よしなしことを、日々徒然に……
※ 2018年以降の記事は、別ブログの方へUPしています ※
新しいブログへは こちら からどうぞ。



 2012年11月19日の読書
2012年11月19日(Mon) 
本日の初読図書:
4048704699ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
三上 延
アスキーメディアワークス 2011-03-25

by G-Tools
五浦大輔は本が読めない。
嫌いなのではない。むしろ本自体は好きだ。小学生に上がる前には児童文学まで手を出していたし、図書委員として棚に並ぶ背表紙を眺め、整理することも楽しく思う。
しかし彼は幼い頃のある出来事がきっかけで、活字を読むことができなくなってしまっていた。無理をして読み続ければ、鼓動が早まり冷や汗がにじみ、果ては気持ちが悪くなってくる。もはや恐怖症の域だ。おかげで学校の勉強は大変だった。授業を聞いてノートを取るのは良いのだが、教科書を読むのが苦痛きわまりない。
しかし母親も教師も、それを理解してはくれなかった。人並みはずれて体格の良い大輔を見て、本が嫌いでも仕方がないと気軽に言うだけだった。いつしか大輔も無理に読書するのをあきらめ、大学では柔道などして過ごしていた。
そして大学を卒業して数ヶ月 ―― 大輔は就職に失敗し、プータローとなっていた。父と祖父は生まれる前に亡くなっており、今は会社勤めの母と二人、母の実家で暮らしている。大輔が本を読めなくなった原因である祖母もまた、一年ほど前に亡くなっていた。
本が好きで好きで、蔵書を誰にも触らせようとしなかった祖母だったが、一周忌も過ぎたことだし、遺品を老人ホームにでも寄付しようかという話になる。
しかしその蔵書を調べていたところ、夏目漱石全集の1冊に、著者のサインが入っているのが見つかった。もしも本物ならば、価値ある品かもしれない。母に尻を叩かれた大輔は、古本屋へとその真贋を鑑定してもらいに行くことにした。
北鎌倉駅のそばにひっそりと佇む古書店、「ビブリア古書堂」。
鑑定のできる店主は、あいにく怪我で入院中とのことで。なりゆきで病室まで押しかけた大輔が出会ったのは、古本屋というイメージにはそぐわない、若く美しい女性だった。古本をこよなく愛し、古書への情熱と知識はどこまでも広く深い。しかし ―― 残念なことに極端な人見知りだった。これで接客業がつとまるのかと、他人事ながら心配になるくらいである。
そんな彼女は、サインを贋物と断定した上で、そこに秘められた過去を見事に解いてくれた。それは数十年にわたって祖母が隠し続けてきた、重大な秘め事で……
古書に関してはすばらしい洞察力をみせるが、人付き合いが非常に苦手な上に、本について語り始めると止まらない店長、篠川栞子。
本を読みたいのだけれど、自分では読むことができないため、その詳しい話を聞くのが楽しい大輔。ふたりは、そうして出会った。
栞子はアルバイトが居着かないビブリア古書店へと、職を探している大輔を誘う。
入院中で病室から動けない栞子のもとへと、大輔は買い取りを頼まれた本の査定をしてもらうために足を運び、そして本にまつわるさまざまな不思議を語ると、栞子はまるで見てきたかのようにそれらの謎を解いてゆく。
古本には、そこに書かれたストーリーとは別に、人の手から手に渡ってきたそのもの自体の物語が存在すると、栞子はそう語る。
やがて様々な事件を解いてゆく中で、栞子はなぜ自分がこのような怪我を負う羽目になったのかを大輔に打ち明け、その事件を解決することへの協力を願ってくる。
それもまた、1冊の古本が深く関わってくることで ――

最初に新聞のコラムで見かけて興味を引かれるも、図書館になかったので一度はあきらめ。しかしさらに熱帯雨林でオススメとして紹介されてしまったので、逆方向にあきらめて入手しました。これもひとつの『物語』なのか<もちろん古本購入
なんというか、ちょっとフェチ入った本好きにはたまらない物語ですねvv
……短編それぞれのキーとなっていた本は、どれも読んだことないものでしたけど<文学系は弱い
でもそれらの本の内容は知らなくても、必要な部分はちゃんと本文内で触れられていますし、なんら問題はありません。
頭脳担当のクセあり安楽椅子探偵と、足で情報を運ぶ肉体派の助手という点ではお約束。ただ推理物を求めている方にはちょっと弱いかもしれません。ミステリ風ライトノベル的な感じ?
ちなみに微妙に助手→探偵です。ラストは助手→→←探偵、ぐらいにはなったかな?
助手側も脳筋ではなくそこそこ聡明なので、読んでいてイライラすることはありません。読者と同じぐらいのレベルの推理はするので、感情移入しやすかったです。そしてそのさらに上を行く、どんでん返しを栞子さんが語ってくれるところがおもしろいですね。
私が事前に予測できたのは、せいぜい文字が欄外にはみ出す理由と、復刊本の冊数ぐらいだったかな……
そうそう、ゲストキャラが使い捨てにされず、ちゃんと他の話で再登場……どころか驚くような役割をこなしているあたりも意表をつかれました。
一話目のさりげない世間話が最終話のあそこに繋がるとか、さすがの伏線だなあ(ため息)
ほのぼのと心温まる……とまでは行かず、時に心の闇をのぞくような部分もあるものの、鬱になるほど暗い展開はありません。いや、どうかな……もし語りが大輔の一人称じゃなかったら、かなりアレな結末なのか? うん??

ともあれ続刊がかなり出ているようなので、これもまた要チェック。
探偵と助手は、できれば決定的にくっつくことはなく、友人以上恋人未満で、性別を越えた絆を見せてくれると嬉しいかなあ。
No.4339 (読書)



<< 2012年11月 >>
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

サーチ :


 最新の記事
 2012年11月19日の読書

 リンク
 神崎へメール
 私立杜守図書館
 蔵書リスト

 

   

 ブログ内記事検索:
 
 AND OR  


Back to Home...

[管理用] [TOP]
shiromuku(fs6)DIARY version 2.41