よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年07月03日の読書
2014年07月03日(Thr) 
本日の初読図書:
4048865412侵略教師星人ユーマ (メディアワークス文庫)
エドワード・スミス
アスキーメディアワークス 2012-02-25

by G-Tools
十年前、唐突に侵略者はやって来た。世界各地の十二個所に降り立ったのは、地球外知的生命体の乗った恒星間航行宇宙船。彼等は「アゾルト」と名乗り、これより地球の核に存在するエネルギー鉱石の採掘を行うと一方的に宣告してきた。これに反発した多くの国は武力で彼等を排除しようとしたが、その結果は惨敗。繰り出した軍はあっという間に全滅させられ、核兵器で辺り一帯を焦土と化しても、アゾルト星人の宇宙船には傷ひとつつけられなかった。
アゾルト星人は地球人に対して何ら接触を持とうとせず、着陸した場所でひたすら採掘を続けていた。多くの犠牲を払ってなんら成果を得られなかった地球側が出した結論は、不干渉。こちらから近づかなければ、相手も何もしてこない。人々は自らの星の一部を支配されたまま、暫定的な安寧と引き換えにそれを黙認し続けるしかできずにいた。
それから十年。日本の太平洋岸にある港町茜陽町は、十二の宇宙船の内ひとつが着陸した町だった。沖合にある通称「侵略島」に突き立った巨大な船の姿は、否応なく見慣れたものとなっている。幸いにも戦火に巻き込まれることは避けられたおかげで、そこは今でも鄙びた田舎の漁師町であった。
そんな茜陽町に住む女子高生 桜井舞依は、宇宙人が大嫌いだった。アゾルト星人は勿論のこと、映画や小説に出てくるそれさえ、反射的に拒絶反応を示してしまう筋金入りである。
ところが進級した彼女のクラスにやって来た新しい担任教師は、自称「宇宙人」だった。
ユーマ・森次という長身に長い銀髪を持ったその男は、自らを「真の侵略者」と名乗り、アゾルト星人を「三流侵略者」「自分達が侵略する星に勝手に穴を掘る馬鹿者」と呼んではばからなかった。
しかも彼と弟のソーマが引っ越してきたのは、よりにもよって桜井家の隣である。ストレスをこじらせた誇大妄想患者の言い分としか思えないその言動に、舞依は苛立ちを隠せなかった。
しかしユーマの授業はやたらとスケールがデカイ割にとても判りやすく、また生徒達に対して一本筋の通った態度で接してくれる。そんなこんなでユーマは、あっという間に人気者になっていって……

前半は青春学園もの、後半はウ●トラマン。
あまりにも突き抜けた荒唐無稽というかバカバカしさに、逆に清々しさを覚えてしまうお話です(笑)
表紙とあらすじの印象から、最初は「光路郎」とか「GTO」みたいに、生徒と同じ目線で馬鹿をやるハチャメチャ教師を想像しておりました。が、意外なことにこのユーマは、非常に生真面目で真摯な教師です。……たとえ第一印象が電波であったとしても(苦笑)

「わからない時はわかりませんと言え。俺はお前たちが理解するまで教える。教師として、生徒に理解させる努力は義務だからな。そのための努力を惜しむつもりはない。(中略)だからお前たちも理解しようとする努力を忘れるな。わからないものをわからないまま放置するのは、思考停止に等しい。それは知的生命体にとって尊厳の放棄に匹敵する愚行だ」

これを大真面目に言って、実行してくれる教師が現実にどれだけ存在するでしょう。
教師も同じ人間であり、そして他の生徒のことを考えるのであれば、必ずどこかで線引きが行われ、脱落してゆく生徒は存在します。しかしユーマはそれを良しとしない! なぜなら彼は人間ではなく宇宙人だからvv

↑の内容を暑苦しく、拳を握りしめて熱弁するなら、ただの時代錯誤なうざい野郎でしょう。
しかしユーマはひたすら淡々と、相手が理解できるように真摯に語りかける。通じなかった時は、後日また別の切り口から説得する。口調は尊大なのに、語る言葉は心から相手のことを思いやってるのが分かるんですね。
なにしろ彼の生徒に向ける愛は宇宙的スケールだからvv

もう一ヶ所心に残ったのは、部活に急ごうと廊下を走り、危うく他の生徒に怪我をさせそうになった陸上部員を諭す場面。ちょっと長くて引用しきれませんので、これはぜひ実際に読んでいただきたく。

……そんな訳でユーマの通り名が、『銀河最強のバカ』ってのは個人的に納得がいきません。
ユーマは馬鹿じゃないよぅ。そりゃ確かに、あまりにも馬鹿馬鹿しいことを大真面目にやったかもしれないけど! でも彼の行動はどこまでもまっすぐで潔くて、心に響きます。
この彼を馬鹿と呼べるヴァルトラ(バルタン+ウルトラ?)星人たちとやらは、いったいどれほどのもんじゃいな??
自分の生まれ持った適性を遥か彼方にぶん投げて、愛する者のために全力投球で自分の選んだ我が道をつき進むユーマは、非常にかっこいいと思います。

ただまあ、ちょこちょこと突っ込みどころ(舞依の父親どうした。十年改造されてた地球は大丈夫なのか)とかミステイク(学年が2クラスだったり3クラスだったり)とか、ネタがコア過ぎ(ハリケーン・ミキサーなんて調べないと解らねえよ……ましてやウルトラマンのキャスティングなんてry)とかが散見されるあたりは気になりましたかね。
ここらへんは作者さんの力量うんぬんよりも、最近のライトノベルで出版社が校正をなおざりにしていると思える点ですな……

なんだかんだで最後は、個人的な贔屓の引き倒しの力技だし(苦笑)

「戦争をしたがる馬鹿者」を嫌悪しこき下ろす割に、いざ戦い始めると完膚なきまでに容赦のないユーマ。
最強の戦闘力を背景に持ったO・HA・NA・SHIって、タチ悪いですよねえ……

ともあれ、地球をこよなく愛するユーマのもたらす「侵略」が、果たしてどのような形になっていくのか。
それは今後の舞依達に委ねられている。そしてユーマはどこまでも教師として、彼女達を導いていくわけで。
読後感は非常に判りやすく爽快で、楽しかったです。

ユーマとソーマの擬態解除状態と「寝間着」「水着」姿、これはイラストで見てみたかったなあ……
No.5984 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2014/07/07/14:33:51 [HOME]
なんか面白い設定ですねぇ。
侵略しに来た宇宙人。
ケロロ軍曹に通じるモノがありますか?
と言っても私はケロロ軍曹ファンじゃあないですが。

カーマリー〜はあっちゅうまに3巻まで来たのですか。
早え〜
ジークはちいとは主役らしくなりましたかね?
1巻の途中からオブザーが主役ちゃうん?って感じでしたもん。

今頃は「楽園〜」のUPに向けて忙しくされているのでしょうか。
いくら忙しくても食事はしっかり摂って下さいね〜
 
No.5988
 
神崎真  2014/07/07/17:28:03
ですよね、ですよね。
なんだかあらすじを読んだだけで、お、これは? ととりあえず手にとって見てしまう設定です。
読んでみると更に、想像したのとは一風変わった話運びで、二度美味しい?

大真面目に宇宙規模で教育を語るユーマが、実に微笑ましく格好良いお話でした。


カーマリーもですねえ、あっという間に第一部が終わっちゃって、やっぱり紙書籍とPCで読むのとではずいぶん感覚が違うなあと思いました。
刊行ペースについては、お話そのものは既にほぼ完成されているので、あとは校正とかイラストだけだからこんなに早いんでしょうね。
ジークが主役らしくなったかどうかは……(苦笑)
彼の立ち位置は、ある意味読者に近いんだと思います。それこそシャーロック・ホームズにおけるワトソンさんのような。常識人で、読者の気持ちを代弁するような立場で物語を俯瞰して、それでいて奥底には意外なものを隠し持っている。うむ、好みだvv

> いくら忙しくても食事はしっかり摂って下さいね〜
えーと……えーと……えーと……
とりあえず、夕飯は食べてます。確か。あと牛乳は飲んでるので、大丈夫だと思います、多分(^ー^;;)
 
No.5990

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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