2014年02月06日の読書
2014年02月06日(Thr)
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本日の初読図書: 今回は270ページほどに10話が収録されているという、短編と言うよりはSS集という感じでした。ただでさえこのシリーズは活字密度が低くって、ページの下半分は白いような文章なので、ますます今昔物語集とかを彷彿とさせられる感じ。 いやでもしっかり面白かったですよ? あまりひねりはなく、短い文章でストレートに語る感じが、いかにも古典っぽくて。 さらに今回収録のお話は、いつものお約束をちょっと外しているものもあって、なんだかファンへ送るサービストラックみたいに思いました。 たとえばそれは、「これで良かったのか」と沈む晴明さんを博雅さんが力づける場面だとか。「ゆくか」といつものように問われて、「いや、ゆ、ゆけぬ」と苦渋の返答をする博雅さんだとか。博雅さんも晴明さんも登場しない、道満主役の番外編ぽいお話だとか、あるいは博雅さんだけが登場して、無自覚に楽聖ぶりを発揮するお話だとか。 タイトルの通り「猴(さる)」が関わる話も多かったですね。虫愛づる姫君 露子姫が登場する「からくり道士」などは、猿を含めたさまざまなからくりや、色とりどりに飛び交う蝶々が見栄えのするお話でした。 そもそもこのシリーズは、映像的な美しさが素晴らしいと思います。 あれだけの短い文章、限られた言葉で、なんて美しい光景を描き出すのかと、いつもうっとりとさせられてしまいます。 降り注ぐ月光がもたらす、蒼く透明な夜の闇。空気さえ色づかせるような、かぐわしい芳香。そして神々をも魅了する、博雅の笛の音。 今回は各話の筋立てがシンプルだけに、いっそうそれらが際立っているように感じられました。
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No.5560
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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