2014年02月09日の読書
2014年02月09日(Sun)
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本日の初読図書: 霊験お初のマンガ版、2巻目からは「震える岩」の開始です。 この巻では、お初が庭石の前で浪人の姿を幻視して、さらに死霊が取り憑いた二人目の人間 助五郎が、下っ引きの文吉さんを釜に放り込んで逃げ出したあたりまで収録されています。 割と原作に忠実だった1巻に比べると、相当に改変がありました。 なにしろ直兄さんがちゃんと存在しているので、原作で右京之介さんが担当していた見せ場のいくつかが、しっかり持って行かれてしまっているのですよ(苦笑)<吉次からお初を助けるシーンとか キャラデザイン的には「あんまり美形に描こうとしすぎててちょっと引く」レベルだった1話目からすると、だいぶすっきりした二枚目程度にはなっているんですが。でも(たぶん身分を隠すためなんだろうけど)髷をほどいて髪を下ろしてる=典型的な長髪美形キャラになっている場面とかあるし、完全に女子受け狙いの美形枠vv っていうか御前さまとの会話から察するに、これ完全にお初との恋愛フラグが立ってますよね。まだこのマンガでは出てきていませんが、原作通りにお初が拾い子だったとしたら、血の繋がりがない=直兄の秘めたる恋心が! って感じです。むしろそうじゃないと、ここまでのシスコンぶりはさすがにちょっと…… そしてストーリーにも大幅な違いがありました。 原作では、連続子供殺しと死人憑きという二つのラインに赤穂浪士が絡んできて、それだけで充分に話が複雑かつややこしかったのに、このマンガ版ではさらにもうひとつの復讐劇が平行して存在しています。まだ全三冊のうちの1冊目で細かいところまでは判らないのですが、最初に子供の死体を投げ込まれた油屋さんが、十五年前に商売敵を追い落として破滅させており、その生き残りの子供が成長した美貌の女芸人『手妻使いの京』というキャラが、なにやら意味ありげで怪しげな行動をとっているのです。 陥れられた親の敵を討つ芸人といえば、私は真っ先に『雪之丞変化』を思い出します。あの話はあの話で大好きなのですけれど、このお話の京さんは父親の呪縛に苦しんでいるようで、なかなか胸が痛みます。 しかし……原作では何故あの油屋に子供の死体が投げ込まれたのかという理由付けがいささか弱いので、こう言ったオリジナル展開が入ったのかもしれませんが……これ以上話を広げられると、私ついていけるかしら(汗) 逆に今後ざっくり削られそうなのは、百年前に生き残った『りえ』さんの、曾孫のお内儀さんまわり。だってお初が『震える岩』を見物に行った段階で、気がつくともう膝の上に鎖帷子の断片があったのですもん。これは曾孫のお内儀さんが代々伝えて持っていたはずのものなのに……ああでもそこを削るとなると、お内儀さん夫婦を守るはずの最後の大立ち回りはどうなるんだろう??
ちょっとほっとしたのは、二人目の子供 長坊が殺されるのを阻止できたことでしょうか。ストーリー展開的にはともかくとして、やっぱり罪のない幼子が被害者というのは、読んでいて辛いので。
あ、直兄のことばかり書いてますが、右京之介さんもそれなりに活躍してますよ? 絵になったことで、立ち枯れ胡瓜の眼鏡侍というキャラが文章で読むよりも具体的になっていて面白いですし。暴れる吉次を殴る場面は直兄に持ってかれましたが、代わりに味噌汁をぶっかけてとどめを刺す役目が割り振られました。 そして特に大きいのは、父親の呪縛に囚われているという共通の点で、京さんとの絡みがあります。確かに京さんの凝り固まった心へ言葉を届けられるのは、美形繋がりの直兄よりも、同じような苦しみを知る右京之介さんの方が相応しいと思います。
さて、今後の展開はどうなることやら。ここまでストーリーが異なると、まったく先が読めなくって、不安やら楽しみやら。さて図書館で借りてきてる本と、どっちを先に手に取ろうかしら……
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No.5570
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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