2016年03月02日の読書
2016年03月02日(Wed)
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本日の初読図書: 「加賀100万石に仕える事になった(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n0561cm/
戦国時代の農民に転生した現代人。 まずはお約束通り信長に従って頭角を現し、秀吉に近づいて、最後は徳川の東軍につこう。テンプレ的テンプレで勝ち組に乗ろうと思い、そのための努力を重ねた。あいにく武術の才はなかったので、読み書き学問をおさめ、目指すは商人に奉公か、寺で坊主の将来設計。 ところが小坊主になった段階で、大きくつまずいた。 親族とか古くからの旧臣ならばともかく、後ろ盾も縁もないポッと出の赤の他人を登用するような者など、戦国の世にはいない。なまじ優れていればこそ、猜疑の目は強くなるのだと和尚に諭されたのだ。 そうして始まる前に夢破れた彼は、和尚の元で勉学に励み、礼法を学び、小さな寺で念仏を唱えて暮らしていた……のだが。 運命は向こうからやってきた。 織田家を放逐され、浪人している若かりし日の前田利家。歴史上の有名人に興奮した彼は、寺に一夜の宿を借りに来た利家の、話し相手を務めたのだ。間に般若湯を挟んで。 そしてアルコールの魔力は恐ろしい。聞けば聞くほどとんでもないその筋金入りのDQNぶりに、たまりかねた彼はついに切れた。 怒鳴り掴みかかってこようとするのを理で抑え込み、論でグウの音も出ないほど叩きのめし、言い訳する端から論理武装した説教を食らわせ、言い逃れできないほど説法で追い詰めたのち、エンドレス反省会。 一刻が過ぎる頃には、槍の又三は「ごめんなさい」を繰り返す人形になっていた。 そのまま双方酔いつぶれ、翌日目が覚めた時には、利家はすでに出立した後だった。聞けばまるで悟ったような晴れ晴れとした顔つきで旅立っていったのだという。 それから数年。 18になった彼を、織田家に帰参した利家が迎えに来た。 なんでもあの説教がきっかけで己の未熟さを知った利家は、心機一転。武士の本懐に帰るため、武芸を磨き、禅を学んで精神修行を果たし、武勲を上げて、見事織田家に復帰したのだという。 そうして病弱な兄の代わりに家を継ぐ事になったのだが、彼はそもそも織田信長の親衛隊「母衣衆」だった。すなわちボディーガード。親しい仲間達もみな、おしなべて体育会系オンリー。領地経営などまったくどうして良いのか判らない。 そこで以前に会った、頭の良さそうさそうなやつを思い出したのだと。 「つまり、お前を部下として登用したい」 転生初期に潰えた夢が、予想外の敗者復活だった。 いやいや、カンベンしてくれよ。なんというか、メインヒロイン落とそうと頑張ったけど、だめだったのでサブヒロイン攻略して、もうあと少しでハッピーエンドってところで、メインヒロインからアプローチ食らったようなもんじゃん。 すっかり一僧侶として生きてゆく気満々になっていた彼は、なんとか固辞しようとするが、そこでかつて道理を言いさとしてくれた和尚が敵にまわる。 「おぬしの望む道ではないか」、と。 かくして三直豊年(みのうとよとし)の名で還俗した彼は、荒子城へ向かうこととなった。 そこでは家督を奪われた形の利久派と利家派との間で対立が起き、ギスギスとした空気が漂っていた。城代 奥村永福からしてが、抗議のため仕事を放り出していなくなっている。 乾いた笑いしか出てこない中、豊年はなんとか現状を把握しようとした。 臨時配下の足軽君。帳面持ってきて。……え? ない? ないってなに? いやいや、怒ってないよ。正直に本当の事を話してくれ。どうやって備蓄って管理していたの? 入った分だけ入れて、出す分だけ出す? いつも数ヵ月分が残るから大丈夫だと。 ああ、なるほど。そうやって管理しているのね。なるほど、そりゃ籠城戦で備蓄が足りなくなるとか、遠征で食糧が足りなくなって略奪に走るとか話を聞くわけだよ。きちんと管理していたら、ふつうそうなる前に気が付くわな。 いや、キレてないよ。キレてないって! オレをキレさせたら大したもんだよ!? ……後の世に鳳雛、あるいは今士元と伝えられる前田家の家臣にして、戦国時代を代表する軍師。また現代でもその痕跡が残っているほど画期的な在庫管理システムを作り上げた、日本管理会計の祖、三直豊利。 武辺者と言う名の脳筋の殿(利家)と、無理難題をふっかけてくる大殿(信長)に振り回されつつ、年貢納入と補給物資管理に悲鳴を上げる彼は、日々ソロバン片手に(数字と)戦い続けるのであった ――
現代人が生まれ変わっての歴史IF系。完結済かつ書籍化済でダイジェスト化はなし。 かなり早いうちに歴史が変わっていくので、あんまり現代知識チートという感じはないです。というか、私が歴史をちゃんと知らないので、どれぐらい変わってるのかもよく判らないんですが(苦笑) 本人が自覚ない普通人のつもりで、でもたまに挟まる周囲視点で高く評価されてるのが好みです。 たとえ「テメエのどこが普通だコラ!?」な事をやらかしていようと、本人の意識の上ではあくまで一般人。 ちなみに奥村永福 = 奥村助右衛門と言えば、一部のジャンプ漫画ファンにはすぐにお判りになるかと(苦笑) ちなみに妹の加奈さんが嫁になってるので、自動的に奥村さんとは義兄弟。そして奥村さんがいるなら、当然あの傾奇者もついてくるvv
途中、ときどき不穏な描写が交じるのですが……最後の数話で一気にひっくり返されたというか。そうくるかーと驚かされました。 『伏竜鳳雛そのいずれかを手に入れた者が天下を握る』と言う。ならばなぜ伏竜が鳳雛が、自分の手で天下を取らないのか。その明確な答えが示されます。
最後に足されている後世の評価的小ネタも面白かったvv
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No.7440
(読書)
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この記事へのコメント
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paoまま
2016/03/03/15:54:42
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こんにちは あらららら〜、歴史好きにはニャンだかとっても面白そうなお話ではござらぬかっ。
ネット小説って全くの異世界への転生ばっかりかと思っておりましたが、こんなのもあるのですね。
謹んで読ませて頂きまする。 まこっちゃん有難うございますニャン。
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No.7441
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神崎真
2016/03/03/18:02:34
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あらん、ままさんご存じなかったですか? 現代知識で歴史改変系小説は、一部で人気のジャンルでございますよ?
私としては「腕白関白」とか「戦国小町苦労譚」とか「戦国リーゼント」とかオススメしたいところです。 ただ私自身が歴史知識をほとんど持っていないので、どこがどう改変されたのか今一つよく判らないのがネックなんですが(苦笑) 実は彼の正体は、死んだと思われていた剣豪将軍で……とか言われても、誰のことだか判らんがなww ……学生時代に勉強してなかったのがバレちゃいますねえ……
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No.7442
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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