よしなしことを、日々徒然に……
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 2015年05月31日の読書
2015年05月31日(Sun) 
本日の初読図書:
4125012881天使たちの課外活動4 - アンヌの野兎 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2014-08-07

by G-Tools
営業を再開したレストラン「テオドール・ダナー」には、以前のように多くの客が訪れるようになっていた。気心の知れた近所の知り合いもいれば、テオの料理に魅せられて、お忍びで通い詰める各界著名人もいる。
料理人風情と結婚したと、今は亡き娘に腹を立て絶縁していた凄腕投資家シメオン・パラデューも、すっかり常連客の一人となっていた。孫や孫の嫁、曾孫ももちろん愛しいのだが、目下の彼の一番の関心は、娘婿テオに向けられている。アンヌが遺した録音メッセージの通り、テオは料理をする以外まったくの役立たずで、常識すらろくに知らない。しかし「料理を引き立てるため店で使う」という観点を持った途端、驚くほどの審美眼を発揮するのだった。パラデューは店にやってくるたび、あらゆる美術品の本物や贋物をテオに見せてみるのだが、テオが「これは良い」「店の備品にしたい」と言うものは、すべてが本物なのである。しかもその値段や作者のことなど何も知らぬまま、ただ「気に入った」というそれだけで、100%本物を引き当てるのだ。
いっそのこと彼を、とある蒐集家が遺した膨大な美術品が収められている宇宙船へ連れていけたら、と。パラデューはそんなふうに嘆息する。その宇宙船には未鑑定の美術品が目録すらないまま、玉石混交の状態で十万点以上積まれているのだという。
ただしその宇宙船は、現在行方が判らなくなっていた。唯一の搭乗者が死亡したのち、感応頭脳が発した通信を頼りに捜索隊が該当宙域へ駆けつけた時には、既に姿を消していたらしい。当然テオを連れて行くことなどできるはずもない。あれほどの美術品が失われてしまうのは、宇宙的損失だとパラデューは嘆いていた。
ルゥもまじえて交わされていたそんな雑談を、たまたま店に居合わせたケリーとジャスミンとダンの三人も、聞くともなしに聞いていた。ケリーは総帥時代にパラデューとも面識があったが、現在の彼を見てパラデューがそうと気づくはずもなく、あくまで偶然同席した常連の一人という態度を貫く。
翌日のこと、テオドール・ダナーの掲示板にひとつの知らせが載った。いわく「店主の都合により、当店はしばらく『ヨハン・ダナー』として営業いたします」と。
なんでもテオは旅に出たらしい。以前も時おり、新たな食材や調理法を求めて、さまざまな土地を巡っていたのだという。当時はそのたびに店を閉めていたのだが、今回は任せてもらえたとあって、息子ヨハンは良い意味で張り切っていた。
ところがその晩のこと、ルゥやパラデュー、ケリーたちだけが残った閉店間際の店に、一本の連絡が入る。
それはテオが500Km離れた海沿いの町で、警察に逮捕されたという知らせで ――


3巻でリィ達の協力のもと無事営業を再開した、テオドール・ダナーのその後のお話。
シリーズタイトルに「天使たちの課外活動」とあるものの、リィとシェラはラストにちょっと出てくるだけ。さらに表紙で怪獣夫婦がでんっと出張っておりますが、メインはむしろテオとシメオン・パラデューです。大人組どころか壮年(推定五十代)と老年(七十代)コンビが主役って、いったい誰得なお話ですか。もちろん美味しくいただきましたともvv

そう、前巻のラストでテオの料理の虜になったパラデューさんは、盛大にデレました(笑)
ルゥいわく『可愛さ余って憎さ百倍の逆の心理』とのことで、今回はひたすらテオ(娘婿)の後ろについてまわり、亡きアンヌ(娘)に代わって、決定的に言葉が足りな過ぎるテオのフォローに努めております。
共和宇宙屈指の投資家が、秘書も連れずに田舎へほこほこついていき、嬉々として山小屋の干し草の山で寝てるんだぜ……? パラデューさん、極端すぎるわ(笑)

テオにはまったくその気などないのでしょうが、結果的にアンヌの死後疎遠になっていた取引先へと、新たなスポンサーを案内しつつ紹介してまわったという形に。これで店はますます安泰となることでしょう。
……しかしチーズや山菜を届けさせるためだけに、発着場と格納庫の建造までしてVTOL飛ばしてたアンヌ、只者じゃなさすぎるぜ……(ため息)

そしてジャスミン。ケツ揉んでんじゃねえよ(笑)
お前も大人しく揉ませるな海賊w 部屋で一人吹き出しちまったじゃねえかww

あ、今さら言うのもあれですが、この巻には大人組サイドの外伝シリーズ「トゥルークの海賊」のネタバレも含まれています。
私はまだそっちを1巻までしか読んでなかったので、ちょっとやっちまった感が。
やはりリンクしてる作品というのは、発表順に読まなきゃ駄目ですねえ。

ところでいささか気になる点が。
茅田砂胡 全仕事1993-2013」に収録されていた鈴木理華さんによる描きおろしマンガで、怪獣夫婦は町を散策中に生前のアンヌと出会い、「今度は息子と三人で食事に来る」と約束しているのですよ。
この巻の冒頭でそれが果たされ、怪獣夫婦と独り立ちしたミニラが店を訪れるのですが……これって時系列おかしくないですか??
ジャスミンが冷凍睡眠から目覚めたのは、リィ達が中学一年の時ですよね。季節までは覚えてませんが、「暁の天使達」のラストだったから、そののち外伝2冊+クラブレ16冊分の時間を一年生で過ごしたとなると、年度もかなり初めの頃だったと思われます。
そして二年生になってまだそう間もないだろう現在、すでにアンヌが死んで二年経っている。……ジャスミンが起きた時点で、アンヌもう亡くなってない?? と。
これは描き下ろしマンガ読んだ時から気になっていたものの、まあ商業ベースとはいえ二次創作だしなと流しておりました。しかしこうして本編に、作者様公認設定として組み込まれるとなると、ちょっと引っ掛かりが。
そのあたり、ちゃんと説明のつく整合性があるんですかね……?
No.6850 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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