よしなしことを、日々徒然に……
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 シャーロック・ホームズの蒐集
2020年10月02日(Fri) 
読書記録:


結婚式を間近に控え新居の手配をしているワトソンと、残り少ない同居生活をしているホームズのもとを訪れたのは、有名百貨店の経営者だった。相続問題でホームズの助力を受けたという彼は、なんとか金銭的な謝礼を受け取ってくれと懇願する。しかしホームズが興味を惹かれたのは、ふと話題に上った、百貨店の荷運び馬車が何故か頻繁に遅刻をするという件で……「遅刻しがちな荷馬車の事件」
事件がなく退屈していたホームズに依頼を持ち込んだのは、インド帰りの伯父が命を狙われていると訴える青年だった。何故か東洋人を嫌っていた彼の伯父は、灌木に結び付けられた黄色いスカーフを見て、非常に強いショックを受けたのだという。話を聞くと、黄色いスカーフはインドの殺人結社タギーが使用する殺人の道具で、彼の伯父は従軍していた際その撲滅の任務にあたっていたのだと言う。伯父がその残党に狙われていると判断した青年は、当時の軍人仲間だったという人々に連絡をとったのだが……「結ばれた黄色いスカーフの事件」
その他「ノーフォークの人狼卿の事件」、「詮索好きな老婦人の事件」、「憂慮する令嬢の事件」、「曲馬団の醜聞の事件」全6編を収録。

図書館でたまたま目に止まったので借りてきました。
日本人の手によって書かれた本格贋作パスティーシュ、語られざる事件を扱った短編集です。
著者の北原さんは、もともとホームズ原典やパスティーシュの翻訳を多く手がけられている、有名なシャーロキアンの方だそうで。文章には全く違和感がなく、ドイル自身の作品だと言われたら、普通に信じちゃうだろうレベルでした。
ワトソンさんも、突出して有能でも気が強くもありませんが、頓珍漢な謎推理を披露する愚か者というほどでもなく、ちょうどいいさじ加減のキャラクターだったと思います。
あと最初から日本語で書かれているので、翻訳特有の読みにくさがないのもありがたいところでした。
作者さんいわく「原作を読んでいない人でも何ら問題なく、十分お楽しみいただけると思います」とのこと。
それでいてヤードの警部アセルニ・ジョーンズがホームズさんへ出馬を乞う手紙で、「暇なら、来て下さい。暇でなくても、すぐ来て下さい」と書いてきて、ホームズさんに「これはいい。今度、僕もこの手を使わせてもらおう」と笑われるといったサービスシーンが、ちょこちょこ挟まっています。判ってらっしゃるww <ホームズからワトソンへの、「ツゴウガヨケレバ スグコイ、ワルクテモコイ( Come at once if convenient ? if inconvenient come all the same. )」という電報は、原典「這う男」の冒頭

そして作者後書きでは、脳内映像化する際にジェレミー・ブレットのグラナダホームズをお勧めされていますが、「憂慮する令嬢〜」などは、つい新谷かおるのクリスティ・ハイテンション(ホームズさんの姪っ子が主役のマンガ)を思い浮かべちゃいました(笑)
おしゃまで知的な女の子と、ホームズさんの取り合わせって良いですよね。椎名百貨店のエリスと若ホームズさんのカップルも大変美味しいと思います。
そういう意味では「詮索好きな〜」の老婦人との取り合わせも良い感じ。なんだかんだでホームズさんは、恋愛さえ絡まなければ、女性ともうまくやっていけるんだよなあと思いました。
No.2192 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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