よしなしことを、日々徒然に……
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 2015年03月23日の読書
2015年03月23日(Mon) 
本日の初読図書:
4048666509神様の御用人 (2) (メディアワークス文庫)
浅葉なつ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-05-24

by G-Tools
かつて国造りの旅の途中、病に倒れた際に入った温泉の心地良さが忘れられないという少彦名神。力を削がれたこの身体に、今一度あのぬくもりを感じたいのだが、全国各地の温泉を試してみても、どうにも違和感を感じてしまう。どうか心の芯までほどけるような湯を、と願われた良彦は、とりあえず様々な入浴剤を試してみるのだが……「一柱 名湯の条件」
浮浪者に見紛わんばかりの貧乏神から、次に取り憑く家を探して欲しいと頼まれた。寒風吹きすさぶニ月に、神とはいえろくな服も着ていない老人を放置するのは気が引ける。しかし貧乏神を取り憑かせるということは、その家を落ちぶれさせることに他ならない訳で。悩みながらも金持ちの家を物色していった一行は、現代の世知辛い現実を目の当たりにすることとなって……「ニ柱 貧乏神の憂鬱」
泣沢女神は全国の人々の悲しみを半分引き受け、代わりに泣くことで心を軽くしてやるのが務めの神だという。神力を失いつつある彼女は、その涙に満たされた井戸から出られなくなってしまった。どうか井戸から出して欲しい、千年ぶりに外の景色が見てみたいと泣く幼女を、良彦は梯子やロープで引き上げようとするが、数多の悲しみを吸ったそのあまりの重さに、一人の力ではどうにもならない。しかし誰かの力を借りようにも、神の姿を見ることができない友人に頼む訳にも行かないし、と。悪戦苦闘しているところへ、大主神社の宮司の娘で女子高生の吉田穂乃香が通りかかる。どうやら彼女には黄金や泣沢女神の姿が見えているようだった。しかも泣沢女神とは旧知の間柄らしい。ところが彼女の願いを聞いた穂乃香は、急に表情を変えて逃げ出してしまい……「三柱 彼女の涙」
家族が揃って旅行にゆき、良彦は一人で留守番する羽目になった。夜になってバイトから誰もいない家に帰ろうとすると、途中のゴミ捨て場でスーツ姿の美女が酔い潰れているのを見つけてしまう。そうして絡まれたあげくにしかたなく連れ帰り、自宅へと一晩泊めたのだが、なんと彼女は人間ではなく神様の一人であった。出雲大社に祀られる縁結びの神、大国主の正妻である須勢理毘売なのだという。彼女いわく、大国主の浮気症にはほとほと愛想が尽きて家出してきた。御用人として、あのどうしようもない夫を改心させてくれ、と。神様の夫婦喧嘩の仲裁という無茶ぶりに、良彦は頭を抱える。事情を知った穂乃香も手伝いを申し出てくれるが、そんな彼女へと突然、言い寄ってくる男が現れて……「四柱 夫婦の事情」

今回はなんといっても、スセリヒメとオオクニヌシでしょう(笑)
古事記の神代の巻はいちおう読んでいますし、それ以前にやはり地域柄、子供の頃からスサノオやオオクニヌシ達の物語には自然と親しんできていました。
……そんな訳で前々から、オオクニヌシには各地に現地妻多過ぎだろう(笑)とか、因幡の白兎エピソードで先に結婚したヤガミヒメの立場は?? とか思っていたんですよ。
それが、よもやこんなふうに料理されるとはvv
ミニスカスーツにハイヒールをバッチリ決めたゴージャス美人のスセリヒメと、一見草食男子のしゅっとしたイケメンに見せかけて実は浮気症……だけどスセリヒメにはべた惚れなオオクニヌシのやりとりがたまりません。
スセリのためならば、かつて殺されかけた舅のスサノオがいる京都まででも迎えに来るし、スセリが良彦の部屋に泊まっていると聞いて、さっきまで美人を口説いていたその同じ口で「僕の妻に手ぇ出してないだろうねぇぇ!?」とスパーク散らしながら豹変するオオクニヌシが馬鹿可愛いvv

このオオクニヌシが、第一話のスクナビコナを手のひらに乗せて一緒に温泉入ってたのかとか思うと、ますますほっこりしますね。……いやまあ、当時のオオクニヌシは、もっと威厳のある立派な大神だったらしいんですが。

大きな力と長い寿命を持ち、人間のことなどすぐに枯れ落ちる木の葉の一枚程度にしか感じられない神々達。しかしそんな彼らも、人々から忘れられることで力を失い、そして普通の人間にすぎないたった一人の一言で救われもする。
神さまだって、悩むし苦しむ。そんな俗っぽさが日本神話の神様たちの魅力なんだと思います。

新たにヒロイン(たぶん)も登場し、お話しの幅が広がってきたかな。
幼い頃からこの世ならぬものを見続けてきて、人付き合いが苦手になった穂乃香ちゃんが、これから良彦に影響されながら、どんなふうに変わっていくかも見どころなんでしょうね。

……ああしかし、相変わらず本来の御用人の謎と、語り部の正体は判らないままだなあ。
鱗の件さえなければ、黄金で納得できるのに……
No.6681 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2015/03/24/18:43:23 [HOME]
こういうお話し好きでござる。
と、「因幡の白うさぎ」と言うお土産のお饅頭を食べながらこの記事を読ませて頂いておりやす。
余談じゃが、この饅頭美味しいね、まこっちゃんは食べた事がありますか?

子どもの頃から日本書紀とか古事記が好きなので、この系統の小説はツボです。
「八雲立つ」も良かったしねぇ〜

第一章とか二章などが「〇柱」って書いてあるのが地味にクルなぁ(笑)
こういう小技って好きです。

この本楽しそうですねー


先日駅の本屋さんで「えどさがし」を読んで面白かったので、しゃばけシリーズを読もうかどうしょーかと考え中。
見たら・・・めっさ刊行されとるやん!
こりゃ図書館行くか、古本で買うかせなあかんえ〜

貧乏性な私は焦っています(-_-;)
 
No.6687
 
神崎真  2015/03/24/22:44:34
こういう神様的なお話をできる相手って、リアルだとなかなか貴重ですよね。
おかげさまで、意外なところでスコンと妙な勘違いをしていることもあったりして、ときどき冷や汗をかく羽目になります。
神さまを数える単位が「柱」とかって、絶対、一般常識じゃあないですよね……(苦笑)
このシリーズは、章と章の間に「ワンポイント神様講座」なんてのも入っていて、細かいところが楽しいです♪
三巻目も借りてきてるんですが、今ちょっとモノ書きの神さまのおもてなしに手を取られていて、なかなかそちらに手を出せません。ううう、返却日までに読めるかしら(泣)

あ、日本神話関係のお話だと、佐井原 景さんの「神代異聞」がすっごく面白いですよ!
古事記と出雲国風土記をベースに再構築された、古代史FTです。私は何年も前、個人サイト掲載時に読了していましたが、いま調べたら小説家になろうにUPされてました。ぜひぜひ多くの人に読んで欲しい作品のひとつです。

> しゃばけシリーズ

ええと、現在13巻まで出てるんでしたっけ?
ちなみにテレビのSPドラマでは、佐吉さんが高杉亘で、仁吉さんが谷原章介でした。屏風のぞきが宮迫さんで、そして鈴彦姫を演じた女形の早乙女太一が超絶美しかった……(うっとり)
一巻目の「しゃばけ」はもともと投稿作品で、一冊でそれなりにまとまっていますから、まずはそれだけ読んでみるのもありかと思いますよ。文庫にもなってますし。
個人的には、最初の五冊ぐらいまでがオススメです。

> 因幡の白うさぎ

私はフィナンシェ風のやつが好きですvv
シンプルな形なのに、ちゃんとウサギに見えるデザインも秀逸ですよね。
 
No.6690

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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