2015年03月10日の読書
2015年03月10日(Tue)
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本日の初読図書: 「侍女は銀色の銃を持って微笑む【加筆修正版】(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n1920be/
かつて騎士であったことを誇り、身内から騎士を出すことに執着していたクレスタ子爵家の先代。厳格なその父親に逆らえない現当主夫婦の間に生まれたのは、残念ながら女児であった。この国では女性の騎士は認められておらず、祖父はせめて真似事だけでもと、生まれたばかりの孫に貴族令嬢としてのそれではなく、最低限自衛のできる子爵家次期当主にすることを目的とした、厳しい教育を施すことに決める。 メルヴェルと男性名を付けられた彼女は、三歳の頃から剣を持たされ、訳もわからぬうちに剣技を学ばされた。五歳にして専門書を読むよう指導され、同年代の子供が絵本を読んでいる年頃に祖父の蔵書から知識を蓄えていくその姿は、周囲をおおいに驚かせた。 そんな彼女に転機が訪れたのは、七歳の時だった。 病弱で二人目は望めないだろうと言われていた母親が、奇跡的に男児を出産したのだ。弟 ―― すなわち、正統な跡継ぎである。 そのことによって、周囲は手のひらを返したように態度を変えた。 『貴方は姉上なのだからおしとやかになさい』 『淑女としての礼儀作法を覚えさせなければ』 『いずれはしかるべき家に嫁がせるのだから、剣など以ての外』と。 それまでの己を真っ向から否定されたメルヴェルは、屋敷を抜け出し森へと出かけるようになった。幸いにもというべきか、屋敷の者たちはみな幼い男児に夢中で、彼女が礼儀作法の授業をさぼっても何も言わず、いないことに気付きすらしない。 その日も子供用の小さな剣と、祖父のコレクションのひとつで【魔術】の術式を込めた弾を発射する銃を持ち出して、メルヴェルは森へとやってきていた。そうして彼女はそこで、運命の出会いを果たす。 森で魔獣に襲われていたのは、王家に最も親しいとされるアスコット公爵家の令嬢、レティシアであった。剣と銃と幸運をもって魔獣を倒し助けてくれたメルヴェルを、レティシア公爵令嬢はいたく気に入り、己の護衛兼侍女になってほしいと言い出す。 それは我が儘で一方的な物言いであったが、メルヴェルにも利益はあった。あの居場所のない家から出ることができるし、公爵家に仕える侍女としてきっちりとした礼儀作法を学ぶことができる。 かくして10歳の少女メルヴェルは、12歳の公爵令嬢レティシアの侍女となった。 やがてメルヴェルはレティシアを大恩ある唯一無二の主人とし、レティシアはメルヴェルを絶対的に信用できる侍女として側に置くようになる。 そして四年後 ―― レティシアは王太子の妃候補として後宮に上がることになった。実家から連れて行ける侍女は、たった一人。当然付き従ったのは、メルヴェルである。後宮には他にも9名の妃候補が集められており、彼女らとその使用人の間では、水面下で様々な駆け引きや嫌がらせが横行していて……
お姫様と王子様は脇役で、主人公は侍女です。 途中でいきなり異世界トリップ要素とかも入ってきますが、それも脇道。 ざっくりまとめると、結局はじれじれ恋愛が絡むサクセスストーリーかつ、見返し系FTかな? 完結済ではあるんですが……ダウンロードだけしてほっといたのをようやく読んでみたら、どうも作者さん既に退会されてるようで(苦笑)
内容は、もっとガンガン銃を撃って王宮の裏側で暗躍するのかと思ったら、意外に普通に侍女をやってました。女性は騎士になれない、けれど後宮には騎士が入れない。おまけに王族の側に侍る侍女や侍従達は、貴族の子女であることを鼻にかけて、ろくに仕事をしない腐敗ぶりに、王太子と公爵令嬢がバッサバッサとメスを入れていく。で、メルヴェルは女性でありながら戦闘力も持っているのと、主人に対する忠義心を周囲に認められて、騎士団長クラスの達人たちにどんどん理解者を増やしていく、と。 ただ彼女は幼い頃のあれこれで人間不信気味かつ、鉄面皮に近いコミュニケーション苦手なタイプなので、周囲から好意を向けられても、なかなか打ち解けることができない訳で。 あ、言っとくけど逆ハーじゃありません。好意ってのは、父親のように「危なっかしいな」と気にかけられたリ、あるいは「主人を守るために武器を取る同志」みたいな、あくまで友情・親愛レベルです。恋愛対象になるのはちゃんと一人だけ。 この恋愛がですねえ、またどっちも口下手で鉄面皮で朴念仁なものだから、読んでいてやきもきすることやきもきすること! そしてときめきも、燃え上がるような情熱も、嫉妬もない。けれど一緒にいると確かに心が安らいで、家族になりたいと素直に思える。そんな穏やかだけれど、ゆったりとした関係もまた悪くないなあといったカップルでした。
ちなみに今回の映像イメージは「カルバニア物語」のTONOさんの絵柄で★ ……ってか、キャラクターの外見描写が少なめなんですよね。ユリウス(子爵家の跡取りでメルヴェルの弟)とか、最後の最後で茶色の巻き毛とか書かれてて「え、そうなの!?」とかなっちゃいましたよ<メルヴェルは黒髪 私は文章を脳内で映像展開するタチなので、髪と目の色とか身体つきとかは、こまめかつ何度も念を押す説明が欲しいところです。
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No.6650
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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