よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年11月08日の読書
2012年11月08日(Thr) 
本日の初読図書:
4488411010パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)
宮部 みゆき
東京創元社 1992-12

by G-Tools
短大を出てまだ間のない蓮見加代子は、蓮見探偵事務所の調査員にして、所長の娘の一人である。母親を早くに亡くした彼女は、父 浩一郎と高校生の妹 糸子の三人で暮らしている。元警察犬のマサも忘れてはいけない。捜査中の負傷により引退せざるを得なかった彼は、数年前から蓮見家で家族として寝食を共にし、加代子が調査に赴くときはボディーガードとして片時もそばを離れないでいる。
今回の加代子とマサの仕事は、家出した男子高校生をひそかに連れ戻すことだった。なんでもその少年 ―― 諸岡進也は家出の常習者らしい。彼の不行状が他に知れたなら、野球の名門校でエースピッチャーを務める兄の名に傷がつくと、両親はそんな体面ばかりを気にしているようだった。
しかし実際に会ってみた進也は、そう悪い人間ではなかった。スナック「ラ・シーナ」で住み込みのバイトをしていた彼は、酔漢に絡まれた加代子を救ってくれ、家に戻ることも渋々ながら承知した。
しかし……進也を自宅へと送る道すがら、ふとしたことから立ち寄った倉庫街で、彼らは燃え広がる炎を目撃する。その中心には、ガソリンをかけられた人間の死体が存在した。そして転がっていた靴に書かれていた名前は、諸岡克彦 ――
高校野球界のスーパースターであり、進也の兄であった少年は、その夜、無惨にも命を奪われていたのだった。
まもなく、克彦に恨みを持っていた元野球部の少年 山瀬が、自宅で死んでいるのが発見される。睡眠薬とアルコールを飲み、バスタブで溺死していた彼は、すべては自分のやったことだと遺書を残していた。
一見事件は終わったかに見えたが、しかし進也や蓮見探偵事務所が暴漢に襲われたことで、それまで明らかになっていなかった事実が判明する。もしかしたら、山瀬もまた無実の罪を着せられて、真犯人に殺されたのではないか。そんな疑惑が生じるなかで、事件の背後に見え隠れする、謎の人物の正体と目的は?
そして事態は、彼らの予想もしなかった方向へと急速に展開してゆく ――

昨夜日付が変わってから読了。
ドラマを見て、「あれ? こんな話だったっけ」と思って読み返そうとしたら、手元になく。改めて図書館で借りてみたら、覚えてないどころか全くの初見でした。おや?? どうやら同シリーズの短編集「心とろかすような」の方だけ読んで、それで読了した気になっていたようです(苦笑)
しかし実写ドラマのイメージって怖いですね。もはやマサの語りは完全に船越さんの声で脳内再生されるし、ラ・シーナのマスターは寺脇さん以外の何者でもありません。店内の内装もあんな感じで脳内展開。ただドラマの一話目を見ていないので、いまひとつドラマ版でのマスターと進也(ですよね、バイトの青年)の立ち位置がよう判らんのですが。
ストーリー自体、ドラマと本作では全く違いますし。ドラマの方は、以前に放送された同作者の「ステップファザー・ステップ」と同じように、キャラ設定と人間関係の要素だけを微妙に拝借した、完全別物二次創作と思った方が、原作ファン的には心安らかなんじゃないかと。
しかし宮部さん、これが初長編って、すごいですね……(しみじみ)
犬が語り手という突飛な手法だけに頼らない、しっかりした物語が素晴らしいです。
確かにマサは渋いしここぞと言うところで格好良く役に立つ、見事なヒーローです。進也もちょっと悪ぶりながらもまっすぐな気性が好感度大ですし、ヒロイン加代ちゃんも、聡明でちゃんと活躍する、読んでいて気持ちのいいキャラクター。ラ・シーナのマスターにいたっては言うまでもなく、幕間の語り手を務める木原さんさえ、味のある深い人物造形です。
しかし今回は、そんなキャラ達の魅力だけでなく、物語そのものに引き込まれました。
最初は些細なイタズラから始まった事件が、やがて殺人事件や違法投薬実験に発展してゆき、一時は味方があわや一網打尽の大ピンチに陥ったかと思えば、最後には驚天動地の真相が。
実を言うと、加代ちゃんが階段を踏み外しかけた時、ちょっとひっかかるものは感じてたんですよ。しかしその後の二転三転する展開ですっかり忘れかけていたところにもってきて、ああくるとは……
疑心暗鬼になった大同製薬側との、意見の食い違いとかも面白かったですね。実際、リアルではああいう行き違いって多いんだろうなあ。誰もが少ない情報から真相を言い当てられる、名探偵って訳じゃあないんですから。
さて、これはすっかり内容を忘れている短編集の方も読み返さないと。
……って、もうスキャナで取り込んじゃったんですよね。画面で読むのはちときついし、図書館にあるみたいだから、そっちも借りてこようかなあ。
No.4310 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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