一般人な僕は、冒険者な親友について行く
2019年06月08日(Sat)
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読書記録: ■一般人な僕は、冒険者な親友について行く 〜119 https://www.alphapolis.co.jp/novel/198287835/346159012
どこにでもいそうな、ちょっとおとなしめで優しげな雰囲気を持つ男子高校生 新田聖と、その幼馴染にして親友である佐藤春樹。彼らは二人並んで学校への道を歩いていたが、聖が何かを踏んで滑ってしまい、とっさに隣にいた春樹の腕を掴んだ。そして次の瞬間 ―― 二人はそれまでいた場所とはまったく似ても似つかぬ、だだっ広い草原の中にいた。 よく判らないが、とにかく自分は何かをやらかして、それに親友を巻き込んでしまったらしい。それだけは理解した聖が、まず謝ろうと口を開く。 「ごめん春樹、なんか巻き込ん―― 「っっしゃあ――っ!! 異世界テンプレチートきたコレぇぇぇ!!」 ――だのは問題ないんだね。よくわかったとりあえず落ち着いてくれ話し合おう」 鋭い目つきや、先祖に海外の血が混じっていることで茶色がかった髪と瞳をしていることから、周囲や親からさえ不良のレッテルを貼られていた春樹だったが、実はそんなことなどまったくなく。むしろ彼は読書やゲームが大好きな……重度のオタクだった。 異世界トリップと言えば冒険者。冒険者と言えばギルド。そんな春樹の主張により、とりあえず近くの町を探し、やはり存在した冒険者ギルドへと二人は足を踏み入れた。そうして貼られている依頼表を眺めてみる。 と、春樹が首をかしげた。 「なんでスライムなのにゴブリンとかより高いんだ? なんか特殊なのか?」 その瞬間、ギルド内を衝撃が駆け抜ける。 「おい、今、スライムが弱いって、言ったか?」「……まじか……」「誰かギルマス呼べ! 落ち人だ!!」 そうしていきなり面会することとなったギルドマスターから説明された内容によると、この世界には違う世界から何らかの原因でやって来た者が、物語に登場するほど昔からそこそこの数存在しているらしい。そうして彼らは何故か、ほぼ9割の確率でスライムを弱い魔物だと思っているのだと。 剣で切ればその数だけ分裂し、毒薬を投げれば吸収する。魔法もまったく効かないスライムは、討伐すること自体がほぼ不可能。それがこの世界の、子供でも知っている常識なのだと。 そんな、不思議なぐらい常識が欠落しているにもかかわらず、誰も知らないような知識を持つ人々 ―― 落ち人が、特に多数存在した時代があった。 300年ほど前のその当時、多くの落ち人たちは何故か己を特別な存在だと思い込み、この世界の人々の言葉を聞くことも忠告に耳を貸すこともなかった。結果、この世界をゲームのように攻略しようとしては、命を落としていったのだという。 そんな事情から、やはり落ち人のひとり ―― クソみたいな国にクソみたいな理由で召喚されクソみたいな扱いをされた結果、その国を滅ぼして新たな国を建国した ―― 英雄王ナナキ・アベ・サンドラスを中心として、落ち人救済運動が始まったらしい。そして現在では落ち人に関しての様々な知識が広められ、見つけたら冒険者ギルドへと連絡することが浸透しているという。 何故冒険者ギルドかと言われれば、それはいろいろあるのだが、一番の理由としては、基本的に落ち人は冒険者ギルドに集まるから、らしい。それが落ち人だから、と。 そんな訳で、英雄王が遺したメッセージとプレゼントを受け取った二人は、ギルドで冒険者登録を行った。 その結果……
名前:ハルキ・サトウ 職業:守護者
名前:ヒジリ・ニッタ 職業:主夫
春樹はともかく聖の主夫という職業は、完全なる非戦闘職であった。 が、春樹のテンションはとどまるところを知らない。 「強くない職業を与えられた主人公。でもそれはチートの始まりだった! ビバ、異世界ファンタジー!!」 むしろ己のほうがよっぽどハイスペックで主人公っぽいであろうに、彼はひたすら聖こそが最近主流のテンプレ主人公だと主張して譲らない。 そんなこんなで、二人で冒険者として活動を始めた彼らは、とにかく楽しく生きようをモットーに、主においしい食事を求めてひたすらマイペースに突き進んでゆくこととなる。 そうして、異世界の不思議や過去にやらかした落ち人たちのあれこれに頭を抱える彼らもまた、「これだから落ち人は……」と、無自覚に周囲の者を振り回しまくるのであった ――
テンプレが多重崩壊して、もはや何がなんだか判らなくなっている、異世界トリップもの。連載中でちょいエタり気味? とりあえず、鬱展開はほぼないです。 いや、現在の時間軸でも、テンプレ召喚勇者を強制洗脳して敵国に鉄砲玉させるろくでもない国とか存在するのですが、そこに『偶然』介入していろいろ捻じ曲げちゃうのが落ち人クォリティww そして優しげな自称一般人で、怒らせると一番怖いのが主役ってのは、やはりお約束(テンプレ)ですね。 途中で登場する、同時期に召喚されたクラスメートがめっちゃうざいの(春樹を不良だと信じて疑わず、優しい聖くんを、この世界では特別になった私が助けてあげなくっちゃ! と盲信してるタイプ)ですが、きっちり(斜め上の方向で)報復していきます(笑) 春樹の方は、もともと聖が唯一だった上に、この世界では鋭い目つきも茶髪もなんら問題視されないので、もう生き生きと異世界ライフを満喫してますし。 とにかく気軽ーに読める、一周まわって清々しいほどにエンターテイメントになってるお話でした。 新たな落ち人とか、カエデ様とグレイスのお話とか、いろいろまだまだエピソードが残っているので、続きを楽しみに……したい……
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No.1283
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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