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 おっさん、転生して天才役者になる
2022年12月02日(Fri) 
読書記録:
■おっさん、転生して天才役者になる
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才能がなく華がなく、家庭を捨てて演技の世界に全てを捧げつつも、それで得られた立場は『脇役に便利な俳優』。役者としての実力はそれなりにあるが、それはあくまで『上手いだけ』。どれだけ努力しても、主役にはなりえない。
そんな文字通りうだつの上がらない役者だった山下太郎(47歳)は、珍しく演技を褒められた仕事の帰り ―― 痴話喧嘩に巻き込まれて腹を刺されてしまう。
意識が薄れていく中で思ったのは、『刺される、とはこんな感覚なのか。次の芝居に活かせそうだ』ということ。
まるで本物の役者のようだ。そう思いながら、彼は生命を落とした。
そうして、どれほどの時間が過ぎただろう。見ることも、聞くこともできず、身体を動かすこともできない魂だけの存在となった彼は、いつしか温かな場所に浮かんでいた。
「早く生まれてきてね」
はっきりとは聞き取れないが、女性の声がする。どうやら彼は生まれ変わったらしい。
『私』という連続性を保った魂は、永遠にも等しい時間を魂の牢獄ですごし、変化していた。その魂は山下太郎と縁を持つが、既に山下太郎そのものではなくなっている。しかし新しい親の子どもとして、本来誕生するはずのまっさらな魂でもない。
呼びかけてくる声には、親としての無償の愛情が感じられる。
ならば演じてやろうと、その存在は胎児ながらに考えた。無垢であり、少しずつ成長していく魂を演技するのだ。それが牢獄から救い出してくれた、親へのお礼になるだろうと。
そうして山下マキという女の子として生まれ変わった元役者は、時に夜泣きをしたり、抱っこされても泣き続けたりと、子供特有のある種理不尽な行動を織り交ぜつつも、早熟で聡明な子どもを演じ始めた。
どうやら母は男に騙されたシングルマザーらしく、毎日遅くまで働き詰めで、いつも疲れた顔をしている。ならばなるべく負担を減らしてあげるべきだろう。
率先して家事をこなし、親の言うことは良く聞く理想的な子ども。そして時折あえてわがままを言って、申し訳程度の迷惑をかける、そんな演技を続ける。
その彼女が、再び役者としての道を歩むきっかけとなったのは、幼稚園でのお遊戯会であった。どうせ忙しい母は見に来られないだろうからと、背景で木の役をしていたのだが ―― その卓越した演技力を、たまたま会場を訪れていた芸能事務所の社員に見出されたのだ。
後に生きる伝説と呼ばれる大女優、山下マキ。彼女によって、多くの人物がその人生を変えられてゆくこととなる ――

同世界・ほぼ時間差なしのTS転生もの。コミカライズ・完結済。
後書きいわく『ガラスの仮面』的なお話が書きたかったとのことで、まさに「マキ、恐ろしい子っ(白目)」状態が続きますww
群像劇の感じが強く、全体の半分ぐらいは他視点で書かれています。まあ演技ジャンルですから、そのほうが効果的でしょうね。そして話もさくさく進みます。時系列があっちこっち行き来するのがちょっと難点ですけど、ちゃんと『将来歳をとったらこんなおばあちゃんになりたいなぁ』という年齢まで大女優であり続けると、さっさと明かされるのはある意味安心して読んでいられます。
転生後の演技力は完全にチート級。一度肉体のない魂の状態を経験したことと、生まれ変わった身体のスペックが高かったのが相まって、どんな役にでも成り切れ、動物すらも自在に巻き込むレベルです。
あまりにその演技力が高すぎて、生まれた時から『山下マキ』を演じていた結果、終盤には親を含めてちょっとゴタゴタしたりもするものの、それもあまり引っ張らずに終わってくれて、読後感は悪くなかったです。
あ、途中掲示板描写が何度か挟まるので、苦手な方は要注意です。
あと作中作にロリコンネタ(教師×小学生)のドラマがあるので、そちらもアウトな方はやめておいたほうが良いかと。
No.3384 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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