2013年12月16日の読書
2013年12月16日(Mon)
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本日の初読図書: 以前PHP文庫で出版された際に収録されていた「お勢殺し」、「白魚の目」、「鰹千両」、「太郎柿次郎柿」、「凍る月」、「遺恨の桜」に、愛蔵版になった際に加えられた「糸吉の恋」、更にプラスして「寿の毒」と「鬼は外」の二編を足した、9編から成り立つ〈完全版〉です。 PHP文庫版は持っているのですが、個人的な宮部作品ベスト3に入る作品ですし、稲荷寿司屋の親父の背景とか書き加えられてるのかしら(どきどき)とか思ったら、ついつい買っちゃいましたよ……それもこれも、図書館に入ってないのが悪いんやーーー・゜・(ノД`)・゜・
ともあれ、やっぱりおもしろかったです。 前に読んだ6作もかれこれ数年ぶりの読み返しでしたし、新たに挿し絵も入っていて、これがまたなかなか可愛らしくvv あと深川近辺の地図が入っていたのもありがたかったですね。 ……最初、西が上になっていることに気が付かなくって、あとから脳内修正するのに少々苦労しましたが(笑)
期待していた稲荷寿司屋の親父の背景については、ちょっとだけ重要なポイント(何故そこで屋台を開いているのか)がちらりと明かされた程度でした。しかしそのかわりと言ってはなんですが、意外とお茶目さんな一面も明らかになったり……とか? 改めて読み返してみると、当初に発表された6編では、親父さん、そこまで直接的な助言はしていないんですね。むしろ茂七親分が勝手に閃きのとっかかりにしたり、苛ついた時の精神安定剤にしている感じ。しかし今回初めて読んだ「糸吉の恋」あたりでは、話を聞いた段階で既に真相を見通している印象でしたね。 あと霊感坊主日道は日道で、推理物としてはかなり反則なキャラクター。
そもそもこの「初ものがたり」、ミステリーものという印象は薄い気がするのですよ。トリックや推理の筋道はそこまで凝っておらず、比較的早いうちにだいたいの検討はついてしまいます。ですがこのお話の醍醐味は事件の謎を明らかにすることではなく、明らかになった真相をどのように片付けるのか。できるだけ多くの人々が、いかに幸せな結末へとたどり着けるようにするのかを模索する、そこのところにあると思うのですよ。「白魚の目」や「遺恨の桜」あたりが、そこらへんを強く押し出していると思います。 強面だけど人情派の岡っ引き、粋ですなあ(しみじみ)
後書きによれば、どうやらこのシリーズ、今後は他シリーズとクロスオーバーさせながら続きを書いていかれるとのこと。これは楽しみかつ嬉しいところですが、他シリーズも読んでおかないと話が判らなくなるのかもと、ちょっと困ってもいたり。 ええと、同じ世界観の話というと、「本所深川ふしぎ草紙」の他に、いったいどれを読めば良いんだっけ……?
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No.5376
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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