よしなしことを、日々徒然に……
※ 2018年以降の記事は、別ブログの方へUPしています ※
新しいブログへは こちら からどうぞ。



 2014年07月27日の読書
2014年07月27日(Sun) 
本日の初読図書:
4796666761イノセント・ゲリラの祝祭
海堂 尊
宝島社 2008-11-07

by G-Tools
チーム・バチスタこと田口・白鳥シリーズの……ええと、何作目だっけ?
このシリーズは医療ミステリから始まったと思うんですが、じょじょにそのカテゴリから逸脱していっており、今回はもう完全にこれ推理小説じゃなかったですね……

厚生労働省で行われる「診察関連死死因究明等の在り方に関する検討会」、略称「医療事故調査委員会創設検討会」とかいう会議に無理やり招かれた田口先生と、その周囲を取り巻く濃ゆいキャラクター達。
そのそれぞれが田口先生に一目置くというか、彼をキーパーソンとみなして利用する形で、医療と司法のありかたについて激しく問題提起し議論を戦わせつつ、最終的には田口の大学時代の後輩で病理医の彦根が、ものすごい大風呂敷を広げたハッタリを隠れ蓑にしながら白鳥と結託、うやむやのうちに医療事故調査委員会へのエーアイ導入を認めさせるお話、とでもまとめればいいのか。
今回はほとんどが会議や、それぞれが巡らせる策略や駆け引きに費やされていて、正直私では脳ミソが追いつきませんでした(−ー;)
物語の中での時間は(おそらく)「螺鈿迷宮」よりちょっと後の8月に始まって、翌年の10月までの長丁場にわたります。会議が数ヶ月に一度のスパンで行われるため時間の飛び具合も激しく、ほとんど分単位で刻まれていたこれまでの作品とはずいぶん雰囲気が異なりました。

田口先生は、ある意味中心人物でありながら、誰よりも部外者であり、ただ一人すべてを俯瞰しているような立場です。要するにすべてが他人事(笑)
出世欲がまったくなく、失うものも持っていないから「それぐらいなら良いか」と納得ずくで利用されてやる懐の広さが田口先生。
あと事前準備とかまるでなしに、会議の開始寸前でいきなり「講演してくれるそうで」とか言われて、焦りもせずに即興でプレゼンかませる隠れ有能なところもさすがです。

しかし周囲(主に病院関係者)からの、田口先生への勘違いぶりがだんだん激しくなってきているのが楽しいですなあ(笑)
白鳥さんもそれを知っていて、「その大事件(バチスタ・スキャンダル)の最中、バッシングの嵐が吹き荒れる中、ただひとり出世し、リスクマネジメント委員会委員長の座を手にした猛者さ。上昇志向の強いイヤなヤツ。見かけは人が好さそうだけど、実はとんでもないヤツだから気をつけてね」とか敵対する官僚に大ボラ吹いてるしvv

あとこの巻は「ナイチンゲール〜」と「ジェネラル・ルージュ〜」がリンクしていたように、背後で他の作品とかなり繋がっているように感じました。たった一言でさらっと終わってしまった、「田口先生が通りすがりに死体を見付けた」事件は、おそらく「玉村警部補の災難」で詳しく語られているみたいですし、新聞記事のみで触れられ重要な要素のひとつとなる「産婦人科医が医療事故で逮捕された」という事件は、おそらく「極北クレイマー」のことだと思います。
……そしてこの極北っていうのは、たぶんジェネラル・ルージュ速水先生が、三年間の期限付きで島流しにあった、極北救命救急センターと関係があるんじゃないかとか。

ああもう、キャラクターやら時系列やらが絡みあいすぎて何が何だか!
くそう、この前に借りてきたムック本の、人物相関図をコピーし忘れたのは不覚だった!!

そんなこんなで、この巻だけでは解き明かされない謎とか、放りっぱなしになっているエピソードとかがけっこうあるので、なんだかちょっぴり消化不良な部分もあったりとか。

あと医療現場と官僚の世界が、ちょっと狭すぎるというか、田口・白鳥の友人知人が重要ポストにつき過ぎだろうという点も気にかかったり。

まあ、グイグイと読ませるその勢いは、確かに見事だと言えました。
さて次は「玉村警部補〜」あたりを読むべきかな……?
No.6075 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2014/07/28/13:40:31 [HOME]
昨夜はそれまでの夜に比べたら随分涼しくて
過ごしやすうございましたデス。
今朝なんか掃除機をかける気力が何にもせんでも出て来てくれたもん。
もしかしていっちゃん暑い時期は僅か数日で終わったのでしょうか?

医療モノのお話しは私も大好きで、「バチスタ」は買って読みました。
この作家さんは・・・医学部出たとかそんな感じなのですか?

「医療事故調査委員会創設検討会」ですか。
白鳥さんの名刺の肩書きもですが、漢字が長いよ漢字が!
漢字の長いのが付いてると有難味は増しますけどね。

最近漢字を書く力がダダ落ちしております。
コワイくらいです。
 
No.6076
 
神崎真  2014/07/29/04:08:08
夜が涼しいと、それだけ眠りやすくて良いですよね……(しみじみ)
熟睡できると、朝の寝覚めもそれだけ違うというものです。
しかしほんまもんの夏は、やっぱりこれからなんじゃないでしょうか。週間天気予報を見てみると、来週の予想最高気温は、のきなみ三十度超え……ああ、また暑い日々がやってくる(−ー;)
せめて熱帯夜にはならないでほしいなあ(切実)

バチスタ〜の作者海堂さんは、ウィキペディアによると「外科医、病理医を経て、現在は独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センターAi情報研究推進室室長」だそうです。
白鳥さんも真っ青の長い肩書ですな。
以前バラエティで仲村トオルさんが、台詞が長くて言うのが大変だったとおしゃってましたっけ(笑)
あの頃はドラマ見てなかったからあんまり実感なかったですけど、医療専門用語とかも、門外漢にはきっと覚えるのが大変だったんだろうなあ……

> 漢字を書く力
もともと「読めるけど書けない」ヒトな私は、昔から国語辞典をカバンに入れて持ち歩いておりましたさ。
最近はパソコンやコンパクトな電子辞書のおかげで、本当に助かってますよ、ふふふふふ。
 
No.6077

 この記事へのコメントは以下のフォームからどうぞ
Name
E-Mail
URL
感想
2560文字まで

Pass

 
 この記事のトラックバックURL
https://plant.mints.ne.jp/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/201407276075


No. PASS

<< 2014年07月 >>
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

サーチ :


 最新の記事
 2014年07月27日の読書

 リンク
 神崎へメール
 私立杜守図書館
 蔵書リスト

 

   

 ブログ内記事検索:
 
 AND OR  


Back to Home...

[管理用] [TOP]
shiromuku(fs6)DIARY version 2.41