平安妖異伝 大活字本 上巻
2025年05月04日(Sun)
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読書記録:
平安の御代、年若く未来の栄華など知る由もない中納言 藤原道長が、父の開催した宴で起きた怪異をきっかけに知り合った楽師の少年とともに、その後も様々な怪異に関わってゆくお話。連作短編集。
収録されているのは「花と楽人」「源頼光の姫」「樹下美人」「孔雀に乗った女」「狛笛を吹く女」の5編。新潮文庫の同タイトル書籍を、A5判かつ大きい活字で2分冊にしたものの前半です。 母が最近小さい字が読めないとこぼしていたので図書館で借りてみたのを、私もめくってみたらこれが存外読みやすくて(苦笑)
内容的には……文庫版レビューでも触れられている通り、夢枕陰陽師を彷彿とさせられるところが多々あります。ただあちらはフィクション度合いがかなり強めですが、こちらはけっこう史実より。 この巻の最初の方で兼家パパが亡くなり、長兄道隆が摂政を継ぐあたりの時系列です。一条天皇は定子と婚姻済みなるも、まだ11歳。 他にも倫子、明子、定子、道兼、実資、斉信、公任、源俊賢に雅信などなど……実在の人物がどんどん出てきて、脳内映像は完全に、去年の「光る君へ」キャスティングで動いておりました(笑) 若かりし道長も、野心にがつがつするタイプではなく、良く言えば度量の広い、悪く言えば凡庸ないわゆる巻き込まれ型ワトソン的な存在で、柄本道長と印象が被りましたし。 しかしひとつだけこれは……と思ったのは……仕方のないことと言うか、むしろこれ書かれたの2000年頃らしいので、大河ドラマのほうが完全に後なんですが。 道長とコンビを組む天才楽師で十五歳の少年が、真比呂(まひろ)って名前なんですよ。道長が名前を呼ぶたびに「んん?」ってなって、物語から引き戻されてしまう切なさよ。 そんな真比呂に関しては、家族からもよく判らないと認識されている、謎の存在。でも愛されてはいるようで、「まだ子供ゆえ、罰するなら自分を」と異母兄が頭を下げてくれたりしてます。道長もよく判らんけどすごいやつだし、友達になりたいなというスタンスですが、道長自身がとにかく巻き込まれ体質で、いろんなものに魅入られては真比呂に助けられるのがテンプレのようになっています(苦笑) ただ今巻の最後「狛笛を吹く女」は、その後の藤原家について史実を知っていると、なかなかに味わい深いものが。 でも文庫版だとまだこれ真ん中なんですよね? この先どういうふうに話をまとめていくのやら……?
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No.4353
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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