よしなしことを、日々徒然に……
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 2015年12月25日の読書
2015年12月25日(Fri) 
本日の初読図書:
4063714748C.M.B.森羅博物館の事件目録(29) (講談社コミックス月刊マガジン)
加藤 元浩
講談社 2015-06-17

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“石油界の怪物”、“血まみれシルバー”と呼ばれた非情な石油王が死んで半年。遺産を整理していた親族達が持ち込んできたのは、プラクルアンという小さな仏像のペンダントだった。森羅の鑑定の結果は、鉄製の量産品で欠けもあり、たいした値はつかないとのこと。遺族達は落胆し、適当に処分してくれと置いていった。だが孫の一人だけは、もう少し調べて欲しいと願う。高価な品物ばかりの金庫室で、そのペンダントは一番奥に大切そうに保管されていた。そして非情な祖父が生前残した、らしからぬ思わせぶりな言葉。その謎がこのペンダントに隠されている気がするからと……『プラクルアン』
初詣の人混みの中で、森羅や祖父とはぐれてしまった立樹は、林の中でひったくりの現場を目撃する。薄暗くはっきりとした様子は見えなかったが、犯人が逃げていった方へ追いかけてゆくと、そこには奪われた鞄がそのまま落ちていた。巡回していた警察官へ、ひったくりの知らせとともに渡そうとすると、そこへ二人の男女が現れる。どちらも「自分のカバンだ!」と譲らず、中身や鞄の特徴についても言い当てていた。困り果てた警察官は、目撃者である立樹と二人を、署へと連れてゆき聴取を重ねるのだが、どちらの言い分も筋が通っているように聞こえて……『被害者、加害者、目撃者』
大きな投資信託の社長子息は、苦労知らずの楽天家で、今までに子会社を2つも潰しているぼんくらであった。現社長に息子を頼むと頭を下げられた勤続50年の会計士は苦労が絶えない。いまの子会社も、三ヶ月以内に資金を調達しなければ倒産という状態であった。そんなところへ昨年亡くなった彼の祖父から、遺産として広大な家屋敷が贈られる。ラッキー、これを売ればいい! とボロボロになっている屋敷や敷地を大枚はたいて整備した子息だったが、今どきそんな大きな不動産が簡単に売れるはずもない。困り果てた彼は、弁護士から伝えられていた祖父からの遺言「困ったら森羅博物館の館長を頼れ」という言葉に従うことに……『椿屋敷』
森羅の知人で蝶好きの流木氏が殺害された。強盗殺人の罪で逮捕された男は、自分は殺していないという主張をいきなり変え、他に犯人はいるけれど、どうせ誰も信じてくれないからもう良いです、と罪を認める自白を始める。その証言に不自然さを感じた弁護士が再調査を始めた。森羅もまた自白だけで裁判に持ち込み、結果冤罪だったり途中で再度証言をひるがえされれば、傷つくのは流木氏の遺族だと主張する。そうして現場の状況を確認してゆくと、様々な不自然な点が見つかり……『自白』


いつのまにやら森羅も、ずいぶん人の心の機微に詳しくなってきたなあと思った今巻でした。
あるいはお正月のお話で、久しぶりに立樹の家族やおじいちゃんがご登場なさったから、初期との変化がいっそう感じられたのかもしれません。
四作目『自白』の被害者が、1巻1話目と同じ虫コレクター仲間であったのも、理由のひとつかも。あの頃は推理に必ず代価(入館料)を要求してたのに、今回は預かってた蝶を標本にして遺族に返してあげたり、無報酬で自発的に「殺された流木氏と家族のために、真相を突き止める」とか言ってるし。
一作目『プラクルアン』にしても、知るべきでない恐ろしい真相は、孫には教えず内々で片付けてます。
……大人になったなあ、森羅。身長は伸びてないけど(笑)

展開としては、『プラクルアン』は、一見良い話と見せかけて実は人の心の暗部を抉る、加藤さんお得意の鬱エンド。『被害者、加害者、目撃者』は、いかに錯綜する情報の矛盾を見つけて読み解くかという、パズルっぽいお話。
『椿屋敷』は、やはり遺産絡みだけど憎めない坊っちゃんキャラとか出てきて、比較的明るい展開。でもオチが(笑)
『自白』は二転三転しつつ、最後は切ないというか、やっぱり人間の心理がいろいろ絡まってちょっとドヨン。これ真相知ったら、遺族の子供は自分を責めそうだ……・゜・(ノД`)・゜・

ともあれ、今回も面白かったです。
No.7301 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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