2013年07月19日の読書
2013年07月19日(Fri)
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本日の初読図書: 「百貫姫にまつわる三つの物語(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n2305bn/
とある大陸に、とある国がありました。飛びぬけて大きいわけでも、豊かなわけでもない、しかし都だけは群を抜いて美しい、そんな国でありました。 その国を治める王さまとお后さまは、それなりに良く国を治めていましたが、たったひとつ、たいへん見栄っ張りだという欠点がありました。 そんな二人の間に一人の姫が産まれました。そのお姫さまがまだお后さまのお腹の中にいた頃に、高名な旅の賢女から「お腹の御子には望むだけの食べ物を与えなさい」とお告げを受けたので、お姫さまは毎日たくさんのものを食べ続けた結果、年を重ねるに従いどんどん太っていきました。 十六歳の娘盛りになった頃には、顎にたぷたぷと肉が下がり、目はふくよかすぎる頬に埋もれてしまっていました。手足もまるで丸太のよう。王さまもお后さまも、そして彼らと同じように見栄っ張りな国民達も、ぶくぶくと肥え太ったお姫さまをうとましく思うようになっていきました。 しかもこのお姫さまは社交的でも明るくもなく、幼い頃から部屋にこもっては、たくさんの食べ物を抱えて本を読むばかり。たまに出かけると畑に出向いたり、近隣のお百姓さんに自分の望むような作物を作らせたりと、やりたい放題でした。 そんなお姫さまを国中の者たちはみな、百貫姫と呼んで蔑んでいました。 ある日のこと、彼らの美しい城に、一人の王子様がやってきました。遠い遠い小さな貧しい国の、ガリガリでやせっぽちの王子様です。彼は、お姫さまへと求婚しました。 太ってみっともない百貫姫を追い出すにはちょうどいいと、王さま達は喜びました。 「姫よ、残念ながら我々はもうお前のために食べ物を用意することはできない」 それを聞いたお姫さまは、両手いっぱいに野菜を抱えたまま、不満を言うでもなく小さな声で「わかりました」と答えました。そうして持参金代わりにたくさんの食べ物や作物を持って、国を出ていったのです。 それは、かつての美しい国が、なにもかもを失ってしまう前触れの物語。 日々の食料にも事欠く貧しい小国が、実り豊かな土地を取り戻すまでの物語。 そしてのちに豊饒の姫と呼ばれるようになった、愛すべき百貫姫の物語 ――
童話風の三本立て。 基本的に同じひとつの事柄を、姫様の故国視点、姫様視点、嫁ぎ先の王子様視点で語っています。 理解者を得られない姫様の、年単位での努力には頭が下がりますね…… 童話のお約束通り、最後は幸せめでたしめでたしです(^ー^)
「神様と事務員(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n2583y/
大学事務課の女性職員 環(たまき)は、十月のある日、新しい仕事を言いわたされた。 大学を守護してくれているという、烏帽子神社の世話係だ。 世界には動物と人類以外に神族がいる。人類にはない不思議な力を持っていて、五穀豊穣や商売繁盛等、祀られた神社で仕事をしているらしい。しかし彼らは完全世襲制で、人前には滅多に出てこないこともあり、その実体は謎に包まれていた。 そんな、確かに存在はするけれど、簡単に出会えるはずもないのが神様なのだが……烏帽子神社の神様は、宙に浮いていることと外見に似合わない言葉使いさえなければ、中学生にしか見えない普通の少年だった。 いきなり世話係を任命されて困惑した環だったが、仕事と言うからにはやらねばならない。幸い烏帽子様は、とても気さくで良い人のようだ。 そんな記念すべき神様初遭遇を果たしたその夜、環はTVでカレー特集を見てしまった。 どうしてもカレーが食べたい。ごろっとしたジャガイモの入った、ほっくほっくのカレーライス。ああでもカレーうどんも捨てがたい。しかしジャガイモが……と悩んだ末に行き着いたのが、カレー鍋。あれならジャガイモもうどんも両方楽しめる! さっそく友人知人に鍋を囲もうと誘いを掛けたのだが、あいにくみな用事があるとのことで、誰一人捕まえることができなかった。 鍋とはけして、一人で食べるものではない。しかし誰も捕まらない。でもカレーが食べたい!! そんなことをグルグルと考えていた彼女に、たまたま通りすがった烏帽子様が声をかけてきた。心の中がカレーでいっぱいだった環は、思わずこう問いかけてしまう。 「烏帽子様、カレー鍋を知ってますか?」 それが色気より食い気の女と、食べることが大好きな神様とが打ち解けるきっかけとなり……
はい、ほのぼの異種族恋愛もの、完結済です。 日本と良く似た国の、とある県に良く似た土地での、なんちゃってファンタジー。 実年齢も見た目の年の差もいささか問題ありありですが、片方については途中で解消されます。 っていうか、後半の烏帽子様視点を読むと、神様のヘタレっぷりが……っ(笑) お互いが鈍感すぎて、恋心に気付くのが遅すぎるのがまた、読んでいてにやついてしまうと言うかなんというかvv あと門前にいる狛犬と獅子のコンビも、モフモフ要員として非常に悶えさせてくれます。ああもう、可愛いすぎるぞコンチクショウ! 途中に挟まっている小話も、なかなか楽しいです。 ……ちなみにうちの長兄の持ちネタだったりして……<いとしいしと
「風呂場女神(小説家になろう)」〜十五話 http://ncode.syosetu.com/n7285bi/
入浴をこよなく愛するOL玉野泉。 今夜も自宅の風呂場に読みかけの本と果物を持ち込んで、じっくりと癒されていた。 しかしそんな至福の時間も終わりを告げる。 ガラリという音と共に、突然窓が開けられたのだ。 そこにいたのは、濃紺の布で顔をぐるぐる巻きにした、鋭い目つきの男だった。 入浴中の泉は当然、全裸である。 「水を一杯くれないか」 あまりのことに悲鳴すらあげそこねた彼女に、男はそう乞うた。 その背後には、いつも見える窓の外の景色ではなく、疎らな草の生える強い日差しに照らされた、荒涼とした土地が広がっていた。 なんでも男は砂漠の中で遭難し、かろうじてここまでは戻ってきたものの、もう丸一日水を飲んでいないのだという。 歯磨きセットのコップに水を汲んで渡すと、男は美味そうに飲み干した。ついでに空になっていた革袋もいっぱいにしてやると、礼だと言って青い石のついた耳飾りをくれた。 そうして閉ざされた窓の向こうを改めて確認してみると、そこはいつもと同じブロック塀と、隣家の垣根があるだけだった。 なんなの。これ………。 呆然とする泉だったが、それは始まりに過ぎなかった。 数日おきにではあるが、風呂場の窓が不思議な世界へと繋がるようになってしまったのである。 これではせっかくのバスタイムが台無しだ。 しかし窓の向こうに現れる人々は、いつも何かに困っていて。そうして泉の手元にあるなにかしらによって救われては、礼の品を残していくのである。 そうこうするうちに、彼女はその世界の運命そのものに深く関わるようになっていって……
異世界版わらしべ長者といったところでしょうか。 窓を挟んで風呂場と砂漠や天幕や火事場などが繋がるので、かなりの確率で全裸な泉さんはかなり気の毒です(苦笑) 前回に出会った人間と、微妙に関わりのある人が次回に現れたりが繰り返され、聞きかじった情報などを教えていくうちに、大陸の国家交流そのものに影響を与えております。しかし本人はよく判ってません。 異世界側から見ると、いきなり現れた宙に浮かぶ光る枠の中に、ハダカの女性がいるわけで……人によって女神と呼んだり妖術師と呼んだり、はたまた天使だの魔女だの幽鬼だのと、受け取りかたは様々です。 個人的にはやっぱり一番最初に御登場し、再登場まで果たした神聖国ヨーク・ザイの若き国王フーロンがイチオシですなvv ああでもどうせなら、泉のおかげで幽閉された塔から出られた(であろう)イ・ジブロ国のヒノキ王子と、フーロンとが争奪戦なんてのも萌える(笑) そこはヒノキ王子がクッソ生意気な子供なのがポイントです。ツンデレ少年VSワイルド系の大人の色男……やばい、想像するだけで顔がにやけるわvv 最新話ではかなり問題ありな『モノ』が手元に来たので、次がいったいどういう展開になるのか、早く続きを読みたいところです。
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No.4961
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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