2015年07月04日の読書
2015年07月04日(Sat)
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本日の初読図書: 川に囲まれた三角州という立地にある藍空市。キース・レッドとガウス大佐率いる特殊部隊レッドキャップスは、橋をすべて爆破し、各種ライフラインを切断。さらに妨害電波を流すことで藍空市を孤立させた。 そうして市民達に向けて涼達の写真を公開し、制限時間までに彼らを引き渡さなければ、市内数百箇所にしかけた爆弾をいっせいに爆破、無差別虐殺を実行するとの声明を流す。その証拠にと幾人かの人々が路上で公開処刑されてゆくのを見て、隼人はとっさに飛び出し人質を救っていた。しかし異形の腕と返り血で染まったその姿を見た市民達は、隼人をバケモノと呼び恐れおののく。さらにガウス大佐は、彼らこそが危険な武器を隠し持つ人体兵器であり、人殺しの怪物なのだと煽り立てた。このように非人道的な作戦を遂行するのも、危険極まりない存在を捕らえるための止むに止まれぬ措置なのだ、と。 涼達を捕らえれば殺さないと約束された市民達は、まんまと踊らされ、暴徒と化して彼らを狩りたてにかかった。 罪なき一般市民を手に掛ける訳にもいかない涼達は、ひとまず三手に別れることとする。 面の割れた隼人とその祖父、さらにアルとキャロルは囮として目を引き付ける。戦闘能力の高い涼は、情報収集に長ける恵やユーゴーと共に敵の司令部を探す。そして元凄腕の傭兵だった涼の義母 美沙と武士は、市の中心部にある高層ビルに向かった。 このような作戦「スナーク狩り」においては、後顧の憂いを断つために、結果の如何に関わらず市民すべてを殲滅するのが常なのだと美沙は語る。そのために使用される小型核を設置するのに、あのビルこそがもっとも向いているのだと。 それぞれがそれぞれに為すべきことを為し、それぞれの形で懸命に戦ってゆく。これまで利用されるばかりだった警察組織もまた、自身の仕事を果たすべく活動を始めた。 苦しい戦いが続く中で、かつて義父を殺し己の左腕を奪ったキースに邂逅した隼人は、今こそ復讐を果たす時だと攻撃を向ける。しかし彼我の力の差は、あまりに大きく。胸を貫かれ死へと向かう隼人の前で、キースは祖父やアル、キャロル達へとその刃を向ける。またしても目の前で大切な人達が殺されようとする光景に、隼人は己の無力さを嘆いた。 もう復讐なんてどうでもいい。大事な人を守る力が欲しい。 死の淵で絶望する隼人へと、何者かが問いかけてくる。 「力が欲しいか!」と その、モノとは……
3巻目も引き続き424ページ。孤立させられた藍空市でのスナーク狩りの顛末。ジャバウォックに引き続き、隼人の騎士、武士の白兎の覚醒を経て、涼とジャバウォックの和解(?)、キースシリーズの登場。そして反エグリゴリ組織ブルーメンのリーダーの正体が明かされ、今度こそ旅立つところまででした。あまりにもみっちり詰まってて、密度高すぎ、お腹いっぱいですよ(苦笑)
……しかしキースシリーズの存在はなんとなく想像してましたが、ブルーメンのリーダーについては、キースシリーズの会話を読むまでまったく予想できてませんでしたね。 なるほどなあ、そういう経緯があっての、義憤に駆られた敵対組織なのに何故か行ってる人体実験だったのか、と。 そして「殺したければ殺すがいい。この審判を受けるために君たちの前に現れたのだから」と告げるリーダーへと、他でもない隼人が向けた、その言葉。 彼がそんなふうに言えるようになるまでに、どれほど苦悩し辛酸を舐め、そして成長してきたことかと思うと、もう……(泣)
そう、隼人のARMSは“騎士”なんですよね。 けして剣士でも戦士でもなく、彼は“騎士”。守るべきものを守ることこそが、その存在意義。 もし十年前にエグリゴリの襲撃を受けていなければ、きっと彼はもっと早くにその資質に目覚めていたんだと思います。だって一巻読んだ段階ですでに言ってますが、隼人って基本的に『女子供や仲間は身を挺してでも守るのが当たり前』って男なんですもの。たとえ復讐のため涼を殺そうとした時でさえ、カツミのことを誘拐はしても傷つけはしなかった。誤解で巻き込んでしまったと知った次の瞬間には、代わりにその身に刃を受けすらした。そういう彼だからこそ、“騎士”の主として認められたのでしょう。 それは研究所で兵器としてARMSを移植されたのでは、けして得ることのできない結果です。 ああ、本当に隼人って、いい男だ……
そして今回は、武士くんも大活躍でしたね。 ワイヤーロープ1本で戦闘ヘリを撃墜する、その手腕に痺れました。 ある意味では、彼こそが一番、ARMS達の中で「少年マンガの主役」っぽいんじゃないかと。 涼は幼い頃から無自覚に英才教育を受けてきた隠れ有能キャラですし、隼人もまた復讐のため六歳の時からいろいろ鍛えまくってます。恵ちゃんは言わずもがな、最初から戦闘要員として訓練を受けてきたわけで。 そんな中、彼はまったく裏事情を知らない両親の手で育てられきた、ごく普通の……むしろある意味、逆方向に突き抜けた元いじめられっ子。それがいきなりARMSをめぐる戦いに巻き込まれ、腕っ節も脳みそも人並みだったのが、少しずつ成長を遂げていく。恐怖に震え、涙を流し、それでも仲間達のために勇気を振り絞る……まさにこれぞ王道主人公(笑)
初登場時には、いかにも鼻持ちならない嫌味な子だった恵ちゃんも、あっという間に仲間になっちゃったし★
……そう考えると、涼の人たらし技術ってすげえな……今回はついにあのジャバウォックすら(遠い目)
ラストページは飛んでゆくアマツバメ。 アマツバメのヒナを観察しているところから始まったこのシリーズの、まさに大きな区切りとなりましたね。 次回からのアメリカ編がどのような展開になるのか、否が応でも期待が高まります。
……ところで20年前にブルーメンを立ち上げたという、リーダーさん。ちっとも年をとっていないように見えるんですが、やはり不老処置が施されているのでしょうか。だとしたらそのリミットはいったいいつ来るのだろうとか、心配になってみたり。 あとキース・レッドの頬の傷がちょくちょく消えてるので、実はもう他のシリーズと入れ変わってたりして……? なんてドキドキしながら読み進めていたら、単に描き忘れ(?)なだけだったとか(苦笑) よく見ると、けっこうその手のミスが、直されもせずにそのままなんですよね、この作品。ARMSのついてる腕とか、銃持ってる手とか、かなり頻繁に左右が間違われてる……
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No.6932
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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