隣国で婚約破棄された娘を嫁にもらったのだが、可愛すぎてどうしよう
2022年11月13日(Sun)
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読書記録: ■隣国で婚約破棄された娘を嫁にもらったのだが、可愛すぎてどうしよう〜第38話 https://kakuyomu.jp/works/16817139556989533044
兄は立派に王太子を務めているし、次兄は他国の王配として婿入りしていった。次の王太子となるだろう甥っ子も産まれたことだし、自分の父性はあの子に注げば良い。 ティドロス王家の第三王子サリュは、そんなことを思っていた。25歳にもなって未婚の上に、婚約者もいないなど、王族としてはかなり問題がある。だが、母に似て中性的な美形だった兄達とは異なり、父に似た彼は、いわゆる男臭いというか、とにかくデカくてゴツかった。おまけに騎士団を率いて盗賊だの反乱分子だのを蹴散らしていたら、ついたあだ名が『ティドロスの冬熊』だ。 そんな男を、蝶よ花よと育てられた淑女が、相手になどしてくれるはずがない。 見合いは片っ端から断られ、業を煮やした王妃は隣国の王太子の婚約式へと、護衛代わりにサリュを同行させた。参列する各国の淑女達を引き合わせ、『うちの息子、どう?』とやりたいらしい。 式典後に繰り広げられるだろう女達の品評会に戦々恐々としていたサリュだったが、それどころではない事態が目の前で繰り広げられ始めた。 あろうことか、婚約式で王太子アリオスが「婚約破棄」を口にし始めたのだ。 相手の令嬢は、頭からすっぽりとベールを被っており、顔形は愚か体型すらもよく判らない。それでも国と国の架け橋となるべく他国からやってきて、2年にわたり王太子妃教育も受けてきた、れっきとした婚約者候補だ。それなのに王太子は、式典の真っ只中、煌びやかな衣装をまとった男爵令嬢を伴いながら、やれ彼女のことを無視しただの、挨拶をしたのに返事をしなかっただのと糾弾している。周囲の冷ややかな目にも気づかず、むしろそれらが令嬢の方に向けられていると勘違いすらしているようだ。 「お前のような容姿の者が、わたしの婚約者など」 その言葉が投げつけられたとき、初めて令嬢がわずかに身動ぎした。それを見て、サリュは立ち上がっていた。 「その発言、改められよ」 公衆の面前で女性の容姿をけなすとは、なにごとだ。 騎士道精神に基づき撤回を求めるが、王太子は応じない。そして令嬢の父であるバリモア卿は、娘を連れて祖国に帰ると言い出した。慌てて国王が謝罪するも、聞き入れようとしない。 そこへ割って入ったのが、サリュの母であるティドロス王妃だった。 「どうでしょうか、バリモア卿。わたくし、現在 愚息の嫁を探しておりましてね。不躾で申し訳ないですが、こちらの令嬢を愚息の伴侶としてお迎えするわけにはいきませんか」 それが彼と、竜紋を持つ令嬢シトエン・バリモアの初対面で ――
婚約破棄の場に居合わせた別国の王子と、破棄された令嬢との政略婚約から始まるじれじれ恋物語。 令嬢側には転生・前世知識要素あり。 当初予定分の話は終わったけれど、続編希望が多いので考え中とのこと。 普段、男所帯で荒っぽいことをしている王子様兼騎士団長さんは、女性の扱いをご存知ないので、令嬢の素顔を見た途端に語彙力(ryになってますww とにかく可愛い。可愛いが大渋滞の状態で……でも敵が現れると一気にバーサークするのがギャップ萌え。 そもそも王子様はごつい武人系で朴念仁ではあるものの、王族としての務めやマナーはちゃんと理解してますし、場に即した態度を取ることができて、他国の文化や伝統も尊重できる……普通に「なんでこの人、今まで婚約者いなかったの??」ってぐらいの良物件。 途中でお約束のすれ違い的な展開もあるんですけど、そこでの対応がまた男前というか。 もう章タイトルになってるのでネタばらししますが、「最終的にシトエン嬢がおれに惚れればいい」。これですよ! 嫉妬に狂って暴走する世の溺愛系どもよ! この健全な前向きさを見よ! ……いや、ヤンデレとか束縛は、それはそれで大好物なんですけどねww なお視点はあくまで熊王子の方なんですけど、令嬢の方には転生要素とか前世知識であれこれ要素もあるので、苦手な方は要注意。 個人的に、「アツヒト」の件を安易に結び付けず、もしかして? という可能性を残しながらもどちらとも確定させないまま終わらせたのが好印象でした。 生まれ変わって運命の恋というのも良いですが、前世は前世、今生は今生というのも味わい深いです。
……とか思いつつ、番外編の副官ラウルさん話の方も読んだんですが。
■副官ラウルの多忙なる嫁とり https://kakuyomu.jp/works/16817139558571920622
いや熊王子、あんたそんな一面があったの!? ってなりましたww そりゃまあ確かに、嫁は嫁として、友人は友人として大事でしょうが…… そして婚約者侮辱されてブチ切れる、普段は止め役のラウルさんが格好良かった。 こちらも安易に「じゃあ兼任で」とかせずに、ゆっくりとでもちゃんと前を向いて進んでいく感があって、頑張れ〜〜という気持ちになれましたです。
ああでも、本編側で、婚約破棄した王太子と元凶の男爵令嬢に、ほとんど制裁がなかったのがちょっと消化不良ですかね……あとで王太子を非難する宰相(国)も、やってることは最低ですし……続編を書かれるのであれば、そのあたりをもうちょっとスッキリさせて欲しいところでした。
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No.3350
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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