よしなしことを、日々徒然に……
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 音が気になる
2015年03月03日(Tue) 
……なんというか、ここしばらく、周囲の音が耳障りでならんのですよ。
こういうことは前から時々あるんですが。人の声やテレビの音が辛いので、食事時にテレビついてる部屋で家族と同席するのもしんどいです。耳栓を幾つか試してみたこともあるけれど、あれは「騒音を普通の音量に抑える」とか「雑音を消すけど人の声は通す」といったものなので、全然意味がないし(−ー;)
それでも程度が軽い時は、ネット動画にある雑踏の音といった意味のない雑音をイヤホンで聞いてれば、まだ気が紛れるんですが、ここ数日はその音すら駄目で。
う〜、せっかく録画したクイズ番組のSPや、ドラマも見れやしない。それどころか居間にもいられない。ここのところ記事が読書記録で埋まっているのも、ひたすら活字に集中して、ストレスから逃避しようとしてるのが大きいんですよね……
あーもーー、何とかならんかいな(ため息)
No.6632 (日常)


 2015年03月03日の読書
2015年03月03日(Tue) 
本日の初読図書:
4087475905平面いぬ。 (集英社文庫)
乙一
集英社 2003-06

by G-Tools
父の実家があるその地方には、石の目、あるいは石のと呼ばれる伝承があった。人間を石にする目を持つ、化け物の伝説。大人になるにつれ、そんなものは教訓や戒めを子供に言い聞かせるための、おとぎ話にすぎないと判っていった。それでも地元の人々は、石の目が棲むという山にはほとんど入ろうとせず、そこの地形に関する情報は乏しかった。母は、わたしが小学生の頃、その山に入って行ったきり行方が判らなくなっていた。そんな母の遺体を探すため、わたしは夏休みになると山に登る。その話をすると、興味を覚えたのか今年は同僚のN先生がついてきた。ところが不案内な山の中で足を踏み外し、わたし達は崖下に落ちて遭難してしまう。足を痛めたN先生を背負って辿り着いたのは、数多くの精巧な石像が周囲を囲む、山中の民家。住んでいた老婆は助けてくれはしたものの、けして自分の顔を見てはいけないと言って ―― 「石の目」
はじめは不思議な少女だった。出会いは、小学校四年生の時。最初は木園淳男と管耕平の二人で、ヒヨコ殺しの架空の犯人として作り出した、口からでまかせの存在に過ぎなかった。ところが噂は噂を呼び、いつしか一帯で起きる子供のイタズラは、すべて彼女の仕業とされていった。二人ははじめについての設定をどんどん細かく作りこんでいき……そうしていつしか二人の目には、彼女の存在がはっきりと見え、耳には快活なその言葉が聞こえるようになっていた。三人で地下道を冒険したり、閉店した駄菓子屋を荒らしに入ったりと、彼らは楽しく遊んだ。けれどはじめの姿が見えるのは、淳男と耕平の二人だけ。彼女はあくまで幻覚にすぎない存在で ―― 「はじめ」
アル中のぬいぐるみ作家が遺作として残したのは、五体のぬいぐるみだった。王子様とお姫様と騎士と白馬、そして残り布でできた手足の長さもバラバラな、つぎはぎの青い一体。彼らはそれぞれ意志を持っており、人形同士で話し合ったり動くこともできた。けれど動く人形だと判ったら返品されると店で言い聞かされたので、黙って普通の人形のふりをしていた。ある日、小さな女の子の誕生日プレゼントとして王子と姫と騎士と馬が選ばれ、青い一体……ブルーはおまけとしていっしょに買われた。しかし少女はきれいな四体は気に入ってかわいがったけれど、ブルーは乱暴者の弟に押し付けてしまい ―― 「BLUE」
高校を卒業したら、家業を継いで彫師になるという友人に誘われて、わたしは謎の中国人の手で腕に犬の刺青を入れる。ポッキーと名づけた三センチほどの青いそれは、ふと目を離した隙にあちらこちらへと動いては、皮膚にあるほくろやニキビを食べ始めた。幸い糞はしなかったが、時おり鳴き声を上げるので、周囲から隠すのに苦労した。けれどポッキーを見ているのは楽しかった。刺青を入れたなど、家族に知られれば怒られるに違いない。そう思って秘密にしていたわたしにつきつけられたのは、折り合いの良くない父と母と弟の三人共が、癌で余命半年だという宣告だった ―― 「平面いぬ。」

名前は以前から聞いたことがあったけど、一冊も読んだことがなかった乙一さん。
タイトルと表紙に心惹かれて手に取ってみました。
う〜ん、これはなんて言うんだろう。ホラーというには弱いけど、単なるファンタジーとはちょっと違う感じ。大人向けの童話とでも表現するべきでしょうか。けしてハッピーエンドではないけれど、読後感は悪くなく、何かが心に残る。そんな印象。

「BLUE」以外の三作はどれも主人公の一人称で語られており、限られた情報を少しずつ淡々と積み上げていく雰囲気が、なんだか独特に感じられました。
特に「石の目」などは、かなり進むまで主人公のS先生の性別を勘違いしていたぐらいで。
だって人称代名詞「わたし」だし、言葉遣いがていねいだったから、てっきり女性だとばかり(苦笑)
内容的には、その「石の目」が一番好き……というか、深く印象に残りました。
読んでいて思い浮かんだのは、那州雪絵さんの「魔法使いの娘〜」シリーズ。
脳内に展開される映像イメージのカメラワークといい、理不尽でありぞっとするほど怖く、怪奇現象が関わっているのに、一番怖いのは人間の心だったというところといい、まさにあんな感じ。
乾いた切なさを残す、ラストの余韻も見事でした。なんとなく耳の奥に蝉の声がこびりつくような。
「はじめ」は、うって変わって神谷悠さんの絵柄が思い浮かびました。
子供の頃の無鉄砲さや、何かがきらめいているような明るさ、子供達の間でいつしか広がってゆくまことしやかな噂話。そこに加わる一滴の不思議のエッセンス。普通なら一夏のファンタジーぐらいで抑えてしまいそうなところを、八年間にも引き伸ばしたところがさすがかと。
「BLUE」はちょっとホラーテイスト。ケリーさんなんで死んじゃったんだろうとか、不思議な布や謎の骨董屋の正体はいかに?? など、解かれない謎が残りまくってるんですよね。そしてこのお話も、子供の残酷さが切ないっす。
そして表紙と表題作の「平面いぬ。」。これは「はじめ」と「BLUE」を足して二で割ったような雰囲気でした。謎の中国人のお姉さんは、BLUEで出て来た骨董品屋の関係者かも? とか思ったりして。
叙述トリック的な仕掛けもあり、少女の別れと成長の物語でもある訳ですが。やっぱりなんといってもポッキーが可愛い! の一言につきます(笑)
……しかし高校二年生で、いきなりその場の思いつきで腕にタトゥーを入れてしまえるその感覚は、さすがにちょっと共感できないかもと思ってしまうのは、私が年をとったからか……

あ、あとほくろやニキビを食べるというエピソードになんか覚えがある……としばらく頭を悩ませて、ようやく思い出せました。
TONOさんのチキタGUGUシリーズだ(笑)
あれもなんというか、いろいろと複雑で切ないお話だったなあ……
No.6633 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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