よしなしことを、日々徒然に……
※ 2018年以降の記事は、別ブログの方へUPしています ※
新しいブログへは こちら からどうぞ。



 2014年07月12日の読書
2014年07月12日(Sat) 
本日の初読図書:
4488487017配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
大崎 梢
東京創元社 2009-03-20

by G-Tools
駅ビル六階にある中堅書店成風堂には、さまざまな客が訪れる。たとえば本を探しているのだが、タイトルも出版社も作者も判らないなどという相手もしょっちゅうである。その日やってきたのは、最近ちょっと痴呆症が始まったと思しき病床の老人から、本を買ってきてほしいと頼まれた友人男性だった。しかしメモに書かれた文字は「あのじゅうさにーち」「いいよんさんわん」といった、まったく意味の判らないもので……『パンダは囁く』
旅雑誌などをいくつも定期購読している老婦人、沢村の娘が成風堂を訪ねてきた。母と連絡が取れなくなったので実家を見に行くと、何日分もの新聞が溜まった状態でいなくなっていたのだという。沢村は早くに夫を亡くし、娘と息子を女手ひとつで育てていた。だが息子は二十年ほど前、高校時代にひき逃げで死亡。今では母一人娘一人らしい。失踪前に沢村は成風堂で何故か普段は買わない少女マンガを購入し、そして娘に「その中に、とても重要な事があったの」と電話していた。いわく息子の死について見落としていたことがあったから、調べてくると言い残していたそうで……『標野にて君が袖振る』
ある美容院で事件が起きて、騒ぎになっているという噂が流れてきていた。少々癖のあるうるさ型の常連客がいたのだが、その女性が店内で雑誌を読もうとした所、中に彼女の盗撮写真が挟まっており、侮辱するメッセージまで書かれていたのだという。常連女性は激怒しており、警察沙汰にすることも辞さない状態。このままでは店長が責任をとって辞める羽目になるかもしれなかった。当の雑誌は成風堂が配達したものであることなどから、書店員の杏子は事件の行く末を案じていた。そんなある日のこと、注文先へ雑誌の配達に回っていたバイトの博美が、駅の階段から転落する。幸い怪我は軽くすみ、ただ足を滑らせただけの事故だと思われた。だがそこへ、若い男が突き落としていったのだという目撃証言が出てきて……『配達赤ずきん』
その日成風堂にやってきたのは、キャリアウーマン然とした女性だった。つい先日まで病気で入院していた彼女は、母親から差し入れられた本で読書の楽しさを知ったのだという。そしてその本はすべて成風堂で同じ男性店員に勧められたのだと聞いて、お礼を言いに来たのだと話す。ところが五冊のラインナップを聞いてみると、ジャンルも傾向も幅広く、成風堂の店員でそれらを網羅できる人物は思い当たらなかった。案の定、誰も心当りがない。しかし彼女の母親は、確かにこの店で同じ人に勧められたと言っており……『六冊目のメッセージ』
出版社が販促活動として、人気マンガ「トロピカル」のディスプレイコンテストを企画した。新人バイトの角倉夕紀が興味を示し、彼女は友人たちに協力を募ってパネルなどを作成し、特設コーナーを作り上げる。見事な出来栄えのそれに訪れた客達も感心し、色紙や人形などの差し入れが加わった。ところが一夜が明けた翌日、開店準備に訪れた店員が見付けたのは、黒いスプレーで滅茶苦茶にされたディスプレイの姿だった。呆然とする彼らだったが、どうやらその事件の裏には、ネット上で持ち上がっている「トロピカル」の盗作疑惑が絡んでいるようで……『ディスプレイ・リプレイ』

しっかりものの書店員 木下杏子と、手先がかなり不器用でもたつくこともあるけれど、頭の回転は早く機転も利くバイトの女子大生 西巻多絵のコンビをメインに据えた、書店が舞台の日常の謎解き系短篇集。
シリーズ一巻目にして、後に出た「平台がおまちかね」、「背表紙は歌う」と同一世界観のお話です。
平台〜の方はミステリというより出版業界よもやま話に近い感じがしましたけど、こちらは比較的謎解き要素が高めでした。事件の質も、5話中2話は明確に警察沙汰になりましたし、残りのうち一話は過去にひき逃げによる死者が出ているし、もう一話も不法侵入&器物損壊と場合によっては刑事事件になりかねない展開。そういう意味では、思ったよりもビターだったかな? とはいえ殺人事件までは行かないし、やっぱりミステリよりも人間ドラマがメインっぽく。
しかしこれ、本好きにとっては、確かにおもしろいですわ。
登場する実在の作品のほとんどを、あいにく私は読んでいませんでしたが、それでも伝わってくる「この本は面白いんだぞ〜〜!」というオススメ感。 とりあえず「夏への扉」はいずれ読んでみようと思います(笑)

あと本屋あるあるvv
タイトルも出版社も作者も判らないのに買いに来る人、レジ横で聞いていて店員さんが気の毒になることがよくありました(うんうん)
良い子のみんなは、せめてタイトルと作者はメモしていこうね★ 出版社と文庫か単行本かなども判ると、なお店員さんに親切さっ(きゅぴーん)

……そしてごめんなさい。むか〜しの話ですが、本屋さんで気になった情報を、本買わずにメモしたことがあるのは私です……(懺悔) 若気の至りだったんや……後に携帯で撮影するのが電子万引きと呼ばれるようになって、初めて常識外だと知りました(−ー;)
いやうん、さすがに店員に紙とペン貸せとか、店内のコピー機使うところまでは行きませんでしたけどね。ううう、穴があったら入りたい……


ともあれ。
一作目の謎解きなどは、読んでいても読者には絶対に解けないだろう、本屋あるあるでしょうな。リアル書店員でもさすがにこれは無理かろう。しかし謎が明かされた時の「ああ!」という目から鱗が落ちるあの感覚。本好きなら、本棚に並ぶ背表紙を眺めて楽しい気持ちになる人なら、きっとみな手を打つのではないでしょうか。
二作目に登場する源氏物語のコミカライズ「あさきゆめみし」も、自分は読んではいませんでしたが、周囲ではけっこう話題になっていたので実に懐かしく。少なくとも絵柄は脳裏に浮かびました。確かに細かいところまでぎっちり描き込まれてたっけなあ……
三作目は本屋さんの意外なお仕事に、これまた目から鱗が落ちたというか。なるほど銀行とかお医者さんの待合室とか喫茶店とかに置いてある雑誌のたぐいは、こういうふうに購入されていたのかあと。普段なにげなく見過している一冊の本も、様々な人の手を経てその場所にやってくるんだとしみじみ思いました。
四作目は一番安心して読める、ほのぼのしたお話。はいはいお幸せにっていうかお前らばくは(ry
五作目は、自分も好きな作品についてネット上でいろいろ情報をやりとりしているだけに、考えさせられる部分もあるなあというか。でも極端はいかんよ極端は。 ……ところでこの話に出てくる『トロピカル』ってマンガはフィクションの作中作だと思うんですが、これってモデルはワ●ピだろうなあと感じるのは私だけでしょうか??

ともあれ、本当におもしろかったです!
ふふふふふ、これは続きも読まなければvv
No.6001 (読書)



<< 2014年07月 >>
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

サーチ :


 最新の記事
 2014年07月12日の読書

 リンク
 神崎へメール
 私立杜守図書館
 蔵書リスト

 

   

 ブログ内記事検索:
 
 AND OR  


Back to Home...

[管理用] [TOP]
shiromuku(fs6)DIARY version 2.41