2014年08月14日の読書
2014年08月14日(Thr)
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本日の初読図書: 成風堂で本の取り寄せトラブルが相次いだ。同じ書籍の注文が重なるのはよくあることだが、確認の連絡を入れると、注文した人間四人が四人とも「覚えがない」と困惑や怒りを見せるのだ。しかも同じ面々を相手にそれが二回も。奇妙だと首を傾げる杏子らだったが、事情を知っているらしい女性が店を訪ねてきて……「取り寄せトラップ」 社会科見学で小学生が成風堂へやってきた。店内を見学したりおしゃべりする子供たちの中で、一人の男の子だけがぽつんと離れており、奇妙な質問を向けてくる。特に広辞苑には異常なほどの関心を向けていた。その少年はそれからも一人で店を訪れては、店内をうろつきまわるようになる。その奇妙な行動に気がついた同級生らの間で、彼こそが最近起きている幼女連れ去り事件の犯人だろうという、心ない噂が流れ始めたとのことで……「君と語る永遠」 最近バイトに入った大学生の金森青年は、飲み会の席で思い出話を始める。一年前、自分は成風堂に客として訪れ、そこで一人の女子高生に一目惚れした。そして彼女目当てに成風堂に通いつめたのだが、結局はストーカー呼ばわりされ失恋してしまったのだと。ところがその話を聞いた多絵は、金森が怪しい。何故なら話の筋が全然通っていないと言い出すのだが……「バイト金森君の告白」 取次の営業藤永がふと口にした話題に、普段はいい加減な事なかれ主義の店長が食いついた。なんでもある条件をクリアできるなら、その店で人気作家影平紀真のサイン会を開けるというのだ。本にまつわる難題解決なら、多絵という強い味方がいる。乗り気になった店長は渋る藤永を焚き付けて、サイン会場へと立候補した。その条件というのは、影平に熱烈な手紙を送ってくる匿名のファンを、サイン会場で見つけ出すことだという。ところが正体のヒントだというそのファンから送られた暗号を解読した多絵は、サイン会をやらないほうが良いと言って……「サイン会はいかが?」 常連のお客様が、店内で手に持っていた封筒を紛失してしまった。中身はただのスナップ写真なのだが、それなりに思い入れのある大事なものだという。どこかに置き忘れたはずのそれを店員総出で捜すものの、さっぱり見つからない。しかたないとお客様もあきらめ始めた頃に、倉庫で整理作業をしていた多絵が戻ってきて……「ヤギさんの忘れもの」
成風堂シリーズの三冊目。 むむむむむ……うむう。 以下辛口なので、記事を畳みます。
今回は短篇集なんですが、なんというか話のテイストが一定しなくって、日常の謎だと思って安心していたら深刻な事件になったり、逆に覚悟していたらほんわかと終わったりして、微妙に微妙なちぐはぐ感がちらほらと。 気軽に読めて読後感もいいのは「君と語る永遠」、「バイト金森〜」「ヤギさん〜」。 意外に深刻で後味もちょっとなのが「取り寄せ〜」と「サイン会〜」。 特に表題作は、最初に被害者だと思えた人物が実は加害者だったというのはお約束ですけれど、その加害者に対する多絵ちゃんの態度がどうも、なんというか。 仮にもバイトの女子大生書店員が、サイン会にやって来た売れっ子作家の成人男性に、その物言いはありなのか? とか。 多絵ちゃんの推理だって、又聞きの歪曲された情報を元にした、けっこう穴だらけのものなん違うか、とか。 うーん……こう言ってはなんなのですが、巻を重ねるにつれてちょっと多絵ちゃんの言動が鼻につき始めたところがなきにしもあらずというか。素人探偵、もっと謙虚になれよ的な?
おっかしいなあ。傲慢で我儘で変人な探偵なんてお約束なキャラクターなはずなのに、なんでこんなに気になるんだろう。もしかしたら周囲が彼女を「有能だけれど変人」と評価せずに、ストレートに「有能だから頼ります」、「不器用だけれど性格はいい子」扱いしてるから、おいおい誰か一人ぐらい突っ込めよ! と思うのかもしれません。
それだけに、そんな彼女にも推理しきれなかったという「バイト金森〜」は、いいぞもっとやれとか思ったりして。 書店の裏話エピソードはおもしろいだけに、謎解き部分や人間関係をもう一歩、と感じてしまいます。 次の巻は、出版営業井辻くんのシリーズとコラボかあ……むむむ、読もうかどうしようか……(悩)
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No.6132
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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