2015年03月05日の読書
2015年03月05日(Thr)
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本日の初読図書: ちょっとした掛け違いから仕事が滞り、レティーツィアは忙しく政務に追われていた。余裕をなくしているその姿を見たデュークは、早急に頭脳担当となる宰相や軍師候補を騎士にするよう進言する。 「下種なことが平気でできる人間がいい」 潔癖なところのあるレティが決断をためらった際、その背中を押せる人物。至高であるべき王に代わって、泥を被る役目の臣下を。 その提案をもっともだと受け入れたレティーは、かねてから軍師候補として情報を集めていた二人の名をあげた。一人は戦があればどこからともなく現れて勝利をもたらすという、正体不明の軍師ゼノン。そしてもう一人は、没落したかつての三大公爵家の一角クラインシュミット侯爵家の冷や飯食い、メルディ・クラインシュミット。 十八歳になるメルディは、爵位を継ぐ可能性が皆無なほど末端の生まれで、王立騎士学校を卒業してからも騎士にならず、家でごろごろしているという。これと言った特徴もない、ごくごく平凡なうだつのあがらない人物であった。だがレティは彼が残した成績に着目していた。十三歳で騎士学校に入学した際には全科目満点。そして卒業時には全科目ぴったり五十点。これはけして、偶然で取れる点数ではないと。 レティらはひとまず、遅れている堤防工事を視察するお供という名目で、メルディを旅行へ連れ出した。 一方でメルディの父親は、浮かれて息子に言いきかせる。自分で政務を執りたがっている次期女王陛下は、夫にすべて“御意”で答える無能さを求めているのだろう。お前は一歳違いで年齢も合うし、フリートヘルム派でもグイード派でもない名門クラインシュミット侯爵家の血を引きながら、政治的発言力は皆無。つまり今回のことは夫選びの一環に違いない! と。 メルディはその予測に説得力を感じながらも、裏にはまだ何らかの意図が隠されているのではと推察した。ならばあの王女は相当食えない相手であると、警戒を強める。なぜなら彼は、レティに対して含むところがあったのだ。かつてレティの婚約者候補であった、従兄のマティアス。その変死事件について、メルディは疑惑を抱いていたのである。 そして。 それぞれの思惑を乗せた馬車が通りがかった道中の町で、間もなく盗賊が襲ってくる兆候を発見した一行は……
シリーズ本編10巻目、番外編を含むと11冊目。 今回の騎士候補は軍師枠です。もともとレティが頭良いところへ持ってきて、またぞろ頭の回転が速い人間が相手をしているので、同行しているデュークやクレイグなんかの影が微妙に薄いような(苦笑) いえ、彼らは彼らでちゃんとそれぞれのやり方で活躍してるんですけどね。特に即興でいきなり「何か耳打ちしろ」って言われて、そこでしれっと大真面目な素振りで朝食のメニューをチョイスするクレイグのお茶目っぷりとかたまりませんがvv そして真性脳筋のアストリッドも、メルディとは真逆かつ常識に捕らわれない柔軟な発想の持ち主として、認められていくわけですが。 しかし今回はとにかくメルディの内面描写に紙面が割かれていたと思います。 かつての師によって、お前に未来はない、先はない、だから何もするなと深層意識に刷り込まれていたメルディが、自分の意志で一歩を踏み出すまでのストーリー。1冊で安易に叙任まで行かなかったこともまた、アストリッドと対を為すような立ち位置に思えました。 二人の軍師というタイトルの通り、後半ではもう一人名が挙がっていたゼノンも御登場。高名な軍師と言うからもっと年輩かと思っていたら、こっちもしっかりイケメン枠でした。つくづく乙ゲー(笑)
さて次の巻は、長らく棚上げになっていたマティアスの変死事件について調べていくようです。てっきりファンタジックな要素が絡んでの「あり得ない転落死」だと思っていたら、メルディにはトリックらしきものの予想が既についているようで。次の巻は謎解き色が強くなるのかな? ともあれ、このシリーズを読み始めて一ヶ月。ついに最新巻まで追いついてしまったので、次が読めるのは数ヶ月後(しょぼん) 首を長くして刊行を待つことにします。
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No.6637
(読書)
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この記事へのコメント
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paoまま
2015/03/06/14:08:40 [HOME]
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>このシリーズを読み始めて一ヶ月。ついに最新巻まで アハハまこっちゃんの最近のお楽しみが一区切りついてしまいましたか。 面白い本に当たった時は読んでいる時はルンルンですが、読み終わったら「終わっちまったゼ・・・」になりますね。 でもまこっちゃんは楽しみの種をあちらこちらに見つけていらっしゃるので、 「浜の真砂は尽きるともぅ〜」 読書の楽しみはつきまじってところでしょうか。
あらためてマジマジと「おこぼれ姫〜」のカバーを各巻見てみました。 記事も読み返してみました。 女子の喜びそうなネタが満載ですか? 出てくる男性陣は皆さん美形揃いですか? まこっちゃんの「乙ゲーかっ!」と仰るセリフがうなずける。 乙ゲーってCMでしか見た事ないですが、いつも 「こんなんばっかりしちゃ駄目よ〜ダメダメ!」
益々少子化に拍車がかかっちゃうよ、とおばちゃんは心配しております。
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No.6638
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神崎真
2015/03/06/17:26:28
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> 「終わっちまったゼ・・・」 あまり冊数が多すぎると、とても追いつけないとなかなか手が出せないものですが、こうして早々と追いついてしまうのも、これはこれで寂しいものです(しみじみ) 個人的に小説のシリーズものは、長くても15冊ぐらいで終わってもらえるのがちょうど良いと思ってます。このおこぼれ姫〜はコンスタントに出版されてますから、あと一年ぐらいで祝★完結、となって欲しいところですね。
> 「浜の真砂は尽きるともぅ〜」 盗人はいなくなるのがありがたいですが、読書の楽しみはぜひぜひいつまでも新しい出会いがあって欲しいです! 最近は無料で読めるオンライン小説も高品質なのがいっぱいありますし、これからもどんどん開拓していきまっせvv
> 乙ゲー 私も噂に聞くだけで、プレイしたことはないですねえ。 っていうかテレビCMでキラキラしいイケメンが気障なセリフを囁いてるのを見ると、オタク属性の持ち主としては居た堪れなくなってなりません。駄目だよ、こういうのはひっそり隠れてこそこそ楽しまないと! ……いやはや世の中、変わったものだなあ……(遠い目)
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No.6639
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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