よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年11月01日の読書
2014年11月01日(Sat) 
本日の初読図書:
4048725882世紀末ロンドン・ラプソディ―A Study in Violet
水城 嶺子
角川書店 1990-06

by G-Tools
1989年1月5日。京都。
年号が平成に変わるまでもうあと数日というその日、同志社大学の院生で英文学を専攻している女子大生 森瑞希は、雪景色の校舎を撮影しようと夜の校内を訪れていた。そして突然の地震の後、彼女は人気のない校内の一室で見たこともない不思議な構造物を発見する。激しい揺り戻しで降り注ぐ窓ガラスの破片から逃れようとした瑞希は、とっさにその構造物の中へと飛び込んでいた。倒れこむ肘がなにか丸いものにぶつかり、その構造物は鈍い音と振動を放ちつつ作動し始める……
そして1889年1月6日のロンドン。
一昨年前「緋色の研究」を発表したジョン・ワトソン博士は、次作「四つの署名」の執筆を開始していた。僕を冒険活劇のヒーローにするのはやめろと口うるさい偏屈な同居人を、読者から面白い事件が持ち込まれるかもしれないじゃないか、などとなだめながら。
そんなシャーロック・ホームズとドクター・ワトソンの元を訪れたその日の依頼人は、ハーバード・ジョージ・ウエルズと名乗った。なんでもここ数日、誰かに命を狙われているのだという。しかしその理由を聞いたワトソンは、彼を被害妄想患者か麻薬中毒者ではないかと考えた。何故ならウエルズはタイム・マシンの開発に成功しており、狙われているのはその研究のためだと主張したのである。
とても信じがたい話だったが、しかし彼が語るには、昨日襲われた際にそのタイム・マシンが作動してしまい、人を乗せないままどこともしれない時間と場所へ消えてしまった。そして安全装置が働いて戻ってきた時には、その中に気を失った風変わりな格好のジャパニーズ・ガールが乗っていたのだと。
幸い英語が通じたその少女に、ウエルズはシャーロック・ホームズへ相談しに行くことを薦められたとのことだった。彼女はウエルズのこともシャーロック・ホームズのことも、説明される前から知っていたのだ。
本来ならばとても信じられない話だったが、しかし唯一ウエルズの研究のことを知っていたカーマイクル・アルバート博士が、折しも昨夜何者かに殺害されていたこと。そしてカーマイクル博士は他でもない、ディオゲネス・クラブの会員だったことから、ホームズは興味を覚えたようだった。
しかし翌朝221Bを訪れたのは、ウエルズではなく東洋人のジャパニーズ・ガール、ミズキで。
彼女の話によると、ウエルズは昨夜ホームズからだという手紙に呼び出されて出かけてゆき、朝になっても帰ってこなかった。倉庫に保管されていたタイム・マシンも、何者かによって持ち去られてしまっているらしい。
かくしてホームズ、ワトソン、ミズキにホームズの兄マイクロフトは、タイムマシンを巡る事件の捜査に着手した。だがディオゲネス・クラブの会員で「バート」の愛称を持つ者が連続して殺害され、さらには「夜叉」と名乗る謎の組織から、ウエルズの命とタイム・マシンと引き換えに、世に名高い宝石「レディ・ヴァイオレット」と百万ポンドを要求する手紙が届き……

Amazon をウロウロしていたら、おすすめ作品として表示されたので、手にとってみました。
装丁や挿絵はお堅めのハードカバーですが、内容はむしろライトノベルよりのパスティーシュかと。
なにしろ現代(といっても、もう四半世紀も前ですが)のシャーロキアンな女子大生が、H・G・ウエルズのタイムマシンに乗って、十九世紀のロンドンへタイムスリップ。憧れのホームズさんといっしょに冒険を繰り広げるという内容ですよ(笑)
しかもホームズさんの淡い初恋とか、ヒロインとのほのか〜〜なロマンスとかもあるんですよ。
それってどこの夢小説よww

とは言え瑞希は、当初心配したような恋愛にうつつを抜かす、苛つくようなミーハーの足手まといではなく。推理でもアクションシーンでもそれなりに活躍するし、ホームズさんへの想いもじっと胸の内に秘めて、場をわきまえた態度を取っています。
いやほんと、最初の頃は正直読み進めるのがけっこうしんどかったんですよ。でも編集者視点のプロローグと現代の瑞希視点の第一章を過ぎて、ワトソンさん視点になってからは面白くなっていきました。その後は状況に応じてワトソンさんと瑞希の視点が切り替わって行きますが、もうそこまでいくと瑞希視点でも気には障らず。
ホームズと恋愛なんて相容れないと思っている私でも、このぐらいのエッセンスなら夢見ても良いんじゃない? と思いました。
……まあ全体的に推理ものというよりは、それこそホームズさんが嫌うアクション重視なSF冒険活劇っぽかったですけど。でもちゃんと事件ものでしたし、タイム・マシンを駆使して行き交う時間のたどり着く先がまた、唸らせられるんだ、これが。
二次創作としてはなかなかの出来だったと思います。

ちょっと気になったのは、これある程度は知識のあるホームズファンじゃないと、ストーリーがあんまり楽しめないのではないかという点。
傘を忘れたジェイムズ・フィリモア氏とか、ホームズのお兄さんはマイクロフトでディオゲネス・クラブの会員かつ政府の重要機関に云々とか、ホームズは女性嫌いでとか、当たり前の事実のように語られてますからね。
そもそも主役の瑞希からして、相当重度のシャーロキアン。
普通の読者程度じゃあ「1889年には、まだブルース・パーティントン事件は起きていなかった」とか、脳内ホームズ年表ひも解いたりできねえよ(苦笑)

あと瑞希がホームズさんのことをシャーロックって呼ぶのが、個人的に違和感を覚えました。
別にマイクロフトと区別をつけるためではなく、最初は一生懸命「ホームズさん」って呼んでるんですが、気がゆるむとシャーロックになるんです。
一般的な日本語翻訳を読んで育ったファンは、原作版の場合ホームズ&ワトソン呼びになると思ってしまうのは、私の偏見ですかねえ。
だからこそ、現代版ドラマで二人がファーストネームで呼び合っているのが、すっごく新鮮に感じたと思うんですが。

でもまあともあれ。
なかなか面白いお話でした。
読まれる方は、事前にホームズシリーズの他、H・G・ウエルズ「タイム・マシン」にも目を通しておかれたほうが、より話を楽しめると思います。
あとほんの一行言及されるだけですが、ヴェルヌの「八十日間世界一周」も、知っているとちょっぴりニヤリとできたりとか( ̄ー ̄)
No.6303 (読書)


 思い出した頃にやってくる(−ー;)
2014年11月01日(Sat) 
……昨日から散発的に20件以上迷惑コメントがやってきて、もううんざり。
昨日今日だけで7〜8個はアクセス禁止IP追加したよ……まったく手を変え品を変え、うっとおしいったらありません(怒)
数分で20件立て続けに書き込まれるのも嫌ですが、IP変えながら2〜3件ずつ時間をおいて投稿されるのも、地味にダメージが蓄積されます(−ー;)

そんなこんなであんまり苛ついたので、気分治しに GOM Player をインストールしました<まったく理由になってない

■ GOM Player【ゴムプレーヤー】
 http://www.gomplayer.jp/player/

FLVを始めとした、さまざまな種類の動画を再生できるプレイヤーです。
以前のXPには RealPlayer を入れていたのですが、どうにも動作が重かったり、タスクトレイに常駐して余計なメッセージを頻繁に表示するとか、フリーソフトを謳っているくせに有料版へのバージョンアップメッセージがうるさいほど出るとかいった点が気になったので、PCを買い替えた際に断捨離したソフトの一つでした。
でもねえ、やっぱりHDD内にある動画データが、思った時に再生できないのはもったいないなあと。
ちなみにこの GOM Player で一番気に入ったのは、左右カーソルキーで10秒ジャンプができることだったりします。
普通にテレビで録画した番組を見ている時でも、頻繁に台詞を聞き落とす私の場合、10秒巻き戻しボタンが大活躍なんですよ(苦笑)

……結局はこうしてどんどん、インストールするソフトが増えていくんだよなあ……(遠い目)
No.6304 (電脳)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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