2014年11月25日の読書
2014年11月24日(Mon)
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フランスにも拠点を構えることになった圭介達。田島らしからぬタイトなスケジュールの要求に、屋敷を整備するメイドやタイガーチーム達は忙殺されていた。 一方で、長らく失われていた歴史的なブルーダイヤ「ヘレネの涙」がルーヴル美術館に寄贈された記念パーティーに、圭介と麻里は招かれていた。だが圭介は同じ夜に開かれるオークションにモネの睡蓮が出品されると聞いて、麻里を先に会場に行かせ、自分はオークションに参加してしまう。そしてちょっとした騒ぎは起こしたものの、なんとかパーティーの開始時間に間に合うようオークションを後にしたのだが、ルーヴル美術館に向かう途中で何者かの襲撃を受けた。タイガー・チームの警護をかいくぐり、マシンガンで撃とうとしてきたのは、紛れも無くプロの仕業だった。 それでもどうにか無傷で切り抜けた圭介は、スケジュールの変更を拒否しパーティーへと向かう。しかしそこでも大きな事件が待ち受けていた。モナリザの展示室を訪れた圭介と麻里の前に、一人の男が姿を現したのだ。彼の名は桐島六郎。幼い麻里を捨てて母とともに姿を消した父親、統一郎の末の弟であり、かつて麻里に対し桐島家の面汚しとまで言ってのけた男だった。 当然、麻里は六郎を嫌いぬいており、いったい何の目的で現れたのかと詰問する。そんな麻里を嘲るようにモナリザを盗んでみせろと提案した六郎は、圭介が断ると他の客達が展示室に入ってくるのを見計らい、明かりを落とした。そしてわずか十秒後。展示室の明かりがついた時には、壁にかかっていたすべての絵画が跡形もなく消えていたのである。ただひとつ、モナリザ一枚を残して…… 果たして六郎は、どんな手段を使って絵画を盗み出したのか。圭介は頭を悩ませるがまったく想像も付けられない。 一方で圭介を襲ったのがロシアン・マフィアだと予想したタイガーチームは、過去の人脈を頼りにロシアの元参謀次長ユーリー・マカロフへと接触した。彼もまたかつて麻里の祖父 重三郎と交流があり、圭介の話術でなんとか協力を取り付けることができた。しかし交換条件としてエルミタージュ美術館の館長の頼みを聞くことになる。それは圭介を狙ったロシアン・マフィア、ムソルグスキーが各国から盗み出しエルミタージュに隠させている名画を、表の世界へ戻すべくパリまで輸送してほしいという依頼だった。パリでの手はずはすべて整っている。圭介達はただ、見つからぬように絵画を運び、ロイズ保険会社の社長へ引き渡してくれれば良いのだと。 だがそれは、複雑に絡み合った陰謀の一端であった。 かつて「ヘレネの涙」をきっかけに、イギリス王家と桐島家を巻き込んで起きた悲劇。イギリス王家はそのスキャンダルを隠蔽しようとし、六郎は暴き立てようとする。桐島家に対抗するべく、イギリスは圭介らを抱き込みにかかり、六郎もまた復讐に力を貸せと様々な方法で圧力をかけてくる。 信頼していた田島の身柄は六郎に奪われた。しかも田島もまた、麻里に両親のことで長年嘘をつき続けていたことが判明する。いったい誰が本当のことを言っていて、誰が嘘を言っているのか。誰が敵で誰が味方なのか。あらゆることが信用できなくなってゆく中で、圭介らはイギリス政府の傘下に入り社会的生命を保つか、あるいは六郎に与し裏の世界での自由を得るかの二者択一を迫られて……
ほんのつい一月ほど前、なんとなーくその気になって、三巻「メトロポリタン・ブルー」を読み返していたのは、何かの予感ででもあったのか。 先週、いきなり四巻「ヘレネの涙」が発売されたので、嬉々としてポチッとな。 もともとは1巻目がWEBで無料公開されていた頃、続編のパイロット版として途中までUPされていた作品でして、いつか完成品が読めるようになるのを待ち望んでいました。 いざ読んでみれば、以前に公開されていた部分でさえ、相当の改変や書き足しが盛り込まれています。しかもそこからが長い! 作者様のブログによれば、なんでも56万字超。原稿用紙で1800枚ぐらいあるそうなので、580円ならむしろ格安と言えるでしょうvv<普通の文庫換算でざっと三〜五冊
前回のメトロポリタン〜は、ちょっと彼らにしては話のスケールが小さいなあとは思っていたのです。 ですが今回を読んで判りました。あのお話はこの四巻目の前座でしかなかったのだと! 前回は作中時間がわずか24時間、舞台はほぼ美術館を動かず、物々しく登場したロシアン・マフィアも結局は噂話だけで、微妙に肩透かし感がありました。今回はそのロシアン・マフィアががっつり関わってまいります。作中時間も一年半ぐらいあって、圭介らとタイガーチームはアメリカ・イギリス・フランス・ロシアと縦横無尽に動き回ります。あまりにめまぐるしくって、「えっと、バッキンガム宮殿ってフランスだっけ、イギリスだっけ?」「ルーブル? メトロポリタン?? エルミタージュ???」とかなりました(苦笑)
そして何よりも、前半のハラハラ・ドキドキ感。 今回は圭介達をかつてない危機が襲います。一巻でお祖母様に生命を狙われた時も、危機といえば危機でした。しかし今となっては世界的なセレブリティとなった圭介らが、今度は社会的に抹殺される ―― あの瞬間ときたらもう(><) っていうかね、もうね、あの依頼をされた瞬間から、そんなに簡単に信じていいのかと。裏をとってから動けよ、あああああ!! ともう、スマホを握りながら身悶えしまくり。むしろ決定的瞬間が来た時には、ああやっぱり……とむしろちょっとホッとしたぐらいで。くっそう、作者さんに踊らされてる(悔)
そしてようやく半分まで読み進んで、圭介の逆襲のターンに入ってからは、今度は別の意味でワクワク・ドキドキ。いったいどんなすごい計画を見せてくれるのだろうと、心が弾みます。 しかし今度はこれまでのように、圭介側の一方的な展開とは行きません。 計算違いに、トラブルにつぐトラブルはいつものこととしても、今回は六郎おじ様が控えているのです。 重三郎お祖父様を彷彿とさせる天才的な閃きを持つ圭介も、まだこの世界に入ってわずか三年。対して六郎おじ様は生まれた時から桐島家の人間。しかも十年以上前から今回のための計画を練り、あらゆる手配りをしてきた男です。 どれだけ裏をかいたと思っても、それを読んで更に上をいく六郎おじ様に翻弄されまくる圭介サイド。 ようやくこぎつけたマフィアの逮捕後も、次々と明らかにされる新事実に、いったい六郎はどれだけの情報を持ち、人脈を繋ぎ、そして操作してきたのかと……
いやもうほんとね、六郎おじ様すごすぎます。その彼をしてなお届かないと言わしめる、重三郎お祖父様と、今もなお尊敬し続ける統一郎兄(麻里の父親)は、どれほどの存在であったのか。
でもでもですね。 圭介の人タラシぶりは、相変わらずの安定ぶりなのですよvv まさかあの人を、という人まで味方に引き込んで、いつものように突き進んでいきます。 そして最後はきれいに気持ちよく、すべてが収まるところへ収まってくれるのが、召しませクォリティ。 だからこのシリーズは安心して読めるのさ♪
圭介と麻里は今回も多くの資産と、それ以上の人脈を手に入れました。 そして今まで避けてきたものに対して、向き合う覚悟もまた。
なにを書いてもネタバレになってしまいそうなので、あまり多くを語ることはできませんが、今回も非常に面白く満足できる作品だったとだけ。 まさにボリュームも内容もお腹いっぱいです。
あ、それとこの話を読む前に、「メトロポリタン・ブルー」は読み返しておさらいしておいたほうがいいかもしれません。いえ作中でちゃんと、それとなく関連情報の説明は入っているのですけれどね。 ……あるいはこっちを読んだ後に二巻「モネの誘惑」も合わせて読み返したほうが、あそこはこうだったのか、と目から鱗が落ちるかも(笑)
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No.6387
(読書)
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この記事へのコメント
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paoまま
2014/11/25/17:10:24 [HOME]
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モネにダイヤにルーブルにメトロポリタンですか。
おサレや〜! お洒落過ぎとちゃいますか 圭介氏と麻里ちゃんは美男美女?
眩しいヨ〜! まこっちゃんがここまで言うのですから、 よく出来た本なのでしょうね。
Moneyかぁ 宝くじ買おうかなぁ・・・(笑)
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No.6388
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神崎真
2014/11/25/22:10:25
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圭介さんは印象派の絵画集めが趣味。 麻里さんは宝石好き。 自分達で美術館建てたりとかしてます。 そう書くだけでもキラキラしいですよね。 しかも飛び交うお金の桁が数千万ドルとか、もう完全に世界が違います(笑)
ちなみに麻里さんはあらゆる国の血がまじりまくったモデルばりの美女ですが、圭介さんは三年前まで普通のサラリーマンだった、あくまで好青年レベルのお人。だがそこが良い。 「二十代独身男性の中で世界一の金持ち」と言われながら、夜食にインスタントラーメン食べたがったり、フランスには牛丼屋がないから住みたくないとか言っちゃうところが、圭介さんの魅力なのです★
ああ、これがテキストファイルか、せめて画像抽出の可能なPDFだったらなあ……
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No.6389
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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