2014年07月17日の読書
2014年07月17日(Thr)
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本日の初読図書: 川崎宿で生まれ育った旅籠屋の娘おちかは、17歳になって間もなく、訳あって江戸に住む叔父の元へと身を寄せることになった。叔父の伊兵衛は振り売りから一代で袋物屋三島屋を構えた、なかなかの傑物である。二人の息子も育ち上がり、跡取りの心配はなくなった。そんな折りに姪を預かってほしいと頼まれた伊兵衛とお民の夫婦は、女中奉公というより娘同然の行儀見習いとして喜んでおちかを受け入れたのである。 しかしおちかはお嬢様扱いを拒み、女中としてひたすら働くことを望んでいた。なぜならそうしている間だけ、心の内に巣食う深い悲しみや苦しみを忘れることができるからだった。 せっせと働くおちかを伊兵衛夫婦も女中頭のおしまも、ありがたく思いながら心配していたが、心を閉ざした彼女にとっては、それすらもが重荷になっている。 そんなある日のこと、急な用事で伊兵衛夫婦が外出することになり、約束していた客人をおちかが相手しなければならなくなった。他人と接することを好まないおちかもしかたなく、話し相手として客人と相対する。 そしてそこで聞かされたのは、初老に達した建具問屋松田屋籐吉の、過去を懺悔する不可思議な物語で。 長年胸につかえていた罪をすべて吐き出していった藤吉は、その数日後、眠るように安らかな顔で息を引き取ったということだった。 以来、伊兵衛は数日ごとに客を招くようになった。不思議な話を心に秘めた客達を。おちかはそんな客達の相手をし、彼らの物語を聞いてゆくうちに、己の過去を改めて見つめなおし始めて ――
引き続き宮部さんの江戸物を読もう月間。 「曼珠沙華」「凶宅」「邪恋」「魔鏡」「家鳴り」の五編が収録されています。 ……ううむ、比較的人情系が多い宮部さんの江戸ものにしては、今回は暗かったというかオチてないというか(−ー;) おちかちゃんの過去が救われないものなのも辛いですが、松太郎さんの心情を考えるとさらに辛く。そこへ持ってきて、「あなたは人でなしの味方ばかりしている」「松太郎を許さんと、あんたは自分で自分を許せない。全部、あんたの都合です」とか言われると、読んでいて痛い痛い痛い(><) まったくもって人の心の暗部、深層心理をえぐりまわしまくってくれます。 まあそれだけ、宮部さんの描写力が素晴らしいとも言えるんですが。 ただ最後にいきなりファンタジー要素が強くなった点や、あれこの人たち普通に許されちゃうの?? とか、良助さんだけほったらかし? とか、家守りの番頭は結局何者だったのかとか、番頭との間にいまいち決着がつかなかったところとかが、何だかモヤモヤの残る読後感になってしまいました。 いろんな人達の話を聞いていく中で培っていった様々な『縁』が、おちか達を守ってくれるというのは、まあ救いがあったんですけどね。 このシリーズはまだ続きが出ているようですが、そちらにはこの番頭が関わっているんでしょうか。そしてこの先もこの消化不良な雰囲気のままなのか。
ところで、いまタイトルで検索してみたら、これ来月ドラマ放送されるらしく。
■宮部みゆき原作 『おそろし〜三島屋変調百物語』 制作開始! | 時代劇シリーズ http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/7000/190020.html
2014年8月30日(土)スタート BSプレミアム 毎週土曜 午後8時〜8時58分 [連続5回]
ううむ、この時間帯だとリアルタイムはもちろん、録画もできなさそうだなあ(しょぼん) しかし個人的贔屓俳優佐野史郎さんは、はたしていったい誰の役をやるんだろう? あれか、家守りの番頭かな?? 宮崎美子さんも、クイズ番組で活躍されてるので好きな人です。叔母さんかなー、女中頭かなー、どっちだろう??
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No.6015
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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