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 SHERLOCK2 一話目 ベルグレービアの醜聞
2012年07月23日(Mon) 
シーズン1の放送から一年。
シーズン2が英国で公開されてから半年。

日本での放送を待ちに待ちました。
SHERLOCKのシーズン2。第一話「ベルグレービアの醜聞」です。

今回はまず一度見ただけの記憶が頼りなので、不正確な部分もあるかもしれません。そこは乞うご容赦(苦笑)<TVが空かなくて見直しができない

とりあえず、まずは一言。

ブーラボーーーッッvv

さすが、お見事BBC。今回も期待をはるかに上回るおもしろさでした(スタンディングオベーション)

前シーズンからの強烈なヒキをどう片付けるのかも気がかりながら、より心配だったのは、アイリーン・アドラーの扱いです。
原作では唯一ホームズを完全に出し抜き、かの女性嫌いなホームズをして「あの女性ひと」と呼ばしめたアイリーン。
生半可な造形では、ファンからの猛反発を喰らうこと請け合いです。

予告編や静止画を見る限り、外見は悪くないと思いました。知的で行動力のある、魅力的な女性っぽく見えます。まずキャスティングは合格でしょうか。では、キャラ造形や脚本は……?

結論から言えば、個人的にはアリでした。
アブノーマルな意味での職業女王様。いわゆるS系高級娼婦という設定は、原作での知的で上品な女性、「身分さえ相応しければ、立派な王妃になれた」と表現されるアイリーンのアレンジとしては、かなり思い切ったものでしょう。最後は真実の愛に身を捧げ、写真はあくまで保険として持っていった、したたかさと純真さを兼ね備えた彼女のファンにとっては、かなり複雑かもしれません。ホームズとのロマンスを入れたのも、人によっては嫌うかも。彼女はあくまで彼女の愛を胸に抱き、ホームズに完勝して夫と共に旅立つべきだったのかもしれません。
しかしこの作品の彼女は、これはこれでものすごく格好良かった!
まったく、女性キャラがあんなに格好良くていいんでしょうか??

繰り返しますが、とても知的で行動力抜群。
あのシャーロックを相手に頭脳ゲームをしかけ、本気か冗談か判らないモーションすら送るのですが、そのやり方がとてもスマート。知的好奇心を我慢できないシャーロックの、興味をぐいぐい引き寄せていく手腕が素晴らしいですvv

裏にジム(モリアーティ)の示唆があったのはちょっと残念ですが、それでも彼女とシャーロックの丁々発止なやりとりは、もう見ていてたまりません。

さて、記憶を頼りに覚えている部分をあげてみましょう。
まず前シーズンでファンを悶えさせたクリフハンガー。こちらはまさかのモリアーティ(以下ジム)への電話着信により、あっさりと解決してしまいました。あれがアイリーンからの連絡だったのでしょうが、「死ぬ訳にはいかなくなった」って……死ぬ覚悟だったのか、ジム。やはりシャーロックと似たもの同士で、高度に知的な駆け引きを楽しむためなら、命をかけても惜しくないの?? 「(謎を解かせるために)殺す訳にはいかなくなった」なら判るんですが。
ちなみにシャーロックが爆弾に狙いをつける前、ジョンと目を合わせうなずきあっています。ここでジョンは覚悟を決めてるんですよね? 仲間のためなら命すら惜しくない。戦場の刺激を求めているジョンにとっては、ある意味望むところなんでしょうか。

その後の生活は、平和かつ順調なようです。
ジョンのブログが大反響を呼び、取るに足らない依頼が殺到。シャーロックはくだらないとザクザク切り捨てていますが、よもやその中にマイクロフトが関与する国家的陰謀工作の手がかりが含まれているとは、またも無駄のない脚本です。
ジョンのブログ記事に取り上げられている事件も、原作のそれや語られなかった事件をもじったものが使われていて、またもやニヤリとしどころ。「オタクの通訳」は「ギリシャ語通訳」、「アルミの杖の事件」もありましたよね? アルミの松葉杖だったかな?

そしてついに「レベル6以下の事件には足を運ばない」とか言い出して、ジョンにマイク・カメラ付きノートを持たせて現場へ派遣し、自分はシャワーを浴びシーツを巻き付けた状態でPC前にスタンバイするシャーロック。オレ様ぶりにますます磨きがかかっております。
そんな無精をやっていたら、いきなり兄の代理人が現れ「服を着ろ」と言われます。そこで「嫌だ」「ならそのまま連れていく」と言い合いになり、本当にシーツ姿で同行するって……なんでそんなに服着たくないのさ(笑)
いっぽう事件現場から、今度はヘリコプターで拉致られるジョン。
バッキンガム宮殿でシーツ姿のシャーロックと並んで座り、「パンツ履いてる?」「いや」って、ツッコミどころはそこなのか! 灰皿盗みたいって、あんたもずいぶん肝が据わってきたよね。我々にしてみれば、いきなり皇居につれていかれたようなものでしょ? なにどっかりくつろいでるのさ。
しかもシャーロック、しっかり灰皿盗んでるし(笑)

そう言えばこのあたりでシャーロックが推理するときに出たテロップは、あまりにも早すぎて読みとれませんでした。結局深い意味はありませんでしたけど、スロー再生でなんとか確認。

写真を取り戻してくれと依頼されて、アイリーンの住所へ向かう二人。いきなり正面から乗り込みました。 傷を作るための殴り合いに、つい本気を出してしまう(ように見えて、鼻と歯は一応避けてたらしい)ジョンが可愛いvv
原作では暴動に巻き込まれて殴り倒され気絶 → 優しいアイリーンに家へ運び込まれるという筋書きでしたが、ここではジョンと殴り合って顔に傷を作り、強盗にあったから休ませてくれと強引に入り込みましたね。もっともアイリーンには最初っからバレバレ。ブログや新聞で素顔と名前が売れまくっちゃったから……
そうそう、戦闘服だと言ってシャーロックが襟にカラーを入れていたのは、原作で聖職者に変装するときの服装にカラーがあったんでしたっけ??

そしてアイリーンの「戦闘服」が、まさかのオールヌードだったことにびっくり。
バッキンガムでマイクロフトにシーツを踏まれて半ケツになったシャーロックといい、今回は露出度高えな(笑) 予告で見た時はびっくりしたけど、シャーロックの中の人、良い身体してるぜvv
シャーロックもアイリーンも、不思議といやらしさを感じさせない、上品なヌードでございました。なんというか、無機質的? スタイルは抜群なのに、どこか良くできた美術品を見ているような印象が。
シャーロックも特に目をそらす訳でなく、かと言ってガン見するでもなく、ごく普通の物体を観察する風情。しかしその結果が「????」だったあたり、やはり彼も多少は動揺していたのでしょうか。
金庫のナンバー6桁が、アイリーンの3サイズとは。まさかシャーロックがそんなもの目で計測できるとは思わなかったので、素直に意表をつかれました。
金庫を開けた直後のアクションは、三人が三人とも素早く的確に行動していて、これまた目が釘付けです。 でもシャーロックが叫んだ「バチカンのカメオ」の意味が判らない……語られない事件にそんなタイトルがあったような気もするけど、いったいなんで??
あ、隠し金庫の場所を見つけるためにジョンが火事を工作し、とっさの目の動きで看破するという流れは原作通りでしたね。しかしその後、シャーロックをアイリーンが昏倒させたのは、ちょっといただけませんでした。倒れた彼の頬を乗馬鞭で撫でるシーンは非常にセクシーでしたが、この二人はあくまで知的にやりとりして欲しかったので……

で、その後はアイリーンからメール攻撃という名のアプローチ。
言葉を放られると(たとえ的外れであっても)オチをつけずにはいられないはずのシャーロックが、無視し続けているあたりに「特別」を指摘するマイクロフト。確かにシャーロックはかーなーり、彼女のことを意識していると思います。この時点では完全に彼女に出し抜かれているんですものね。

そして、運命のメリークリスマス。
221Bでクリスマスパーティーが開かれております。ジョンとハドソンさんは判るけれど、なんでレストレードがいるのさ(苦笑)
あとジョンの隣に座っているのは女性警官のサリーかと思っていたら、違いましたね。でもサラとは違うよね、え、誰? と思っていたら、別のガールフレンドなようで。サラとは別れちゃったんでしょうか。犬を飼っていたのは前の彼女だったと言っていたから、やはり別れて別の恋人を作ったということなんでしょう。やっぱり女たらしか、ジョン(笑)
もっとも今回の彼女にも、今夜限りでまた振られちゃったみたいですが。やはりシャーロックと付き合っている限り、ジョンに彼女はできないのか……サラはそのあたり性根が座ってそうだったから、期待していたのに(ぶつぶつ)

アイリーンの携帯がプレゼントとして届き、シャーロックは彼女の死を予測。見つかった死体をスリーサイズ(?)から「彼女だ」と断言しますけれど……この段階で、シャーロックは本気で騙されてたんでしょうか? ジョンやマイクロフトの目からは、当社比的に悲嘆に暮れているように見えたみたいですけれど(バイオリン曲が「蛍の光」なのはちょっとホロリときました)、常から爪や指の形まで認識している彼のことだから、ここはやはり騙されたふりをしていただけなんでしょうね。だからこそ実は生きていたアイリーンに、(またも)さらわれたジョンの後をつけていったんでしょう。
……気を遣っていたジョンの、無駄な空回りぶりが哀れだ……

ハドソンさんが人質にされた場面は、ドキドキしてしまいました。彼女は全ホームズ関連作品において、揺るぎない「聖域」だと思っていたのです。二人が外でどれだけ危険で犯罪すれすれの冒険を行ってきても、下宿へ戻ってくれば、そこでは彼女の温かい笑顔が待っている、と信じていたので。
そんな彼女が暴漢に引きずられていくシーンは、見ていて胸がつぶれそうでした。
しかしそんな視聴者の心配などはねのけて、しっかりアイリーンの携帯を守り抜いていたハドソンさんは素敵すぎます。畜生、このシリーズはどのキャラもどのキャラもイカしてるったらないぜ!
あとハドソンさんを救うシーンで、シャーロックが見せた怒りと気遣いに感動しました。あんなに他人に対して冷淡だったシャーロックが、今回随所で見せた「人間らしさ」に、シーズン1からの成長がありありと現れているように思えます。助かったハドソンさんの肩を抱いて笑い、またクリスマスに傷つけてしまったモリーに対しては「ごめん」と頭を下げて謝罪のキス。ハドソンさんに無礼な口をきいたマイクロフトに対し、ジョンと同時に非難の声を上げるその様子など、ジョンだけを唯一無二とするのではなく、不器用ながらも少しずつ情緒を育てつつあるようなシャーロックが、実に微笑ましく、また喜ばしいです。
……今回はその成長途中の不安定さにつけ込まれてしまった感もあって、マイクロフトに責められているシーンではちょっといたたまれなかったんですけどね。でも最後はちゃんと決めてくれた!

ちょっとこの後の事件の流れは、正直よく判らなかったのですが。
命を狙われている、携帯を返してくれと、221Bに転がり込んでくるアイリーン。命を狙われているのは、携帯の中にある暗号情報のせいだと言ってシャーロックに見せる。この時の駆け引きも楽しかったですね。偽の携帯を渡しパスワードを入れさせるシャーロックと、偽物と気付いてフェイクのパスワードを入れるアイリーン。どちらも一歩も譲ってませんvv
わずか数秒で暗号を解読 → その結果をアイリーンがどこかへメール → 情報が漏れたと頭を抱えるマイクロフト、というこのあたりの流れが判らなくって……アイリーンは誰に対して何の情報を流したのか。マイクロフトはそもそも何を工作していたのか。
ただ言えることは、シャーロックは知的パズルを解く楽しみに熱中するあまり、その結果がもたらす事態を予測することを失念し、英国政府に不利益をもたらしてしまったという訳なんですね?
そこで、女の色香に惑わされたと弟をなじるマイクロフトが辛いです。アイリーンも「私が本気であなたを好きだと思ってたの?」とか言うし。もう画面のこちらでいたたまれないったら。

しかし、ここでもBBCはやってくれた!

シャーロックが携帯のパスワードを解いて見せたときは、思わず叫んでしまいましたよ。
このところ何度も「 SHERLOCK 」と入力し、ようやくスペルを覚えた今日この頃。そして何度も表示された、パスワード入力画面「I AM ____ LOCKED 」。この二つが、まさかあんな形で結びつくとは!!
もうもう、背筋がゾクゾクいたしました。
やはり最後はシャーロックの勝利だ! と快哉を叫びましたともvv

しかもそこで終わらないところが、またこのシリーズの素晴らしいところ。
アイリーンは証人保護プログラムによってアメリカへ渡り、名前も変えて二度と会うことはないだろうと言われ、ああ原作でも旅立ったもんな……と思っていたら、まさかの実は殺されている発言。
今度は偽装ではない。自分を出し抜けるのはシャーロックぐらいだろうが、関与は認められないと締めて、あとはジョンへと託すマイクロフト。真相を話すかどうかを迷いつつ資料を見せるジョンに、シャーロックは携帯をくれと手を差し出します。ここは報酬にただ一枚の写真を望み、事件の記念として保管する原作ホームズを彷彿とさせられますね。
そしてジョンが出ていったあと、記念となる携帯をしまいながら回想するシャーロック。
アイリーンから最後に届いた「さようなら」のメール。
それは彼女が首を落とされる寸前に送った、今生の別れとなる言葉だった……と思わせておいて、メール送信した直後に彼女がイタズラで設定した「あっはぁん」の専用着信音が。顔を上げると、剣をかざしているのはシャーロック! すかさず身を翻して、周囲にいるテロリスト達へと飛びかかり ――

果たしてこのシーンは現実の回想なのか、それともシャーロックの心の中で作られた「こうであったら良かった」という想像に過ぎないのか。
私は前者であると信じています。
アイリーンがテロリストに首を落とされたと、その情報はジョンの口から伝えられてはいません。なのにそれをシャーロックが知っているのは、彼が実際にその場にいたからだと考えるのが自然です。何よりシャーロックは、「IFもしも」を想像するなんて無駄な行為に、脳味噌を無駄遣いなどしないと思うのです。 あえてその「無駄」をさせるのが、アイリーンの「特別」たる所以と言ってしまえばそれまでなんですが……

では、マイクロフトはその事を知っていたのか。
自分を出し抜けるのは弟だけだと断言。しかし弟の関与は認められないとも言っている。この言葉は、よく考えると対立してないんですよね。「工作した形跡は見られない」イコール「出し抜かれた」イコール「弟にしかできない」という回答を導き出しているのかもしれません。
あくまで可能性の問題ですけれどね。
でもマイクロフトの発言とシャーロックの回想が二つそろうと、やはりアイリーンはどこかで生き延びていると、そう思いたいです。

……そしてまたも、一人空回りな気遣いをさせられるジョンが哀れなり(苦笑)

あれ……記憶に頼って覚えてることだけ書き留めたはずなのに、昨日より記事が長いぞ……?

追記:
コメントに書こうかと思ったのですが、禁止ワードが含まれるので本文に追記。
アイリーンの生死について、おもしろい考察を見つけました。
ホームズ・アイリーン・マイクロフトの三者について、しっかり踏み込みつつも好意的な意見が非常に好みです。
私もこの説を支持したい! むしろこうであって欲しいと思うので、見失わないようにメモしておきます。
こんなに踏み込んだ考察ができる人って、すごいなあ……(しみじみ)

■名探偵は女王様の夢を観たのか(BBC「シャーロック:ベルグレービアの醜聞」ネタバレ) - wHite_caKe
 http://d.hatena.ne.jp/white_cake/20120723/1343055749
No.3921 (映像)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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