よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年06月22日の読書
2014年06月22日(Sun) 
本日の初読図書:
475804032Xムシアオの森、カササギの剣 (一迅社文庫アイリス)
諸口 正巳 中村 龍徳
一迅社 2008-09-20

by G-Tools
父親が女を作って出てゆき、母親からは水商売で働くことを強要されそうになって、永山なゆたは十四歳になったその日に家を出た。ひとまず幼いころ唯一優しく接してくれた田舎の祖母のもとへ行こうとしたのだが、うろ覚えの記憶は頼りにならず、途中で道に迷ってしまう。
暗い森の中で意識を失った彼女は、気が付くと石でできた塔の中に監禁されていた。まるで監獄のような、粗末なベッドとトイレがあるだけの部屋。泣いても喚いても返ってくるものは何もなく、いつしかなゆたは差し入れられる食事を受取り、ただ流されるままに時を過ごしていた。
変化があったのは、二十日ほどが過ぎた嵐の晩のこと。激しい雷雨に石造りの塔さえもが破壊された。幸いにも傷を負わずにすんだなゆたは、手近な木を伝って逃げ出すことに成功する。しかし暗く深い森の中はどちらに進んでよいのかも判らない。そうこうするうちに巨大な肉食獣の姿をした化け物に襲われた彼女は、間一髪の所で二人連れの男に救われた。
整った顔立ちと長く尖った耳を持つ彼等は、まるで柳の枝のような尾まで備えていた。
なんでも彼等は椏人(あじん)と呼ばれる、いわば人型の“動く樹”なのだという。二千年の時を生きる椏人達は、自然によって人間とは住む世界を分けられているらしい。時おりなゆたのように椏人の領域に紛れ込んでくる人間もいるが、この森は人間が行き来するには危険すぎるのだと。
二人のうちの年長の方、長い金髪をした双剣使いの武人 鵲樟(ジャクス)は、なゆたを自分の屋敷へと連れ帰り、傷を手当したり不器用ながらも様々な気遣いを見せてくれた。だが彼の弟子だという黒髪の少年 来栖(クルス)は、なゆたを人畜生と呼び、侮蔑の色を隠さない。
やがてなゆたと鵲樟はじょじょに惹かれあうものを感じてゆくが、しかし椏人には恐ろしい秘密が隠されていて……

「小説家になろう」で諸口さんの「饗 −カーニバル− 」の転載が始まったのをきっかけに、積読の山から引っ張り出してきました。「饗」はこの「ムシアオ〜」の終盤で重要キャラになってくる哭帥(クー・シュアイ)、摩央(マオ)、嵬苑(カイエン)の三人がメインになったいわば前日譚であり、パイロット版です。
個人的に諸口作品の中では、ヤク退に続いて好きだった作品でして。今はメリバが追い越しましたが、それでもやっぱりヤンデレ溺愛系のハッピーエンドというのは楽しいものです。
……まあ諸口さんの場合、「幸せになるのは本人たちのみ」という注意書きがつくんですが(苦笑)

しかし今回のこのムシアオ〜は、読んでびっくりしましたね。
諸口さんにいったい何が!? と思ったぐらいです。
何故って、血しぶきが(そんなに)飛んでない。
ポロリ(内臓)も少なめだし、悲鳴も比較的控え目です。

……って、いつの間に私はこんなに教育されてしまったんだろう(^ー^;;)

イラストも珍しくガッツリ少女マンガな絵柄でしたが、しかしこの内容ならそれなりにマッチしていると思います。
少なくとも哭帥は、しっかりオーラのある壮年髭親父だったので満足でした。あと個人的イチオシキャラの嵬苑も、これはこれでなかなか。私は脳内で蟲師の化野先生をイメージしていたんですけど、中性的な顔立ちというからには、作者さんの意図する所にはこのイラストの方が近いんでしょうね。

そうそう嵬苑といえば、ラスト近くで驚きの事実が発覚して、読んでいて思わずニマニマしちゃいました。この設定って「饗」の頃からあったんですかねえ。
逆にこの「ムシアオ〜」の後に「饗」を読まれた方は、嵬苑の哭帥に対する真意にひっくり返るんでしょうが。どっちにしても美味しい脇キャラですvv

あれ、脇キャラのことしか書いてないよ……いやうん、なゆたと鵲樟の関係もこれはこれでなんというか、微笑ましいんですが。なゆたがあまりにも幼いというか、彼女がその過去ゆえにかなり歪んじゃっているという部分を少女小説レーベルの都合でか描写されきっていないので、いろいろな部分でいまひとつ物足りない感が。
鵲樟の方も、恋愛というよりはまだ庇護欲っぽくて、むしろ武人として剣を捧げられる主を見つけられた事のほうが嬉しいみたいだからなあ。
来栖の病みっぷりも、諸口さんの他作品に比べると、描写がまだまだというところ。
そんなこんなで全体的に、主役たちサイドの深みが足りない感じがしちゃって……もっとこう、人間(に準ずる知的生命体)ってドロドロとしていて、悩みや葛藤やらあるものだろう? 諸口さんならそれをガッツリ書けるはずだろう?? と。

…………本当に、私はいつの間にこんなに諸口さんに調教されてしまったんだ……(遠い目)

来栖のバックボーンやその後については、続編も視野に置かれたような書かれ方をしていましたが、どうも今のところ続きを望むのは無理そうな感じ。 Amazon さんの在庫とかを見る限り、絶版になる日も近そうなので、読みたいという方はお早めの購入をおすすめしたく。

ところで気になったポイントがひとつ。
摩央さん、ラストのほうで鵲樟に面と向かって「熊みたいな人想像してたけど、こんなにほっそりした方だったのね」とか言ってます。しかし中盤でなゆたに会って事情を聞いた時には「私ね、鵲樟に会ったことあるの」って言ってるんですよ。実際、宴会に連れて行かれた時、会話は交わしてないけど姿は見ているわけで。名前を知らなかったのなら外見イメージが結び付いてなかったと思えるけど、ちゃんと名前を把握してるみたいだし……ううむ、謎だ……
No.5942 (読書)


 連理の……
2014年06月22日(Sun) 
毎年グリーンカーテン代わりに植えているゴーヤとキュウリ。
季節になれば食卓をも賑わしてくれるそれらに、今年も実がつき始めました。
が、今年はなかなか珍しいキュウリが生ったので、思わず食べずにしばらく飾っておこうと思ったりとか。
どんなかというと、こんなの。



一見すると、大きいのと小さいのが並んでいるだけのように見えますが、よーく近くで見てみると……



この通り、二本がしっかり癒着しています。
これぞまさしく、連理のキュウリ(笑)
全体の形もまるでオンブバッタの夫婦のようで、ますます微笑ましいです。
しかしキュウリでは寿命もわずか数日。なんとも短い二世の契りですなあ……
No.5944 (日常)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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