ここで終わるのか!
2014年12月14日(Sun)
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映画ホビット二作目「竜に奪われた王国」。
三作目公開を控えて、やっと映画館行くのと変わらない(むしろ安い)廉価版が出てくれました。 いつも言ってますが、トイレが近い上に台詞を聞き落としまくる私には、好きな時に停止・巻き戻しできるDVDの方が、むしろありがたいのですよ。 今回も日本語吹き替えと日本語字幕を、同時に選択して視聴しました。 これは案外良い方法で、同時に見聞きすると、けっこう違う翻訳がされていて、お互いに内容を補完できるんです。情報量自体は圧倒的に吹き替えのほうが多いんですが、たとえば吹き替えではビヨルンのことを単に「姿を変える力がある」としか言ってませんが、字幕では「“皮を変える者”じゃ」と原作に近い味わいある表現に。他にも台詞で「エレボール」とか「ネクロマンサー」、「スティング」と連呼されても、予備知識のない人には「何のことだったっけ?」となりそうですが、字幕で「はなれ山」、「死人遣い」、「つらぬき丸」と出ていると、話がより判りやすいです。
でもって。 とりあえず、最初に再生した段階で、一番気になってしまったこと。 ……ドワーフ達うぜぇ_| ̄|○
そうだよ、前に原作読み返そうとした時も、あんまりにもドワーフ一行が何につけても文句タラタラで、頑張って助けてくれてるビルボや周囲のことを思いやらないのにうんざりして、挫折したのでした。 それはある意味、原作に忠実であるんですが……だけど特にトーリン、あんた一作目のラストでデレてたやん! せめてもうちょっと、ビルボのことぐらい考えてやろうよ。オーリやバーリンが「助けに行こう」って言っても、「盗人一人のために、すべてをふいにはできん」とか言ってるし。 ……いや結局は先頭切って助けに行くし、他にも細かいところでちょこちょこ「さすがは忍び」とか「良くやった」とか「鷹の目を持ってる」とか褒めてたり、川下りのシーンでもレゴラスのことをなんだかんだ言いつつ斧投げて援護してやるあたり、やっぱりトーリンは心底ツンデレなだけで、根は人の上に立つに相応しい度量があるのかもしれませんが。それにしたって判りにくいよ! ……ラストの熔けた黄金ドバーーーーッッなんて、あれ普通に考えたら下にいるビルボは巻き添えだよね。むしろなんで無事なのビルボ??
とまあ、そんなマイナスポイントはさておき。
全体的には、今回も非常に楽しかったです。トイレ休憩以外は161分ノンストップ視聴。 特に終盤は、はなれ山サイド・ガンダルフサイド・湖の町サイドでめまぐるしく視点が交錯して、もうハラハラ・ドキドキ、お腹いっぱいです。 実は上記の理由で原作を読み返せていないおかげで、ストーリー展開をほとんど覚えていません。おかげでかなり新鮮な気持ちで踊らされています(笑) ただレゴラスが活躍し過ぎなのは、おぼろな記憶でもよく判ったvv ヤツは原作ホビットには登場しなかったはずなのに、戦うこと戦うこと。まあ制作サイドとしては、綺麗どころが必要なのは判りますけどね。実際、彼の無双シーンは、私も画面かぶりつきだったしvv レゴラス一人で倒したゴブリン&オークの数をカウントしてみたい(笑) そして予告編でオリキャラの女性のエルフ(タウリエル)が出てきていて、彼女との恋愛模様があるとの噂を聞き「えええぇぇぇえ!?」となっていたら、むしろメインお相手はキーリかよ! キーリ&フィーリの兄弟がドワーフにしてはやけに美形だと思っていたら、まさかそっちに行くとは。いいぞもっとやれ★<異種族間恋愛大好き
レゴラスがこの段階ではまだ「ドワーフ嫌いの高慢ちきエルフ」なのがまた、ロード・オブ・ザ・リングを知っていると、ニヤリとできるんですよね。特にグローインの持ってた息子(ギムリ)の姿絵を見て、「醜い生き物」とか「ゴブリンの子か」とか言ってるのがvv きみ60年後にはその醜いドワーフと、種族を超えた堅い友情を結ぶんだぜ★
スラパパ(スランドゥイル@レゴラスの父)が、イメージしていたよりかなり傲慢で頑なだったのは、ちょっと残念だったかなあ。ロード〜以降の二次創作の影響で、私の中の彼のイメージは、気難しいところもあるけれど、根は陽気な酒飲みエルフだったので。
話は戻って、まずは冒頭、踊る仔馬亭。やあ、懐かしい! 私が最初にこの名称を知ったのは、指輪物語にインスパイアされたマンガ「辺境警備」が雑誌連載されていた頃です。そして映画「ロード・オブ・ザ・リング」公開からだって、もう何年が経ったことか。仔馬の踊る看板が映った瞬間にもう、うわぁぁああ! ってテンションが上りました。 ここでの時系列は、一年前。ガンダルフがトーリンと出会い、アーケン石を取り戻す話を持ちかける場面です。……そう考えると、後々の五軍の戦いは、ガンダルフが原因とも言えなくもないのかな、なんて思ったりもしたり。 いやまあ、最終的には闇の勢力を削ぐことになった上、行方不明だった一つの指輪が発見されビルボが安全に保管するという流れになったから、結果オーライではあるんですが。
ともあれ、懐かしい酒場の光景を経て、時間は現在(ロード・オブ・ザ・リングからは60年前)に戻り、ビルボはすっかり「忍び」の役目が身について、斥候先で熊人ビヨルンを目撃しています。 このあたりはまるで原作を覚えていないので、ロード〜の頃より獣系の特撮の質が上がったなあ、ぐらいでした。あ、夜中にビヨルン帰ってきたのに気づいたビルボが、その後、眠気に負けてるのにはちょっと笑った。寝るなよそこでvv あと白黒ぶちのポニー達が、すっごく綺麗でした。たてがみと尻尾がフッサフサで、シャンプー何使ってるか教えて下さい、って感じ。
綺麗といえば、闇の森で道に迷った際、ビルボが樹に登って夕陽を見るシーンも素敵でした。 紅葉した葉に、青い蝶が群れをなして舞い上がり、遠くに夕陽と湖とはなれ山。このシリーズでは美しい風景がたくさん出てきますが、その中でも屈指の名場面だと思います。
しかしその下では大蜘蛛が……(((( ;゜Д゜)))) ガクガクブルブル ああいう映像を見ると、私はやはり伴道さん(うちのオリキャラ)にはなれないと、しみじみ実感しますね(−ー;)
そして闇の森のエルフたちの登場から連行、投獄、脱出。レゴラスの活躍は上でも触れましたが、樹の間をビュンビュン飛び移ったり、ドワーフ達の頭を踏みつけて弓を射るシーンは、人を超越した生き物っぽく、やはりすげえ格好良かったです。 タウリエルに片思いしてるっぽいところとか、オークと素手で殴りあって鼻血 → 怒って馬で追いかけるなど、今回のレゴさんは、ロード〜とは別の方向に感情的で猛々しいイメージがありました。 そういえば闇の森のエルフは、どうやら基本茶髪なんですね。王族のスラパパとレゴさんだけが金髪。で、裂け谷のエルフは黒髪で、ガラドリエルの奥方のところは金髪。このへんの詳しい血筋とか種族関係は、もう忘れちゃったなあ……
そのドワーフ達が樽に乗って川下りのシーンは、原作ファンにとって絶対外せない重要ポイントでしょう。 樽を転がり落としてからの、一人取り残されて「あれ?」なマーティン@ビルボと、床下で急流に逆らいつつ来るのを待ってたトーリンの「見事だ、バギンズ殿」の流れが微笑ましくてならんのですが。 そしてドル・グルドゥアでガンダルフが、珍しく魔法使いらしい戦い方をしていたのも見どころのひとつかと。この頃はまだサウロンの復活を知らなかったから、影響与える心配もないと、普通に魔法使ってたんでしょうかね?
湖の町エスガロスのバルドは……ぜんっぜん記憶に残っていないんですが、彼、原作にいましたっけ?? すごく良い人で、町の人のことを思って正論を言って、ドワーフ一行にだってずいぶん力を貸してあげたのに……なんだか報われてない感がすごくあって、今のところ非常に気の毒に感じられます。 ドワーフ達のある意味妄執と、悪徳領主の欲望や保身、虐げられた民達の鬱屈などが絡み合って、いわば常識人である彼とその一家は取り残された「悪者」状態です。 次作でスマウグが飛来した時、バルドが持っていた黒い矢を放つのは、いったい誰なのでしょう。果たしてバルドの想いや働きが報われる日は来るのか。 少なくともビルボは、バルドの祖先が放った黒い矢によって、スマウグの胸の鱗が確かに剥がされていたと知っている。そしてそれを後世に、赤本としてちゃんと書き残す。歴史に名を刻めたことは、せめてもの救いと言えるのか。
コメディタッチの強かった一作目「思いがけない冒険」と異なり、今回はわりとドロドロした種族や立場の対立・争いが目立ちました。 行く先々で捕らえられては、連行されるドワーフ達。あるいは取引を持ちかけられ、断った結果すべてを奪われて幽閉され、あるいは逆に取引を持ちかけ、欲得ずくでの協力を取り付ける。 闇の勢力たるサウロンの配下だけではなく、エルフも人間もドワーフも、あるいはガンダルフさえ(世界のために闇の勢力を削ぎたい=そのためならドワーフ達は見捨てしまっても仕方がないと決断)それぞれのことばかりを考えて、それぞれの身を守り、利益を得るために行動している。まさに現在の世界の縮図を見ているようです。 これが様々な陣営・種族が入り混じった、三作目の五軍の戦いへと繋がってゆくのか……
シリアス面といえば、今回はビルボが少しずつ指輪の魔力に影響されていく点も、描かれています。 指輪を奪われないためならば、なんでもしそうになる。その手で何をも排除しそうになる。 そんなふうに変化していきつつある己に自覚があるからこそ、彼はスマウグが「アーケン石によってトーリンが堕落していくさまを見てみたい」と言うのを聞いて、石を ―― 拾ってこれたかどうかは、この段階ではまだはっきりしてませんが ―― トーリンに渡すことへ、ためらいを覚えたのではないでしょうか。 財宝に、玉座に執着することの恐ろしさ。最初は確かに純粋な理想があったはずなのに、指輪やアーケン石によって、まっすぐな心が歪められていく。その恐怖をビルボは肌で感じているのかもしれない。そう思いました。
岩山の上で鍵穴が見つけられず、ドワーフ達が早々に諦めて帰っていっちゃうのに、またもちょっとイラッと。自分達の都合であれだけあっちこっちに迷惑かけて、ビルボをさんざん引きずり回したくせに、もう少しは粘ろうよ!? 頭使えよ!? と。 ……まあそれこそが、製作者サイドの狙いなんでしょうが、さすがにここではやりすぎ感が強かったような。 それでもなんとか扉を開けたら、今度はビルボに一人で行かせて、えええ!? と。 バーリンこそ途中まで見送ってたけどさ。他のみんなもせめて近くで見守ろうよ。あるいは見つかった時にはスマウグの気を引く囮になるとか考えようよ、みたいなさあ。 トーリンは既に財宝に心を蝕まれつつあるようで、前回抱きしめたばかりのビルボに、「石は見つけたのか」っつーて剣を向けちゃったりしてますし……
そしてスマウグは、予告編より画面が明るくなって細部がよく見えるようになった分、期待していたよりはちょっと迫力ダウンだったかな。 ってかビルボ、忍び込んでんのに悠長にノックすんなよ。あの巨体相手に、なんとかでもしらを切りつつ会話できるその胆力は、確かにすごいけどさ(苦笑) 声とモーションキャプチャーは、ドラマSHERLOCKのシャーロック@ベネディクト・カンバーバッチが担当しているらしいです。それにしてはグネグネとした人間離れした動きだったのは、ベネさんを褒めるべきなのか、むしろベネさんらしさがほとんど感じとれなかったと残念に思うべきなのか(あれがベネさんの素だったら、それはそれで怖いな/苦笑)
その後のスマウグとの戦闘シーンは、確かに圧巻。 静寂の中、チャリーンと落ちてくる金貨、息を潜める頭上を通り過ぎていくスマウグの巨体 ―― からの、息をつかせぬ怒涛のアクション。炎のブレスを吐く前に光るスマウグの喉に、RPGならここが攻撃するタイミングだ! とか手に汗握ってみたり。 そしてブレスで炉に火を入れさせたトーリンの機転は、あるいはビルボからの影響だったりすると、嬉しいような気がしたり。 巨大黄金像を見た時は、一瞬このまま怪獣大戦争になだれ込むのかと危ぶみましたが、それがまさかああ使われるとは。しかもさらにまさかのノーダメージ(汗)
……そして物語は、湖の町へと飛び立つスマウグで終わる。 「僕達のせいだ……」と呆然とするビルボに、彼の絶望がうかがえます。 これから起きるだろう大惨事を引き起こしたのは、確かに彼らとも言えるわけで。
ううう〜〜見終わったばかりなのに、続きが気になる〜〜〜 《o(><)o》
最終話「決戦のゆくえ」。展開が辛いのは、もう判りきっています。 ロード〜でも多くの人死が出ましたが、そのほとんどは大切なものを守って戦おうと、闇に立ち向かう覚悟を決めた兵士達でした。 しかし今度は多くの無辜の民が猛火に焼かれ、そして闇の勢力だけでなく様々な種族が、我欲を抱いて互いに相争います。その姿はあまりに醜く、そして切ない。
そんな物語が、はたしてどんな結末を迎えるものか。
公開時に元気があれば、映画館まで見に行ってみたいものですが……どうかなあ……誰か一緒に行ってくれる人がいれば良いのになあ……
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No.6428
(映像)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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