2012年03月08日の読書
2012年03月08日(Thr)
|
|
|
本日の初読図書: 熊本は天草灘のただなか。本土からは高速船で一時間はかかる絶海にある孤島 壱里島。 これといった名産品があるわけでなく、町の財政は火の車。若い者はどんどん島を出てゆき、過疎化は進む一方。 そんな寂れつつもありふれた島に、サラリーマン宮口翔一は仕事で訪れることになった。勤めていた会社から早期退職を勧められていた彼は、辞表を出そうとした寸前、常務から特命を言い渡されたのだ。壱里島出身の栖本常務は、島の物産館で売られているという「おもしろたわし」なる物を翔一に見せ、その正体と製造法について調査してこいと命じる。なんでも一見、単なるアクリルたわしにしか見えないそれは、社の研究室でも分析不可能な、現代科学ではとうてい作り得ないような特性を持ち合わせているのだという。 さっそく島を訪れた翔一だったが、のどかで人なつこい島の人々や豊かな自然に、不思議な懐かしさのようなものを感じた。こんな居心地の良い島ならば、ゆっくり旅行気分で滞在しても良いかもしれない。そんなふうに思いつつ、たわしを物産館に持ち込んだ老女 五棚スエに会いに行くと、そこで彼は不思議な女性「たわ」と出会った。どこか人間離れした美しさを持つ彼女は、謎めいた言動で翔一を惑わす。 そして翔一は島の人々と交流するうちに、まるでなにかに導かれるようにして、寂れる一方の島の再生へと力を貸すこととなってゆく ――
表紙を開いたところにあった、「こんなに心地よい こんなに懐かしい 物語があっただろうか ―― 」というコピーに惹かれて手に取りました。なんとなく、癒してもらえそうな気がしたんです。 その期待は、裏切られなかったかな? 島の寂れぶりを憂いて核廃棄物処理施設を島に誘致しようとする町長と、それに反対しつつも、具体的な代替振興案を出せないでいる島民達。そんなシビアな状況から、夢のように奇跡のように救われていく島。 そのきっかけとなる翔一青年は、しかし何故自分がそんなにもこの島にのめり込むのか、まったく判らないでいます。判らないままに、まるで夢の中のようにおぼろな記憶に導かれ、行き着くその先は…… なんというか、全編通じて狐に化かされたような感じでした。あ、この話は完全にファンタジーものです。念のため。 展開的には「良いのかそれで」と思う部分も随所にありましたが……まあ御都合主義でもなんでも、読後に幸せな気持ちになれるならそれで良いんです。ええ。
|
No.3653
(読書)
|
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|