2015年07月05日の読書
2015年07月05日(Sun)
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本日の初読図書: 燈馬の大学時代の友人で、しかも同い年。計算の達人と称されていた燈馬と並ぶ「実験物理の天才」サリー・ブライス。彼女が起業した実験観測装置の会社で、製品に関するトラブルが連続して起きた。世界各地のさまざまな実験施設において、ブライス社が納入した冷却装置が何者かによって停止させられたのだ。果たしてこれは、ブライス社を狙った犯行なのか。ならば犯人は、と。サリーは燈馬に相談を持ちかけてきて……「観測」 加奈の元へと差出人不明の謎の手紙が送られてきた。指定した廃ビルに、設計図の通りのエスケープゲーム会場を設営してほしいというのだ。謝礼として20万の現金も届けられたため、加奈は依頼人本人にそれを返却するべく、燈馬を巻き込んで会場を準備する。しかし開催日当日になっても依頼人は姿を現さず、代わりにやってきたのは「賞金100万円」と書かれた招待状を手にした五人の男女だった。しかたなく彼らと共にエスケープゲームを開始した燈馬と加奈だったが、会場には二人が気付かぬうちに様々な改造が施されていた。爆弾付きの扉で閉じ込められてしまった一同は、やむなくゲームを先へと進めてゆく。参加者の一人である元刑事によると、どうやらこのゲームは16年前に起きたある未解決事件に関わりがあるようで……「脱出」
長らくコンスタントに続けられたハイクォリティな推理コミックの名作も、ついに最終巻! ……と、思わせておいて、すでに新章「Q.E.D.iff」が始まってたりするんですが(笑) あと話の内容的にも、区切りを匂わせるような特別めいたものなど、いっさいありません。
まあ、それはさておき。 今回もある意味安定した話運びでした。 最初の話は、事件の規模が国をまたぐ大規模なそれの割に、その根底に流れるのはある種、読者たちにもとても共感しやすいだろう、ありがちな対立の構造でした。最初に犯人はこいつしかないだろうと思わせておいての、もしかしてこっち? いやいや、実はこっちでしたというどんでん返しが効いております。 ……たとえ年若き天才と呼ばれようとも、彼ら彼女らにだって歳相応の悩みや苦しみが存在するのだと、しみじみ思わせられるお話でした。 そして暗黒物質とか聞くと、なんか一昔前のSFファンタジー的作品のたぐいを思い浮かべてしまう私。あれってちゃんとした物理用語だったんですね……
後半の話は、私も最近あちこちで無料公開されている脱出ゲームとかプレイするので、「よし自力で謎を解いてやるぜ!」と意気込んだんですが……あえなく敗れ去りました。かろうじて「2つの四角の色」だけ、なんとかクリア。過去の事件の犯人は、まあ、あの人の言動はなんかおかしいな、程度には思いましたけど、まさか黒幕がそっちの人だったとは。これもやっぱりどんでん返し。 こちらの方は、殺人事件関わってる割には、なんか雰囲気が穏やかだったです。 ……ただ、いくら犯人をあぶりだすためとはいえ、まったく罪のない他の二人を結果的に監禁脅迫、しかも爆弾(偽物でしょうが)で下手すりゃトラウマレベルの恐怖を味わわせるのはどうなのかと。 燈馬と加奈だって、場合によっては共犯のレッテル貼られかねんぞこれ、とか思っちゃうのはやはり野暮なんでしょうかねえ……(苦笑) ともあれ、 こちらのお話は、一度読んで裏事情を知ってから、もう一度読むと二度楽しめる内容だったと思います。
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No.6934
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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