よしなしことを、日々徒然に……
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 源氏物語 1巻 A・ウェイリー版
2025年04月17日(Thr) 
読書記録:


何度も紹介していますが、1925年、ちょうど100年前に独学で英語翻訳された源氏物語を、日本語に戻し翻訳された、ちょっと不思議でエキゾチックな源氏物語。この一巻では「桐壺」〜「明石」まで入って600ページちょっと。

1月のバタバタなタイミングで二週間、今回は延長込みで四週間ほど図書館から借りて、やっと265P、第五帖「若紫」まで読みました。
次に借りる頃には内容を忘れていそうなので、ひとまずメモです。

「エンペラー(帝)」の息子である「シャイニングプリンス・ゲンジ」が、「ワインのゴブレット(杯)」を傾け、「フルート(横笛)」を吹き、「シターン(和琴)」をかき鳴らし、ウツセミが残した薄いスカーフを手に思いを馳せたり、「聖者(高僧)」から「魔法の杖マジックウォンド(独鈷)」を贈られたりしています(笑)
翻案好きとしてはすごく面白いし、文章も判りやすいのですが……本を読む際、脳内でフルカラー映像化する私としては、ときどき映像がバグってしまうことも^^;;

でも面白翻訳単語のほとんどは、ちゃんと漢字も併記されていますし、ウェイリーさんがつけていた当時の注釈と、今回の戻し翻訳されたかたの追記注釈も入っているので、「これどういう意味??」と悩むことはほとんどありません。
っていうか、ウェイリーさんすごいですね……和歌の応酬する場面とかで、ちゃんと和歌もポエムとして翻訳してるんですよ。さすがに掛詞とかそこらへんを全部拾っている訳ではないようですが、この単語はこの古典を踏まえていて……とか、けっこう深いところまで注釈されたうえで、すごく判りやすいポエムにされています。

そして、肝心の内容ですが……私はおおもとの源氏物語を、与謝野晶子の「桐壺」ぐらいしか読んでいません。あとはコミカライズ版「あさきゆめみし」の「雲隠」までと、解説本などを何冊か。それにざくっと文庫一冊に抄訳されたものを、朗読動画で聴いたぐらいです。

■朗読 吉井勇訳『源氏物語』壱 - YouTube
 https://youtu.be/J-pgMTlcODw

それらから抱いていた印象が、けっこう変わりました。
源氏物語って、光源氏があちこちの女性に手を出して、口から出まかせでいろいろ言いくるめていく、プレイボーイのお話というイメージが強いじゃないですか?
でもここまで読んでみた感じ、そもそもウツセミとの最初の逢瀬で、関係を持ったとは明記されていないんですよ。この文章だと、一晩同じ部屋にいて、ただ口説き続けていただけとも受け取れます。そして二度目はスカーフを残して逃げられている訳で。
さらにフジツボとの不義密通も、初回は書かれていない。それっぽいことがあったらしいことを思い悩んでいる描写はありますが、けっこう唐突に出てきて驚きました。注釈によると、脱落した帖があるのではとのことでしたが、それにしても「あさきゆめみし」であれほどページを割かれていた部分がざくっとないんですよね。なので実質は宿下がり時に会いに行って……の1回だけ。まあその一回だけでも十分問題ではあるんですけど(苦笑)

さらに問題とされる若紫の誘拐に関しても、「ナースのショウナゴン(乳母少納言)」が、ゲンジに向かってはっきり「歓迎もされない見知らぬところになど、やりたくないのです(中略)あなたさまのところへ行かれるならば、どんなにか安堵いたしましょう(中略)もう少し大人になっていれば、あなたさまと結ばれることもございました」と訴えてるんですよ。ここまで言われて放置したら、むしろゲンジの方が悪者になっちゃいません??
そもそもゲンジ自身が12歳で顔も知らない相手といきなり政略結婚させられたのに、10歳の子供を引き取って数年後に……というのがそんなに問題視されることなのかなあ、とも思ったり。 むしろ死亡隠蔽と女房誘拐になる、夕顔のほうがよっぽど犯罪臭が……(汗)

なんというか、この物語の主体はやはり女性で、シャイニングプリンス・ゲンジは、彼女達を引き立てるための、一種の舞台装置なんじゃないかという印象になったんですよね。少なくとも現時点では。
その場その場で適当なことを言っているように見えるのも、基本的に相手の女性が欲しがっている言葉を口にしていて、相手に恥をかかせないようにとふるまっている。軒端の荻とか特にそういう感じがしました。
この当時、女性に処女性は求められていない文化ですし、大河ドラマ「光る君へ」で道綱が石山寺でやらかしたあれを見てからこの場面を読むと、むしろさすがゲンジ、女性に恥をかかせないジェントルマン! って思えちゃいますもんww
さて、次はいつ借りられるかなあ……
No.4321 (読書)

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神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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