具有は、身体が作られるときに、ちょっとした間違いが起こっただけで、呪いとかではなくただの自然現象です」とか、自分が転生者であるということもカミングアウトして、互いに秘密を共有して受け入れ合ってます。 ただまあうん、読む人は選ぶと思うww 主役は「ありがとうございます、ご褒美です」というほどコアな性癖持ちではないのですが、それでもかなり包容力強めで、性的に何されても基本怒りません。でもこれ仮に男女逆転してたらかなりエグいと思いますし(苦笑) なにしろ「オタクくんは、普通の男と違って怖くなくて優しいし、もう性別『オタクくん』で良いよね!」とか言われて、肉食系百合ップル(どちらもタチ)に好き放題されてますからね。しかも「パーティーに男がいると落ち着かないから」とかいう理由で女装させられて、そのケもないのに男の娘を強要されてますし。 ただ仲間達も、自分達の方が甘やかしてもらっている側だという自覚と感謝を忘れていない。襲われている新人パーティーは脊髄反射で助けに行く。人の話もちゃんと聞くといった、根本的に人が良いメンツ揃いなので、そういう意味のストレスは少なかったです。 あと主役がずっとオタクくんと呼ばれてますが、これはこの世界でも魔法関係を異常なほど極めたオタクだからです。つまりは現代知識で俺TUEEEE。 料理関係でもいろいろやらかしてます。水飴の作り方とか、普通は記憶してないよ?
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No.4546
(読書)
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ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される
2025年10月26日(Sun)
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読書記録: ■ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される 〜人気投票結果発表〜あとがきに変えて。 https://ncode.syosetu.com/n1860fv/
貧しい男爵家で、お前は女らしさの欠片もない可愛くない存在だからと家の仕事を全部押し付けられていた自己肯定感マイナスの妹令嬢が、婚約に向かう途中に馬車の事故で亡くなった姉の身代わりとして公爵家へ送り込まれたら、溺愛され系。 もともと婚約の打診も、妹のお披露目パーティーで、主役のごとく着飾っている姉を遠目で確認した公爵令息(既に伯爵位持ち)が、「じゃあさっき会ったのは主役ではない姉の方か。いくらなんでも差別がすぎる」と憤慨しながら、名前を取り違えて申し込んだ結果だったので、いろいろなことが行き違ってのすったもんだ。 それでも包容力MAXな公爵令息(凄腕商人で、なんなら王家よりも金持ち……だけどちょいヘタレ)と、元は異国の踊り子な公爵夫人、癖が強すぎる使用人達や、飄々とした遊び人風な第三王子などに少しずついろいろ解きほぐされて、自分が虐待されていたことや父親の思惑などを理解し飲み込み、しっかり自分というものを確立していく元ずたぼろ、実際には男装もよく似合うヅカ系ヒロインの物語。
書籍化・コミカライズ・アニメ化済。 本編も一応完結済で、おまけや後日談的な話がまだ同じぐらいの長さで続いています。とりあえず当初の本編終了までたどり着いたので、いったん書き留め。 この時点でずたぼろヒロインのお話(おそらくアニメはここまで)のあとに、第三王子と職人見習いのお話も入っています。 ただこの第二部の方は、導入部が辛すぎるというか、反撃に入るまで延々と正論でサンドバックにされ続ける第三王子がしんどすぎて、途中で何度も読むのをやめそうになりました。 実のところは、政略結婚なんて当たり前の強大な軍事国家ではなく、変わっていく世界に乗り遅れつつあり、傾き始めたところを商業や産業振興で乗り切ろうとしている、近代国家への過渡期なのだと気がついたあたりでようやく胸を撫で下ろした次第です。 軍事力や血の伝統よりも、技術や文化で国を動かす時代が来ていることに気づいている第三王子が、その波に乗れるまでの繋ぎにと、ノブレス・オブリージュで我が身を犠牲にしようとして壊れかけまで行ったところを、その親友の大商人な公爵令息兼伯爵様、有能すぎるサポートができるその嫁(予定)と使用人達、腕一本で居場所を確立した職人親子などがどんでん返すさまは、正に正当なおとぎ話という感じでした。 っていうか、この期に及んで戦争起こそうとしている、時代の見えていない王太子が一人でヘイトをかっさらっていきましたね(苦笑) なんだかんだで、いろいろ放り出していた国王様も大概だったと思うんですが……実は後継者達の様子見をしていたのかもしれませんけど、あそこまでいろんな人間が追い詰められる前に、できることがあったんじゃないですかねえ。 ともあれ、劣悪な環境から救われた令嬢達が、ただ「こんなに言ってもらえるのなら、もうちょっと自分を信じてみよう」程度のレベルではなく、ちゃんと己の能力を自覚しさらに磨き上げ、きっちりしっかり自立して立ち回れるまでに成長しているのが良い感じでした。
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No.4543
(読書)
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魔導具師ダリヤはうつむかない 〜今日から自由な職人ライフ〜 7巻
2025年10月18日(Sat)
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読書記録:
「197.魔導具師の授業〜海蟲の付与」〜「225.疾風の魔剣と疾風の魔弓」までを収録。 前巻とはうって変わって、穏やかほのぼのわちゃわちゃな開発話がメインでした。まあ、ルチアとフォルトのあれこれはありましたが。 アンケート特典SSは温熱卓が入った黒鍋での食事。ってか黒鍋副店長ww 足派なのかww さっと素早く上掛け戻すヴォルフよww 本文冒頭には武具屋で買い出しデート、終盤には黒鍋やスカルファロット邸に導入された温熱座卓にまつわるエピソードが追加され、巻末のカルロさんSSはダリヤが最初に温熱座卓を試作した時から回想して、奥さんのテリーザさんとの馴れ初めから結婚生活、出産までのことをざっくりと。 ……実はなろうのコメント欄で盛大にネタバレ食らってしまったので、大体のことは知ってしまっているのですが……なんかこうやって実際に読んでみるとカルロさん、嫁にも娘にも振り回されまくった人生だったんだなあと。
そして今回は挿絵のヨナスさんが! 珍しく三つ揃い着てるイラストは、全身を見たかったYO!! そこからのヨナツムリww ほんと読者のニーズを判ってらっしゃるチョイスですよねww 寛ぎきってるヨナス先生も萌えどころなんですが、それ以上にそれ見て笑ってるグイード兄様には、なんかほろりとしてしまいました。この人って、あの事件からこちら、ここまで屈託なく笑ったことってあったのだろうかと思うともうね……
あとは、web版を読んだ時にちょっと気になっていた、背負うタイプの携帯温風機。以前フォルトが夏場に使っていた小型送風機と被っているというか、あちらは音や服のフォルムに変化が出るせいで、休憩時にしか使えないという欠点があったのにこちらは良いの? と感じた疑問が、書籍ではフォローされていました。 ……逆に言うと、そのあたりを意識して文章に手を加えられたせいか、「なぜ背負う必要があるのだ」と、ダリヤが服の下で使うことを想定していなかったのに、小型化作業時には風の動きが背中に広く分散する形にとか、音や風の動きなどが周囲から分かりづらくなるようにとか考えているという、ちょっと不自然な流れになってしまっているのが実に惜しかったかと。
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No.4535
(読書)
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魔導具師ダリヤはうつむかない 〜今日から自由な職人ライフ〜 6巻
2025年10月11日(Sat)
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読書記録:
辛い話が続くので積んでしまっていた6巻目。 web版の166.部屋掃除と浪漫〜196.黒の革手袋あたりが収録されておりました。 アンケート特典SSは、イルマとマルチェラの出会いエピソード。 ……あのへんはあまり読み返していないこともあり、加筆修正やエピソード入れ替えの度合いはよく判りませんでした^^;; 一応、冒頭で食べてる大鶏のソテーとか、ラストの方でマルチェラが後発魔力に目覚めた事情とかが増えていたのはおおお! ってなりました。 っていうか、改めて読むとやっぱり懇親会でのメーナの言動が不自然というかどことなく不穏なんですけど、そこらへんって後の方で拾われてましたっけ?? あとトビアスに関しては、まあうん……ある意味では彼も被害者なところはあるんですよね。カルロや彼の実父がもう少し事情を話してあげていれば、また違った未来もあったのかなと。 結局トビアスのやらかしって、浮気したうえ筋を通さなかった、いきなりだった、うっかりいろいろ(コンロの権利まわりの手続きとか、兄妹弟子の感覚のまま借金申し込んだりとか)失念していた無神経さ、自分のプライドを守るための確認行動でダリヤにモラハラしていたという、それだけではあるんですよね……いや改めて列挙すると、けっこう致命的とも言えるなこれ(汗) でもまあいろんな意味で報いは受けまくっているし、カルロが遺した魔導書をダリヤのために書き写したりと、それなりに真摯にやろうとしている。嫁さんもそれなりに反省して、今後は金持ちのイケメンに寄りかかるのではなく、トビアス自身の支えになるべく真摯に努力しようというのなら、ダリヤの視界に入らないところで頑張って下さいという気持ちですかね、私は。 それにしても皆さん、まだまだ初々しいなあ(笑)<webでは現時点で560話超え
いつものカルロさん視点な巻末書き下ろしは、涙腺に来る……最後の最後までダリヤにも弟子にも不調を隠しきったカルロさん、まさかそこまでだったとは思いませんでした。ダリヤがカルロの口座を閉じる時に、残高が少ないことに驚いたのって、もしかしてそれが理由だったんでしょうか……<3日で大銀貨5枚なら3ヶ月で150万円ぐらい カルロ唯一の失敗とよく言われるトビアスとの婚約についても、本当に追い詰められたが故の苦肉の策だったんだなあと。むしろダリヤよりもいろいろなことによく気がついて、やっかいごとに誰かを巻き込む前に躊躇して、立ち止まって、結局は一人で抱え込んでしまった不器用さが故だと思うと、本当に切ない……それこそ暴風雨(ウラガーノ)の異名の通りに周囲一帯全部巻き込んでしまえば……誰かが吸魔の腕輪を教えてくれて、なんとかなったかもしれないのに(泣) まあそうなると、そもそも物語が始まらず、ヴォルフを始めとして救われぬままの人間が増えていく訳ですが。 そしてここで登場しますかカルミネさん! この過去を知った上で本編を読み返したら、また違う印象が生まれそうですね。 ……それにしてもこの黒髪の先代ザナルディ公(?)は、web版だとどうなってるんですっけ。 結局、自分の価値観でしか相手を測れなかった結果、優秀すぎる人材を文字通り使い潰した彼は、いろいろな所から恨みを買っていそうなものですが……カルロさんがどれだけ隠したとしても、気づいている人は気づいていると思いたい……
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No.4529
(読書)
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准教授・高槻彰良の推察 EX3
2025年10月09日(Thr)
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読書記録:
ゼミ合宿から帰宅したばかりの尚哉が写真を眺めながら、以前の心霊写真についての講義と、お化け屋敷プロデューサー後藤から持ち込まれた、女子校の美術部に伝わる呪いの絵の調査に行った時のことを思い返す「美術準備室の女」 カラオケボックスでバイトすることになった沙絵とよっちゃんの交流から始まり、彼女の長い長い人生と、11巻「入ってはならない場所」の裏側を語る「山の向こう」 難波くんから見た尚哉たち第三(四)弾。同じくゼミ旅行近辺を中心に、男子学生共でわちゃわちゃしたり、もの思ったりする「俺の友達の地味メガネくん3」 二十年も前、高槻渉が向かいに住む知人から譲られた、妖精が入っているという小さな箱。ふと出てきたそれを眺めながら、当時同居していた甥と共に関わった出来事を思い返す「妖精の小箱」 誕生日は、その人がこの世にいてくれて嬉しいという気持ちを伝えられる日だから。そう言って誰かの誕生日を祝うことを好む友人に、毎年ずっと祝われてきた佐々倉。通う学校が違っても、住む国が変わっても、異なる職についても、それはずっと変わらない。そうあって欲しいと願い続ける「誕生日を祝おう」
これで本当に最新刊まで追いついちゃった、三冊目の番外編集。トータルすると14冊目。 今回は五章収録で、最初の一章はいつもの調査メインな短編でしたが、残りの4本は前巻とがっつり絡みつつ、各キャラを掘り下げる感じ。最初の一章も、時系列的には11巻と重なっていますし。 読み終えてまず思ったのは、「健ちゃん……っっ」でした。 なんかもうね……すごすぎない? 中学生の頃から包容力があり過ぎますよ。雪女の回で、高槻と風呂に入れないことに不満を見せる尚哉に、あの傷をガシガシ洗えるようになれとか言ってたの、さすが付き合い長いもんなあと思っていたら、17歳しかも初見でもうやらかせてるのはさすがにびっくりしました。しかもそれが無神経だからじゃなくて、ちゃんといろいろ考えた上ですもん。 そして変化を望まないと言いつつも、誕生日を祝ってくれるのが二人に増えるのは悪くないと、良い方向へのそれは受け入れるあたりが本当に健全と言うか、むしろ一周回ってこれ異常じゃね!? この世への楔ポジションにしたって、あまりにも強力すぎるよ健ちゃん! そんな彼が、前巻で高槻に隠していたことは、やっぱり異捜絡みだった模様。 すごく不穏な気配もするんですけど、でも二章目の沙絵さんの話や、ゲスト出演している御崎先生がヒーロー役を務めるシリーズの作品紹介(恋愛絡みのコメディらしい)を読む感じ。人外側は人外側で、そちらに属すると決めて割り切ったら、そこまでアレな世界観でもないのかなあと思えてきますし。
なんか作品イメージが変わってきちゃいそうなので、そちらにはこっちのシリーズが一段落つくまで手を出さない方が良いかなって気もしているぐらいで(苦笑) あとは、登場人物紹介にずっと立ち絵があるのに、長らくご無沙汰だった渉叔父さん、おかえりなさーーーい!! 大人のズルさも遊び心も絶対の愛情も備えつつ、挫折も成功も全部味わってるナイスミドルな英国紳士なんて、そりゃ格好いいに決まってるのに、登場回数が少なめなのは逆に話が進みすぎちゃうからかも? って思っちゃいますよ。この感じだと、次の巻では日本にやってくるのかな? ……っていうか、この人が大学卒業と同時に高槻祖父から勘当されたのって、高槻祖母が離縁されたのも含めて、『何か』から守るためだったんじゃないかという疑惑をですね、今回思いついちゃったんですよ。いろいろな意味でよく似た高槻が生贄に選ばれてしまったのだとしたら、渉さんだってその可能性はあったんじゃ……ないかなあと。 そして裏返せば、高槻父が高槻を実家に戻さないのも、実はもしかして……とかですね。あれ、そしたら秘書の黒崎さんって……? ああもう、続きが気になる。早く出てくれ12巻〜〜〜《o(><)o》
そうそう、難波くんも忘れちゃいけませんね! 尚哉にとっての健ちゃんとも言える難波くんですが、何も知らされていない分、彼は彼でいろいろと辛さや葛藤があるんだなあと。そして一般人の目で見ると確かに、あの状況で迷いなく走っていけちゃう高槻と尚哉は、やはり境界に身を置いているのだなと改めて実感したりとか。 それでも「言わないことは訊かれたくないってこと」を覚えた難波くんは、それを肝に銘じながら精一杯に楔をやってくれているのがありがたいです。 頑張れ難波くん! 尚哉の今後は君にかかっていると言っても過言ではない ΣG(`・ω・´)
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No.4526
(読書)
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呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ
2025年10月05日(Sun)
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読書記録: ■呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ https://ncode.syosetu.com/n3751ia/
かつて氷の大地と呼ばれた土地を、緑豊かな大地に復活させた世界樹。 しかしその世界樹にも寿命が存在した。それをなんとか魔力で延命させているのがヴィスタリア王国の現状である。世界樹が枯れてしまえば王国全土が荒廃してしまう。そこで魔力を持つ貴族達は、毎月決まった量の魔力を装飾品に込め、国へ献上する義務が存在していた。 しかしエヴァン伯爵家の長女として生まれたリフィアは、全く魔力を持っていなかった。父には不貞の子と疑われ、母からはお前を産んだせいで夫からどれだけ責められたかと罵倒され、8歳の頃には古い別邸に隔離されてしまった。世話をするメイドもおらず、最低限の食事と衣類を与えられての放置である。 ただ妹だけは、毎日別邸を訪れるようになった。 「お姉様、食事を持ってきてあげたわよ」 そう言って用意されるのは、石のように固くなったパンやしなびた野菜のサラダなどの、完全に嫌がらせの食事だ。 最初の頃はそれで体調を崩し、母にひどい折檻を受けたりもしたが、リフィアは誰も恨むことはなかった。ないものねだりをして惨めな気持ちになるよりも、今あるものを大事にして前向きに過ごす方が楽しい事に気付いたからである。 それに妹は、一日一回特別な食事を用意させて、別邸までわざわざ歩いて会いに来てくれる。孤独な生活の中で、そうして気にかけてくれるのは良くも悪くも妹だけだったのだ。好きの反対は嫌いではなく無関心である。妹だけは、自分に関心を向けてくれている。リフィアは心からそれに感謝していた。 そうして18歳になった彼女は、父に呼び出され、十年ぶりに本邸へと足を踏み入れた。 「お前にはクロノス公爵の元へ嫁いでもらう。出発は明日だ、準備をして旅立つように。話は以上だ」 それだけを告げられる。 生まれつき膨大な魔力を持ち、国一番の魔法の使い手『黒の大賢者』と称賛されていたオルフェン=クロノス公爵は、現在では呪われた仮面公爵と呼ばれている。なんでも十年ほど前、15歳の頃にバジリスクの呪いを受けて皮膚が少しずつ鱗化してゆき、今では常に仮面をつけているのだと言う。そしてその呪いは身体の動きにも影響し、いずれは全身が動かなくなって死に至る。見た目の醜さと呪いの恐ろしさから、かの人は社交界で悪い方の噂となっていた。 しかしリフィアは、仮面をつけた男性と聞いて、心躍るものがあった。数年前の冬のこと、自分は参加を許されないパーティーを、せめて音楽だけでも楽しもうと庭にいた際に、声をかけてくれた人物ではないかと思ったのだ。 『今日は冷えます。そのコートは差し上げますので、早目に室内へお戻りくださいね』 顔の上半分を仮面で覆った男性は、そう言ってぼろぼろの薄着だった彼女に、自分が着ていたコートを掛けてくれたのだ。 前向きに生きようと思っても、どうしても気持ちが落ち込んで辛い時や寂しい時、リフィアはそのコートに何度も助けられてきた。 もしかしたら、あの人にお礼ができるのかもしれない。そう思ったリフィアは、意気揚々と少ない荷物とそのコートだけを持って、クロノス公爵家へと向かった。 そうして彼女を出迎えてくれたのは……
転生なしの現地主人公。書籍化・コミカライズ・完結済。 魔力がないからと虐げられていたら、実は聖女の力に目覚めていた令嬢と、王太子を庇って呪いを受け、醜く変貌し余命幾ばくもない天才魔術士との、政略から始まるラブラブ溺愛系。 コミカライズの方では妹がツンデレ気味で可愛かったのですが、web版では普通に毒妹で「あれ?」ってなりました(苦笑) 書籍化時点である程度キャラに変更があったっぽいです。 まあweb版でも、その後のあれこれでちゃんと心を入れ替えるので、最終的な着地点は同じなのかもしれませんが。 そして主役のメンタルがちょっと違和感あると言うか、さすがにこれは脳みそお花畑っぽくね? とか思っていたら、ちゃんとそのあたりにも納得の理由があってすっきりしました。 公爵家は使用人も姑も初期の頃からほぼ好感度MAX。聖女の能力も早いうちに発覚し、二人の間にはすれ違いとかもないです。ヒーローの愛が重いのと、主役があまりにも善人すぎるぐらいでしょうか。 中盤の王太子登場あたりから不穏な気配が漂い始めるものの、「定められた運命なんて、力技でぶっ壊す!」の方向でめでたしめでたしに持っていくので、安心して読めましたww ザマアもまあ妥当な範囲かと。ただ毒母がどうなったのかだけがちょっと気になりますね……ちゃんと書いてあったっけかな……?
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No.4520
(読書)
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ベル・プペーのスパダリ婚約〜「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!〜【WEB短編版】
2025年10月02日(Thr)
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読書記録: ■ベル・プペーのスパダリ婚約〜「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!〜【WEB短編版】 https://ncode.syosetu.com/n9331hz/
オルレシアン公爵家の人形姫とあだ名される美貌の令嬢レティシアは、建国記念のパーティーで、初めて顔を合わせた婚約者である第二皇子ジルベールから、暴言を浴びせられた。 「俺はもっと大人の綺麗な女性が好きなんだ。いくらお前がベル・プペー……人形の如き美しさだったとしても、まったくもって好みじゃない」 十六歳でありながら150センチもない小柄な身長に、絹の如き銀の髪。サファイアを埋め込んだかのような深い青の瞳と、血が通っているのかと不安に駆られるほど白い肌。滅多なことでは口を開かず、表情も変わらない彼女は、しかしその言葉にうっすらと笑みを浮かべ、静かに一礼する。 「お前には感情というものがないのか? 俺は、美術品として妻が欲しいわけじゃない。契約の破棄を申し出てくれればすぐにでもサインをする。よく覚えておくんだな」 着崩した衣装に、皇子らしからぬ奔放な物言い。女癖が悪いと評判で、王家の血筋に時おり現れるという『呪われた紅い瞳』を持つ彼を、レティシアは内心で評価する。 (おおむね前評判通り。このような場で軽率な発言をすればどうなるかなど分かりきっているだろうに。少々わざとらしさを覚えるが、何も考えていないとすればただの阿呆だぞ) 彼女は、その儚げな見た目とは裏腹に、どこまでも豪胆で強靭な精神を持っていた。 (いや、マイナス部分ばかり挙げ連ねても仕方あるまい。顔は及第点だ。よかろうよかろう。美術品として愛でればよし! 私は夫が美術品だろうと一向に構わんからな!) 美しいものはそれだけで価値がある、が彼女の信条のひとつだ。夫婦仲が良くなるに越したことはないし、相手のことをもっと知って、ぐいぐい押していけばいいだろうなどと考えていると、気分を害したらしい皇子は、これから『女性には決して楽しめぬところ』へ行くと言い出して……
現地主人公で転生、トリップ要素なし。書籍化、コミカライズ済、完結済。 ヒロインがとにかくスパダリです。中身も外見(は、魔法を使って一時的にですが)も、ひたすらにイケメンww 優秀な代わりに感情表現が下手なことで、呪われた存在と呼ばれこじらせ気味だった王子様の方は、それでも根っこの部分は非常に面倒見が良く善良。こじらせきる前に包容力抜群なレティシアと出会ったお陰で、愛される自信を身に着け、その優秀さを遺憾なく発揮しつつ、破れ鍋綴じ蓋愛が重すぎる系バカップルに。 レティシアが鋼の精神を持っている上に、話がさくさくと進んですれ違いなどが生じないため、予定調和的ノンストレスで読めました。逆に言うと、竜帝の正体とか王子様の事情も初期の初期でさくっとバラしているため、どんでん返し的な爽快感は少ないかもです。 そういう意味では後日談の方が、竜帝様もしっかり活躍して、ワクワク感が強かったかな。 個人的には密偵さんの話ももうちょっと読みたいです。
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No.4518
(読書)
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乙女ゲームが始まらない 他1編
2025年09月28日(Sun)
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読書記録: ■乙女ゲームが始まらない https://ncode.syosetu.com/n5495fd/
乙ゲー世界のヒロイン聖女に転生した少女が、10歳で受ける教会の魔力判定で、受けるはずの神託が下りず。ここはゲームの世界に似ているとはいえ全く同じではないのを理解し、なおかつ判定時に明らかに不正が行われていたことから、国の上層部に己のことを知っている ―― 即ち別の転生者がいることを察知。このまま家に戻れば、自分達に似ていない娘を疎んでいる親に売り飛ばされるのも必至だし、未来を変えたのは自分ではない。聖女が現れないことで魔物に蹂躙される世界が来てしまっても、もう遠慮はないと、逃亡を決意し……
■乙女ゲームが始まりそう――主役不在で https://ncode.syosetu.com/n7173kv/
乙ゲー世界の公爵令嬢に転生した少女。幾つか先のことを言い当てたことで、公爵家としては予知の信託を賜ったと解釈。彼女の前世の記憶と知識からくるアイディアを取捨選択し、利用し、効率良く利益を出していた。彼女自身は原作で折り合いの悪かった家族仲が改善されたと喜んでいたが、自分より1歳下の未来の聖女が、聖女を人間扱いしない人物に売り払われる展開を変えるべく、魔力判定に介入したことで、想定外の事態になってしまい……
「異世界に転移したら山の中だった〜」のじゃがバターさんのお話。短編読み切り2本です。 最初はゲームのヒロイン視点、次は悪役令嬢の侍従視点。 利用されるぐらいならゲームなんざ知ったことかという強いヒロインと、善意から努力しているけれど詰めや脇が甘いポンコツ悪役令嬢と、そんな彼女を見下しつつ適当に利用していたら、重要情報部分で行き違いがあり、結局大変なことになってしまう周囲のお話。 なんというか、2話目のほうがリアルはリアルなんですけど、ちょっとポンコツお嬢様が可哀想に思えてきます。周囲が機嫌良くいろいろ喋ってもらうおうと、甘やかしつつ後継者からはしっかり外したりと、思い切り利用されてるんですもん。父親どころか侍従も侍女もそんな扱いなのが切ない。っていうかお嬢様をポンコツ呼ばわりする周囲の方がよっぽどポンコツ。 仮にヒロイン予定を見つけられたとしても、既に他国で幸せにやっているそっちには、「だから?」で済まされそうだしなあ……(苦笑)
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No.4510
(読書)
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准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声
2025年09月27日(Sat)
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読書記録:
大学三年の夏休み。遠山の所のバイトも終わった尚哉は、大学の図書室へと向かった。秘密で調べたいことなどもあったのだが、そこで高槻と顔を合わせてしまい、そのままいつものように研究室へ。瑠衣子も加えて影踏みやドッペルゲンガーについて話していたところ、ちょうどやってきた女子大生に、自分のドッペルゲンガーがあちこちで目撃されているという相談を持ち込まれて……「影の病」 夏休みも終わりに近づきつつある9月序盤、二泊三日のゼミ旅行が開催された。強制参加ではないものの、四年生の中間発表を聞いたり、BBQや花火をやったりと、尚哉はそれなりに楽しむことができている自分を感慨深く思う。しかし自由時間に皆で青木ヶ原樹海の散策を行っていたところ、木の間から怪しげな女が手招きをしてきて……「入ってはならない場所」 高槻は、祖父や母の言動を思い返し、己の神隠しの原因を祖父は知っていたのではないかと推察する。そうして祖父と話をするべく、従兄弟の優斗に協力を仰いだ。その一方で、尚哉は残り少ない休みの間に、二十年前に高槻が見つかったという、京都の鞍馬を訪れようと計画していた。しかしその事に気がついた高槻が同行を言い出し、結局は佐々倉を含めたいつもの三人で日帰りすることとなった。何の変哲もない道端を眺めた後は、鞍馬寺や貴船神社を観光して回る。しかしその途中、鴉に遭遇したことで高槻が倒れ……「夜との約束」
人の仕業、ヌシと異捜ががっつり関わるもの、さほどの事件はないけれど、高槻の過去と今後に迫るお話の三本。 ついに現時点での本編最新まで追いついてしまいました<あとは番外編集が1冊 そしてここからはリアルタイム待ちかあってところで、またもやラストの一文に持っていかれました。ここまで「ファっ!?」ってなったのは、5巻の長野編ラスト以来じゃないでしょうか。 なんだかんだでこのシリーズはけっこうどんどん謎が明かされていって、毎度「そうか!」ってなるんですが、そのたびに指の間からすり抜けると言うか、新たな謎が追加されていって飽きさせないですね。 高槻祖父について、前巻で考察していたことに高槻らも言及していて、次はいよいよ直接対決か!? と思ったら、まさかのですもん。 ああでも尚哉くんが、高槻に言えないことを貯めていってるのを心配していたら、今回ひとつ(異界の気配が判るようになったこと)は減らせてちょっと安心したりとか。まあ代わりにまたひとつ増えましたがww でもあの「もう一人との約束」は、最後の最後で高槻を繋ぎ止める、最強の手札になり得るのではと思ったのですよ。高槻はたとえ何にどれほど絶望しても、尚哉をこちら側に残すという理由ができた途端、一気に立ち直ると思いますもん。「ええ、なんでそんな約束したの!? ああもう、そういうとこほんと深町くんだよね!?」とか言い出しそう(笑) 今回ちょっと不穏だったと言うか、佐々倉が高槻に隠してる内容っていうのは……たぶん、ついに異捜に配置換えになったとかなんじゃないかなあと予測してみたり。まあ樹海で「手伝いに駆り出された」って言葉が歪まなかったあたり、あくまで一時出向か、それともその時点ではまだ手伝いレベルだったのかは判りませんが。 そして初登場時には、ここまで出張るようになるとは思いもしなかった沙絵さん。 この人好きだなあって思います。なんというか、二人を見守ってる感? 自分のようにはならないで欲しいと、ただ純粋に思ってくれている、遠山さん以上の人生の……というか、あり方の先達。 それでいてこの人は、もし仮に二人が境界を踏み越えてしまったとしても、「しょうがないなあ」ってあのにぱっとした笑顔を見せて「これからもよろしくね!」って言ってくれそうな気がします。そういう意味では、もう一人よりもずっと安心感が。 そして今回のラストでああいう衝撃の展開になった訳なのですが……これまでは圧倒的存在である義父に押さえつけられていた高槻父が家長になることで、今後はもう少し関係が改善されるのか、それとも契約か何かまで引き継ぐことで、更にややこしいことになるのか……ああっ、次の本編が気になる! っていうか、ちょっとめくり直していて気がついたんですが、もうひとりが異界のモノにしか基本反応しないのであれば、高槻母を階段から突き落としたのって……(どきどきどき)
なんとなくこのシリーズは、尚哉が大学4年生を終えるところでまとまるんじゃないかなと勝手に予想しています。その後に院へ進む場合は、「改めて、これからも〜」みたいな感じで、諸々のしがらみ取っ払った感じの再出発になるのではないかなと。 なのでここからは、一気に風呂敷を畳んでいくのではないかと信じたいです。
追記: 昨日、蚊に刺されまくった身としては、尚哉くんの体質がちょっと羨ましいww
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No.4509
(読書)
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| プロフィール |
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神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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