よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年02月25日の読書
2014年02月25日(Tue) 
本日の初読図書:
B000J8D0RI一千億の針 (1979年) (創元推理文庫)
ハル・クレメント 小隅 黎
東京創元社 1979-11

by G-Tools
アメーバー状の身体を持つ異星体“捕り手”とバブ・キンネアドが共生生活を始めてから、はや七年が過ぎた。
二人は変わらぬ友情をはぐくんでいたが、しかしその関係にはじょじょに問題を生じ始めていた。バブの肉体機能がバランスを崩しつつあったのだ。免疫がほとんど失われ、血液も凝固しなくなった。さらには前触れもなく脱力感に襲われて動けなくなったり、吐き気や関節の痛みを感じることもあった。それは捕り手にとって地球人が未知の生物であったが故に、長年の共生生活の中で歪みが積み重なってきたためだと思われた。もはや捕り手の持つ知識では、バブを救うことはおぼつかない。そこで彼らは七年前に海底へ墜落した「ホシ」の宇宙船を探し出し、捕り手の同族達と連絡を取ろうと考えた。
七年前の段階では、捕り手はもはや母星と連絡することも、帰還することもできないと思っていた。しかし大学で天文学などを学んだ結果、同族達が自分の後を追ってきて、この惑星へとすでに訪れている可能性は十分にあると結論したのだ。彼らは地球人を新たな共生相手とするべく、現在は水面下で密かに調査に当たっているに違いない。ならばホシの宇宙船の残骸を見つけだせば、そこを監視しているであろう同族達とも接触でき、その中には弱り始めたバブの肉体を治療できるような生化学の専門家もいるであろうと。
折しも大学の卒業を迎えたバブと捕り手は、故郷のエル島へと戻ってきた。そこで捕り手の存在を知る医者と両親に事情を打ち明けて、海底に沈んでいるだろう宇宙船の捜索を始める。さらに協力者として、医者の娘であるジェニーが手を貸してくれた。交代でボートを出しては、金属探知器で調査を続けていた彼らだったが、しかしその途中で幾度も不可解な事故が起きる。あげくバブは心臓を焼き串で貫かれ、捕り手がいなければ死んでいただろう重傷を負った。
果たして調査の邪魔をしているのは何者なのか。その目的は?
そして本当にこの方法で、日に日に弱ってゆくバブを救うことは可能なのか?
焦りをつのらせる一同は、それでも少しずつ調査を進めてゆくのだが……

「二十億の針」の続編。やはり以前に一応読んではいますが、今回も旧版なので一応初読にカウントしました。
二巻目ということでか、けっこう詳しい島の地図がついています。
……前巻を読んだ時にうすうすそうじゃないかとは思っていたのですけれど、やっぱり地図は北が上ではありませんでした(苦笑)
普通「地図にL字型の島を描き込んだ」って書かれていたら、普通は長い辺がまっすぐ北向いてる状態を思い浮かべますよねえ?
実際には45度傾いて、むしろ左の辺が長いVというか、180度回転した「へ」の方向でした。道理で読んでいて東西南北の描写がつじつま合わないはずだよ……

ともあれ、続編です。
作中年月は一気に飛んで、中学生だったバブ少年が大学を卒業して島に帰ってくるところから話が始まりました。作中の時代設定は1940年代で、スキューバー・ダイビングの機材などはまだ開発されたばかりで、なかなか手に入らない最新技術という頃合い。
前作ラストが割とぶったぎりだったので、「この後始末はどうつけたんだろう……?」という素朴な疑問が解けるあたりは嬉しいところ。両親にも全部事情を話して、ちゃんと理解が得られてたんですね。
そんな訳で前巻では協力者がシーバー医師だけでしたけれど、今回はバブの両親に加えてさらに医師の妻と娘、そして友人の妹メイタと六人もの協力者が登場します。かたくなに自分の姿を人前に見せようとしなかった捕り手も、臨機応変にバブの身体から出てきては、水中にもぐったり他の人間の傷を治したりと活躍しています。ボウルの中から偽足を振って合図してみせるところなんて、なんだか微笑ましいったらvv

そして翻訳者さんが変わったせいか、文章はだいぶ読みやすくなったように思いました。横文字をできるだけ廃していた前作よりも融通が利いていて、捕り手など「捕り手ハンター」といったふうにフリガナが振られていることもしばしば。宿主も「宿主ホスト」と表現されていて、イメージが掴みやすい感じです。
物語がわかりやすいのは、キャラクターが少ないことも一因かもしれませんが。前作のように、見分けにくい同年代の少年達を含む多くの容疑者から、ロジカルに犯人を探そうとするタイプの話運びではなくって、互いに疑心暗鬼……とはちょっと違うか。行き違いや誤解を差し挟みながらも、ひとつの目的に向かって力を合わせて立ち向かう宝探し的な要素が強い感じです。
まあ、途中バブその他が命を狙われている疑惑や、ホシが実は生き延びているのかも疑惑とかも出てくる訳ですが。

前巻の冗長さを考えると、むしろ今作の方が私は好みかもしれません。ページ数も280P程と、長すぎず良い感じ。
最後の謎解きが急展開かつ、ラストがぶった切りなのは前作と同じでちょっと微妙ですが、まあこれはこれで。
捕り手さんが小ビンの内側に一生懸命ガラス切りで文字を刻んでいるところとか、ボートからぶら下げたパイプの中に入って海底探索するところは、前作でシャー芯使って手紙を書くシーンに並ぶ面白場面かと。
No.5630 (読書)


 有川浩ラッシュ
2014年02月25日(Tue) 
「空飛ぶ広報室」、「県庁おもてなし課」、「図書館戦争」、「三匹のおっさん」など、有川作品のメディアミックスが続いている今日この頃。
今度はラジオドラマです。

■旅猫リポート | NHK オーディオドラマ
 http://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2014006.html

> 旅猫リポート(全10回)
>
> 一人と一匹の’最後の旅’。有川浩・原作の感動ストーリー
>
> 3月31日(月)〜4月4日(金) 午後10時45分〜午後11時(1-5回)
> 4月7日(月)〜4月11日(金) 午後10時45分〜午後11時(6-10回)

……絶対泣く。
読んだ時のことを思い出しただけでも目がウルウルしてくるこの作品、音声で聞いたら絶対に泣くこと請け合いです( T ^ T )
ううう、でも聞く……録音するよ……くぅぅぅ……ッ
No.5631 (その他)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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