よしなしことを、日々徒然に……
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 エリート外交官は落ちこぼれ魔女をただひたすらに甘やかしたい
2022年09月07日(Wed) 
読書記録:
■エリート外交官は落ちこぼれ魔女をただひたすらに甘やかしたい
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先代が一山当てて財をなした大商家の次女なるも、庶子かつ国民の99%が魔法を使えるサジャール国の中で、魔法を使えない1%として生まれてしまったために、家族から下女以下の扱いを受けている少女カトリーン。そもそもが魔法ありきの国なこともあり、マッチや火打ち石すら存在せず、井戸にもポンプどころか滑車や釣瓶すらついていないとあって、毎朝他の使用人より何時間も早く起き、木を擦り合わせて火をおこしては、ロープを付けたバケツで水を汲むところから始まる日々だ。
当然、必要なものを買ってもらうことも、小遣いもないので、庭に自生している薬草を摘んでは調合し、町の薬屋に買い取ってもらうことで小銭を得て、最低限の衣服などを賄っていた。しかしそれさえもが家族からは、『臭い』『汚い』と罵られる理由になっている。
そんな生活の中で、父親が縁談を持ってきた。相手は親子ほども年の違う、しかも特殊性癖を持つ変態伯爵だという。もうこれ以上は耐えられないと家出を決意したカトリーンは、街の占い師から聞いた「運命の相手は東にいる」「異国の街並みと漆黒の鎧、ワイバーンに乗っている景色が見える」という言葉を頼りに、昨年王女が嫁いだというハイランダ帝国の、住み込みの求人募集へ応募することにした。
幸い、父親が格安で買ってきたものの結局捨て置かれている異形のワイバーン、テテがカトリーンに懐いており、従魔契約を結べない彼女でも背中に乗せてくれた。そうして一週間をかけてハイランダ帝国へとたどり着いたカトリーンだったが、しかし求人はすでに締め切られていた。
たどり着いたばかりの異国で、知人もお金もない。いったいどうすれば良いのかと途方に暮れた彼女は、ふと道端に立つ男性に目を止める。その人は非常に疲れているようで、何より目が死んでいた。
週末に通っていた教会の神父様は、人に親切にされたかったら、まずは自分が人に親切にしなければなりませんと常々言っていた。
「あなたも大変ですわね。どうかこれでも食べて元気を出して」
手渡したのは、旅の途中で作った、カトリーンお手製の魔法薬入りクッキー。疲労回復効果があり、本来なら今日から働く職場へと、挨拶代わりに持参したものだった。そちらでは無駄になってしまったが、このお疲れの男性に食べてもらえれば、それはそれで本望だ。
「どうかあなたが心安らかでありますように。ごきげんよう!」
よし、一日一善の目標は達成した。これできっと、今日はいいことがあるはずだろうと、カトリーンはその場をあとにする。
その後 ―― 薬局を営む老夫婦のもとへ住み込むことができた彼女は、家事や店番をしたり、魔法薬を調合して売ることで、どうにか新しい生活をスタートさせた。そうして一ヶ月。そろそろ魔法薬の材料が尽きてきたので、テテに乗り街を出たカトリーンは、良質な薬草がたくさん生えた湖のほとりで、以前クッキーを渡した男性と再会して……

転生・乙ゲー要素なしの現地主人公もの。書籍化済で完結済。
「夢見の魔女〜」「堅物閣下はわけあり男装令嬢を〜」と同じ世界観の二作目。時系列は夢見〜の1年後で、男装令嬢〜の1年前みたいです。読む順番は 夢見〜 → 本作 → 男装令嬢〜 推奨。
なお夢見〜でフレイクという名だったキャラは、この話以降、レオナルドと改名されています<書籍化関連での理由とのこと
今回のヒーロー役は、側近四天王の外交担当、フリージさん。
恋人は癒やしをくれる人が良くて、その相手をべったべたに甘やかしたいという願望を持っているけれど、皇帝の側近という立場から肉食系の令嬢ばかりに狙われてお疲れ気味です。他の3人のうち2人は、夢見〜でお相手見つけちゃってますし、残りの一人は堅物が過ぎて女性が近寄りがたいタイプなため、いろいろ集中しちゃってるというか。
そこへ持ってきて、政務は忙しいわ、お忍びの護衛をしていたら皇帝夫婦の砂糖爆弾とも評されるラブラブ甘々いちゃいちゃを見せつけられて、死んだ目をしていたところへ通りすがりのカトリーンちゃんが、地位とか全く関係なしに癒やしてくれた、と言う訳で。
……正直、カトリーンちゃんが占い師の話を聞いてる時は、「恋に恋する少女、夢見る乙女」とか評されていたのでちょっと警戒していたら……普通に共感できる主人公でした。むしろ三部作の中では一番好感が持てたかも……?
あの生育環境で「情けは人の為ならず! 巡り巡って己がため!」と、前向きに一日一善を心がけ、結果的に自力で己の生活基盤を整えた彼女はすごいと思います。ヒーローとの再会は、ちゃんと新しい生活を軌道に乗せてからですからね。
その後もギリギリまでフリージさんには頼らないし……いやまあ、そこは素直に話持っていけよとは思いましたけど、ちゃんと後から自分で反省してますし。魔法が使えないというマイナス部分も、もともと魔法が存在しないハイランダ帝国に来たことで、まったく意味をなさなくなってますし。
まあ気の毒だったのは、当て馬にすらなれなかったガリエットくんですかね……(苦笑)
No.3273 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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