更新情報(2011年11月25日)
2011年11月25日(Fri)
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閲覧室の「その他書架」に、黒岩涙香の著作権切れテキスト「白髪鬼」六一話目をUPしました。
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No.3498
(更新)
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2011年11月25日の読書
2011年11月25日(Fri)
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本日の初読図書: 戦争後の復興も落ち着きを見せてきた、昭和二十七年。 東北の海抜千メートルに位置する四場浦連峰には、『雲上の楽園』と称される大規模な鉱山都市が存在していた。労働従事者は五千人、家族などを含めると一万三千人以上が住むその都市には、学校や病院、郵便局などの各種施設が完備され、電気、ガス、水道といった光熱費も無料なのだという。 そんな『楽園』で、恐ろしい殺人事件が起こった。撲殺後に死体を鉱山内の線路に放置、首と足を切断されたのは、鉱山の持ち主である三河正造社長。事前に予告したうえで彼を殺したのは、正造らによって二十年以上も鉱山内に監禁されていたという謎の男、岸本座吾朗らしい。しかし座吾朗は事件の前日まで鉄扉を溶接した密室の中に閉じこめられており、正造が死んだときもその扉は閉ざされたまま、忽然と姿だけが消え去っていたのである。 そしてさらに凄惨な、第二第三の殺人が続く ―― 座吾朗はどうやって地下牢から脱出したのか。何故、正造達を殺してゆくのか。そもそもどうして彼は、二十年も閉じこめられていなければならなかったのか。 横浜で開業している弁護士の殿島は、正造の息子である正一郎から呼び出しを受ける。それは警察への対応と、そして事件解決を依頼した探偵の助手を務めよとの理由からだった。 気が進まないながらも訪れた東北で彼を迎えたのは、非常に奇矯で個性的な二人の探偵。 かたや白いスーツを着こなす行動派、眉目秀麗で気障な荒城咲之助。 こなた黒い学生服をまとい近未来的な義手を使いこなす、おしゃべりな頭脳派 真野原玄志郎。 二人の探偵と助手に任じられた弁護士は、果たして事件の謎を解き、連続殺人を食い止められるのか ――
タイトルと表紙に惹かれて読み始めたのですが、最初は少々しんどかったです。語り手の殿島さんは周囲に振り回されすぎだし、探偵達はエキセントリックすぎて、なんだかついていけないし。 ぶっちゃけ最初の五十ページを読むだけで、二日ぐらいかかりました。しかし真野原がいったん諸事情で姿を消し、荒城と殿島が皆の前でお約束の推理ミスをかますという一幕を越えてからが、面白くなってきて。 っていうか、推理ミスしてちょっとテンションの下がった荒城が、なんだか可愛く見えてきたというか(笑) 殿島を使える助手と認めて、一緒に行動し始めるとなんだか微笑ましいvv その後、真野原にバトンタッチしてからも、なんだかんだで殿島さん、しっかり認められてる感じだし。やはりワトソン役は探偵の良き相棒でなければなりませんよね、ふふふふふ。 この話はタイプの異なる二人の探偵が登場しますが、どちらもしっかりキャラが立っていて、ちゃんとそれぞれに見せ場があったので嬉しかったですね。もちろん助手の殿島さんも。さて、あなたはどなたがお好みですか? みたいな。 しかし人の命がなんだか軽く扱われているのは、ちょっと気になりました。……まあ、ミステリ物でそこを気にするのが間違いかもしれませんが。しかし何人も人が死んでおいて、本当に悼まれているのは半分もいるのかどうか。とばっちりで殺された警官や鉱夫なんて、存在すら忘れられてないか……? まあそれはさておき。 トリックの是非とか、探偵としての有りようとしてそれはどうなのとか、つっこみどころはいろいろありましたけれど、総じて面白かったです。いきなり二十一世紀に飛ぶエピローグの雰囲気とか、こういうのけっこう好きです。 とりあえず続きが二冊ほど出ているようなので、そちらもまたチェックしてみようかと。 ……真野原が片腕を無くした経緯とか、探偵二人が知り合った状況とか、そのあたりも気になるなあ。
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No.3499
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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