2014年01月18日の読書
2014年01月18日(Sat)
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本日の初読図書: 今年東勢大学に入学したばかりの新入生 湯ノ山礼音(ゆのやまあやね)は、昔から困った体質に悩まされていた。なんの前触れもなく強い耳鳴りに襲われ、ひどい時には立っていることもできなくなるのだ。病院でも原因不明だと診断され、心因性のものでもないと匙を投げられた。ただなぜか合気道をやっている間だけは耳鳴りが起きないため、彼女はいつしか男勝りのサバサバした女性になっていた。 これではいかん、大学にも入って一人暮らしを始めたことだし、夢のキャンパスライフを! と意気込む礼音だったが、酒を飲めば確実に耳鳴りが起きてしまうこともあり、なかなかうまくいかない。 と、そんな礼音にとある准教授が耳寄りなことを教えてくれた。 この大学にはオカルトや妖怪にとても詳しく、科学では説明できないような事柄について、相談に乗ってくれる生徒がいるのだという。もしも興味があるのなら訪ねてみればいいと言われた彼女は、翌日さっそくその相手のもとへと訪れた。 文学部四号館四号階四十四資料室。フロアまるごと膨大な古書に埋められたそこにいたのは、顔立ちこそ端正なものの、白いワイシャツに黒いネクタイ、黒いスラックスの上から黒い羽織を着用するという珍妙な恰好をした、ボサボサ頭のとっつきにくい青年だった。名は絶対城阿頼耶(ぜったいじょうあらや)。持ち込まれる怪奇現象を解決しては、金銭を稼いでいる。その性格はとにかく変人の一言につきた。滅多に表情を動かすこともなく、妖怪のことを説明する時以外は人を人とも思わぬほどにそっけない。 だが絶対城はお守りひとつで見事に礼音の耳鳴りを止めてくれた。その効能だけは確かにあらたかで、礼音は素直に感謝の念を抱く。そんな彼女へと、絶対城は代価を要求してきた。いわくこれまで手伝ってくれていた友人 杵松明人(きねまつあきと)が最近忙しいから、持ち込まれる怪奇現象を解決するのに力を貸せと言うのだ。 ところがその「解決方法」というのが、とんだペテンに満ち溢れたもので。 呆れながらも「お守り」には代えられず、礼音もまた詐欺まがいの片棒を担ぐことになるのだが……しかし様々な事件を共にするうちに、礼音はじょじょに絶対城の人となりと、何故そんな相談を引き受けているのかを知ってゆくこととなり……
タイトルと表紙イラストに惹かれて購入。 系統としては、京極堂と心霊探偵八雲を足して二で割ってライトノベルを掛けたような感じでしょうか(笑) 大学で資料室のヌシと化している謎の先輩(変人)が、持ち込まれる怪しい事件を解決していくパターンです。ただしそのほとんどが、トリックを使って依頼人を煙に巻いているだけの、いわばインチキ。 もっとも語るウンチクや妖怪への対処方法、渡す御札などは、ちゃんと古式ゆかしい作法にのっとっています。彼が最も忌むのは、いい加減な作り話によって、古来から伝わる由緒正しき妖怪の伝説をねじ曲げてしまうこと。故に自分にも他人にも、適当は許しません。 黒い羽織は和の喪装、黒いネクタイは洋の喪装。その両方を身につけることで、絶対城先輩は歴史の闇に「妖怪」として葬られてしまった、あらゆる「弱者」への慶弔の念を表しているのです。 さらに「真実」を「明らか」にすることで、失うものを持つ人達を、妖怪という不思議を取り入れることで救ってしまう、そのさりげない優しさがまたvv 本人はあくまで「妖怪学を世間に知らしめつつ、報酬をせしめるため」と言い張ってますけどvv
ああそれにしても、最初は妖怪など存在しなくって、すべてを合理的に解決しつつ『謎について大衆を満足させるための社会的装置』として妖怪を利用するミステリーだと思っていたら、どうしてどうして。最終章「ぬらりひょん」でひっくり返されました。いやうん、確かに礼音ちゃんの耳鳴りとそれを封じるためのお守りの謎が解けてないなあ、とは思っていたんですが。耳鳴りについてはなんとなく予測がついていたものの、ぬらりひょんの正体でまさかああくるとは! 第一章で登場していた「根暗出垂」がよもやそう読むものだとは!! フィクションであることは重々承知ですけれど、斬新なその発想に脱帽しました。おもしろかったです! ……あとラストに触れられたお守りの正体がまた(笑)
絶対城先輩が実はツンデレなことも判明しましたし、これは続刊も買いですな♪ 今回は活躍が少なかった、天狐(アマツキツネ)こと杵松明人(きねまつあきと)先輩についても、今後もっと語られることを期待したいです。
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No.5494
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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