呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ
2025年10月05日(Sun)
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読書記録: ■呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ https://ncode.syosetu.com/n3751ia/
かつて氷の大地と呼ばれた土地を、緑豊かな大地に復活させた世界樹。 しかしその世界樹にも寿命が存在した。それをなんとか魔力で延命させているのがヴィスタリア王国の現状である。世界樹が枯れてしまえば王国全土が荒廃してしまう。そこで魔力を持つ貴族達は、毎月決まった量の魔力を装飾品に込め、国へ献上する義務が存在していた。 しかしエヴァン伯爵家の長女として生まれたリフィアは、全く魔力を持っていなかった。父には不貞の子と疑われ、母からはお前を産んだせいで夫からどれだけ責められたかと罵倒され、8歳の頃には古い別邸に隔離されてしまった。世話をするメイドもおらず、最低限の食事と衣類を与えられての放置である。 ただ妹だけは、毎日別邸を訪れるようになった。 「お姉様、食事を持ってきてあげたわよ」 そう言って用意されるのは、石のように固くなったパンやしなびた野菜のサラダなどの、完全に嫌がらせの食事だ。 最初の頃はそれで体調を崩し、母にひどい折檻を受けたりもしたが、リフィアは誰も恨むことはなかった。ないものねだりをして惨めな気持ちになるよりも、今あるものを大事にして前向きに過ごす方が楽しい事に気付いたからである。 それに妹は、一日一回特別な食事を用意させて、別邸までわざわざ歩いて会いに来てくれる。孤独な生活の中で、そうして気にかけてくれるのは良くも悪くも妹だけだったのだ。好きの反対は嫌いではなく無関心である。妹だけは、自分に関心を向けてくれている。リフィアは心からそれに感謝していた。 そうして18歳になった彼女は、父に呼び出され、十年ぶりに本邸へと足を踏み入れた。 「お前にはクロノス公爵の元へ嫁いでもらう。出発は明日だ、準備をして旅立つように。話は以上だ」 それだけを告げられる。 生まれつき膨大な魔力を持ち、国一番の魔法の使い手『黒の大賢者』と称賛されていたオルフェン=クロノス公爵は、現在では呪われた仮面公爵と呼ばれている。なんでも十年ほど前、15歳の頃にバジリスクの呪いを受けて皮膚が少しずつ鱗化してゆき、今では常に仮面をつけているのだと言う。そしてその呪いは身体の動きにも影響し、いずれは全身が動かなくなって死に至る。見た目の醜さと呪いの恐ろしさから、かの人は社交界で悪い方の噂となっていた。 しかしリフィアは、仮面をつけた男性と聞いて、心躍るものがあった。数年前の冬のこと、自分は参加を許されないパーティーを、せめて音楽だけでも楽しもうと庭にいた際に、声をかけてくれた人物ではないかと思ったのだ。 『今日は冷えます。そのコートは差し上げますので、早目に室内へお戻りくださいね』 顔の上半分を仮面で覆った男性は、そう言ってぼろぼろの薄着だった彼女に、自分が着ていたコートを掛けてくれたのだ。 前向きに生きようと思っても、どうしても気持ちが落ち込んで辛い時や寂しい時、リフィアはそのコートに何度も助けられてきた。 もしかしたら、あの人にお礼ができるのかもしれない。そう思ったリフィアは、意気揚々と少ない荷物とそのコートだけを持って、クロノス公爵家へと向かった。 そうして彼女を出迎えてくれたのは……
転生なしの現地主人公。書籍化・コミカライズ・完結済。 魔力がないからと虐げられていたら、実は聖女の力に目覚めていた令嬢と、王太子を庇って呪いを受け、醜く変貌し余命幾ばくもない天才魔術士との、政略から始まるラブラブ溺愛系。 コミカライズの方では妹がツンデレ気味で可愛かったのですが、web版では普通に毒妹で「あれ?」ってなりました(苦笑) 書籍化時点である程度キャラに変更があったっぽいです。 まあweb版でも、その後のあれこれでちゃんと心を入れ替えるので、最終的な着地点は同じなのかもしれませんが。 そして主役のメンタルがちょっと違和感あると言うか、さすがにこれは脳みそお花畑っぽくね? とか思っていたら、ちゃんとそのあたりにも納得の理由があってすっきりしました。 公爵家は使用人も姑も初期の頃からほぼ好感度MAX。聖女の能力も早いうちに発覚し、二人の間にはすれ違いとかもないです。ヒーローの愛が重いのと、主役があまりにも善人すぎるぐらいでしょうか。 中盤の王太子登場あたりから不穏な気配が漂い始めるものの、「定められた運命なんて、力技でぶっ壊す!」の方向でめでたしめでたしに持っていくので、安心して読めましたww ザマアもまあ妥当な範囲かと。ただ毒母がどうなったのかだけがちょっと気になりますね……ちゃんと書いてあったっけかな……?
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No.4520
(読書)
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| プロフィール |
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神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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