よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年02月26日の読書
2014年02月26日(Wed) 
本日の初読図書:
4062867656全裸男と柴犬男 警視庁生活安全部遊撃捜査班 (講談社X文庫 こC- 1 ホワイトハート)
香月 日輪 わたなべ あじあ
講談社 2013-04-04

by G-Tools
自宅のマンションに帰宅してドアを開けると、見知らぬ男がくわえタバコに全裸で立っていた。
「お前、誰?」「お前が誰だーーーッ!?」
絶叫した智宏の前で、男は跡形もなく消えてしまう。
新宿署防犯安全課の刑事 石田智宏は、翌日同僚の刑事にブツブツと愚痴っていた。家主に対して誰だはないだろうとか、裸って意味分かんねえ、猥褻物陳列罪だとぼやく彼に、同僚の刑事 犬塚は突っ込みどころはそこじゃないだろうと呆れる。犬塚はいささか霊感を持っており、事件現場などで妙なものを見ることがあるらしいのだが、智宏にはその手の経験などまったくないし、霊のたぐいを信じてもいない。それなのにいきなり目の前で人が消えるという現象に遭って、思うところはないのかと。
しかし『鋼鉄の無神経』と称される智宏は、一瞬だったしとあくまで平然としていた。そしてそんなことなどすぐに忘れてしまったのだが、それも間もなく思い出させられることとなる。
ある事件の証拠品として押収された刀を手にした鑑識職員が、署内で暴れ始めたのだ。目は完全に白目をむき、明らかに正気ではない。取り押さえようと近づいた刑事達はみな強烈な吐き気に襲われ昏倒し、突き出した強化アルミ製の刺又は飴のように捻じ曲がってしまう。
このままでは誰かが斬られる! と思った智宏は、咄嗟に飛び出して刀を白刃取りにしていた。しかし他の誰も近づくことができず、事態は膠着状態になる。
そこへやってきたのが、警視庁に所属する遊撃捜査班のメンバーだった。なんでも超常現象を扱う特別部署ということで、その存在だけは所轄でも噂で語られていたが、あくまで飲み会の席の笑い話に過ぎなかった、そんな部署である。
彼らはあっさりと事態を収容してみせた。が ―― その中にいたメンバーの一人に、智宏は見覚えがあったのだ。そう、つい先日自宅に現れた、全裸のオバケ男である。
「なんで!?」と問うた智宏に、男 ―― 神瀬京介は「さぁー?」と曖昧に首を傾げる。
そして数日後、智宏の元へと異動の辞令が下りた。なんでも副総監じきじきの肝煎りで、警視庁の生活安全部へ配属されるとのことである。なぜ自分などが……と首を傾げつつ出勤した彼を迎えたのは、見覚えのある面子。智宏の配属先は警視庁生活安全部『遊撃捜査班』だったのだ。
個性的過ぎるメンバーに囲まれて、超常現象などまったく信じていない智宏は、困惑しつつも仕事を始めるのだが……

香月さんの作品ということで存在を知り、さすがにこれは図書館に入りそうにないので購入しました(笑)
一言で言い表せば、ドラマ『相棒』のオカルトバージョン?<普段は暇な、警視庁の持て余し部署
あらすじや表紙を読んで思い描いていたお話とは、若干イメージが異なりました。
テンプレとしては、とんでもない部署に放り込まれた純真な新人(表紙右)が、海千山千の曲者達に振り回されつつ右往左往という感じなんでしょうが、意外と主役の腹が座っています。なにしろ『鋼鉄の無神経』vv
智宏は霊感が全くないが故に、霊からの悪影響も受けないため、普通人がアテられて吐くわ倒れるわの悪霊憑きを相手に、ケロッとした顔で立ち回りやら取り調べを行っております。
本庁に移動が決まった時も、「栄転だ!」と早とちりして舞い上がるでなく、「そういうの(出世)にはあんまりこだわりないですが、頑張ります」と地に足ついた落ち着いた反応してるし、まさにタイトル通り「柴犬」のイメージです。一見ちっちゃくて愛らしいけれど、その実態は勇猛かつ信念に忠実な猟犬、みたいな感じ?

そしてもっと意外なキャラクターだったのが全裸男の京介さん(表紙左)。
見るからにガサツで横柄で曲者チックな見た目ですが、これが実に繊細で甘えん坊で末っ子気質。
妖アパの千晶も大概でしたけど、彼はまだ生徒たちに対してはきちんと『大人』でしたよね。まあ終わり頃とか、夕士相手だと完全に気ィ抜いてましたが(苦笑)
しかし京介さんは一巻目からかっ飛ばしてくれます。むしろ主役は京介さん。京介さん総受けという勢いです<あながち比喩表現でもない

……ううむ、ちょっと話運びが急展開すぎるというか、正直言うと作者さんのお遊びが入り過ぎかなあと思わなくもなかったかな。1巻目では智宏くんが遊撃捜査班に馴染むまでにしておいて、各キャラの掘り下げは二巻目以降からに回しても良かったんじゃないですかねえ。いきなりどんどん濃いキャラクターが登場しまくって、他の香月作品を読んでいない人は置いてけぼりになるんじゃないかと心配してしまったり。
ちなみに、長谷のおやっさん(妖アパ)と雅弥の父親(魔法の塔)が、がっつりしっかり挿絵入りで出てきます。
そっかあ、長谷のおやっさんもマチャミのお父さんも、こっちの世界に知り合いいたんだなあと、びっくりするというか納得するというか……うん、子供たち世代が叶う訳ねえやとしみじみ思ったり。
ただこの話だけ読むと、長谷パパは粋というより札びら撒いてる成金にしか見えない気がするし、マチャミ父もまだ変人の域を出ない気がするので、やはりもうちょっと順を追ってゆっくり登場させてほしかったというのが正直なところです。城島さんの恋人ネタとかもね……いささか詰め込み過ぎかと。
事件の内容も、児童書という縛りが消えたせいか、いつも以上に凄惨で救いのない展開が多く、タイトルや表紙のイメージを裏切っています。ライトなBLコメディを期待して手に取ると、いささかショックを受けるかもしれません。
……つまるところ、この話から香月作品に入るのはあんまりオススメできませんかね。少なくとも「妖怪アパートの幽雅な日常」と「僕とおじいちゃんと魔法の塔」あたりは読んでからがいいんじゃないかと。

ともあれ。
超常的なすごい力を持っていても、それで物事すべてが解決するわけではない。大切なのも基本的なのも、すべては人と人との繋がりだという、香月作品の基本スタンスは変わっていません。そこの部分は安心して読めるところです。
No.5634 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2014/02/27/13:38:50 [HOME]
香月 日輪さんって、男性か女性かも知らない私に、いきなりはっちゃけたようなタイトルの本ですね。(全裸男と・・・)
ふむふむ成る程、まこっちゃんのストーリー紹介が上手いのでこの作品も
「面白そうデス〜♪」
そして「この話から香月作品に入るのはあんまりオススメできません」
と、細かなワンポイントアドバイスまで有難うございます。

ちょっと以前からご紹介下さる図書の内で、
「これ私好みかもー」って思うものについては「まこっちゃん(ここ本名ね)小説一覧」なるものを作り、題名などをコピペしているのですよん。

それが最近は怒涛の神崎ラッシュでついて行くのが大変でする(笑)

昨日「不死王の息子」の本編を読了しました。
面白かったですー、紹介下さり有難うごじゃいました。
思った以上に箸が進んだので(笑)、思い切って二郎三郎さんは読むのを止めます。
やっぱりにゃー・・・不死王からの二郎三郎さんはなんかギャップが激しくてねぇ。
鎧兜に忍者も出てくるバリバリの時代小説じゃもん。

二郎三郎さんはそれ自体凄くよく書けている作品だと思うので、こんな状態で再突入するのは勿体ないし、失礼かと存じましてね。
なので、シャーロックの「死の谷」に入ります。

シャーロックさんなら洋服着てるし汽車も走ってるイギリスなんでこんな私を受け止めてくれるでしょう。

そして二郎三郎さんは時を改めて一巻から読み直す事にしました。

ああもう慌ただしいったらありゃしないー。
とか言いながら楽しいザンス。


 
No.5635
 
神崎真  2014/02/28/00:08:04
香月日輪さん……たぶん女性だろうなあと思いつつ確信は持っていない私ですが、そのようなことは枝葉末節。お話がおもしろければ、作者ご本人のことはどうでもいいのが私です(断言)
香月さんはもともと児童文学を書かれる方でして、今の子供達はこんな面白いお話を読めるんだ〜〜と羨ましく思わせられるお人なんですよ。
ちなみに個人的オススメは男子高校生が主役の現代FT「妖怪アパートの幽雅な日常」、傭兵の青年と呪術師の少女(ババア口調)の歳の差カップルがニヨニヨできる異世界FT「ファンム・アレース」、小学生(1巻時点)の男の子が幽霊になった破天荒な祖父(見た目は青年)と不思議な塔で暮らす現代FT「僕とおじいちゃんと魔法の塔」あたりでしょうか。他にもいっぱい作品ありますし、どの話も微妙にリンクしているので、読み通して繋がりを見つけるとこれまた楽しいのです♪
どれも若人達の精神的な成長が、突き刺さるほど目に眩しいお話ばかり。
あ、そういう意味ではこの「全裸男〜」は登場人物が大人ばかりで、この人にしては珍しいですね。

> 「まこっちゃん小説一覧」
ままさん、そんなものまで(笑)
いやうん、私もブラウザのお気に入りに専用フォルダを作って、気になった本の通販サイトページやオンライン小説の目次を放り込んでありますし、図書館貸出候補ってファイルに今後借り出したい本をリストアップしてたりしてますがvv
読みたいものはいっぱいいっぱいあるのに、なかなか追いつけないんですよねえ(しみじみ)
時間的なものもですけれど、ままさんがおっしゃる通り『気分』も大事だと思います
面白そうな作品だからこそ、気持ちがそちらの方向を向いている時に集中して読みたい。不死王のあとに二郎三郎さんはギャップが激しすぎます(うんうん)
……そういえば、もうすぐ「猫侍」の映画版が公開されますよね。コメディから時代劇へ意識を転換するのには、ちょうどいいかも?
 
No.5636
 
雪華  2014/03/03/20:29:29
こんばんわ、雪華です。

>柴犬刑事さん
発売日購入速攻読破済みです。オネエ言葉の警視さんとツンデレ弟さんが密かにお気に入り(笑)。
この話なら龍さんも出てきてくれるかなぁ、とこっそり登場期待中です。塔は爺さんと魔女さんで全部持っていきますからねぇ。さすがにチョイ出も無理そうかと(苦笑)。

>お勧め小説
「フェアリーテイル・クロニクル(小説家になろう)」が感想掲示板含めてお勧めです。こう、端々に散りばめられたネタがオッサンホイホイだと絶賛されております(笑)。ライトノベルだけど読者の年齢層がえっらい高い小説です(笑)。

先月、高見梁川氏を作者買いしてみました。この方の「魔女の受難」が大好きだったので悩んだ末に購入しました。
期待ハズレじゃない事を祈っております。
 
No.5648
 
神崎真  2014/03/03/23:10:33
こんばんわ〜、雪華さん♪
大人の事情で値下がりを待っていたら、出遅れてしまいました。
今回もまたナイスなキャラクターがてんこ盛りなお話ですよね。オネエな警視さんと社長の会話が楽しかったです(笑) 長谷パパとのスリーショットは格好良すぎだvv
そしてツンデレな弟は、末っ子気質な義兄に膝貸してる場面がもう>▽<
あの無造作な甘えさせぶりがたまりません。

龍さんってほら、カルト教団の相手とかけっこう国家権力と一緒に行動することもあるみたいなので、登場を期待しても良さげですよね。日常生活が駄目駄目なところとか、京介さんと相通づるものがあるかもvv

> フェアリーテイル・クロニクル
もちろん、ずーーーーっと前からお気に入り小説登録はしてるんですよぅ! でも長いのと連載中なのとで、なかなか手が出せずにいます。そっか、おっさんホイホイなネタが散りばめられてるんですか……ううう、あれもこれも積みっぱなしなのに〜〜〜><

高見梁川さん……ルーマニア戦記の改訂前を読んだことがあったかな?
最近はオンライン小説がどんどん商業化されていっていて、なかなかチェックしきれませんです。
「異世界転生騒動記」はとりあえずイラストはきれいそうですね。WEBから書籍化は、挿絵の好みで手に取るかどうかが大きく左右されるんですよねえ。
 
No.5649

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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