よしなしことを、日々徒然に……
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 2013年07月18日の読書
2013年07月18日(Thr) 
本日の初読図書:
「目指す地位は縁の下。(小説家になろう)」〜108 側室(仮)の惑い。(2)
 http://ncode.syosetu.com/n6841y/

遊園地で逆バンジーに挑戦。ぎゅっと閉じていた目を開いたら、見知らぬ路地裏に立っていました。いわゆる女子高生異世界トリッパーというやつですね。そうですね。
そんなことを思いつつ、混乱して立ちつくしていた少女 ―― 相馬沙羅は、さらに気がつくとさらわれていて、見知らぬ貴族の館へと連れ込まれていた。どんな目に遭わされるのかとびくびくする彼女を、しかし現れた壮年の夫婦は抱きしめる。
どうやら行方不明になっていた娘と、勘違いされているようでした。
詳しく事情を聞くと、彼らの娘トウマ・サラサは、数日後に嫁入りを控えているというのに、いきなり行方が判らなくなってしまったのだという。相手は彼らの家より格上で、とうてい破談にできるような話ではないそうで。どうか娘の身代わりになって輿入れしてくれないかと懇願された沙羅は、このまま放り出されて行き倒れや娼館行きも御免こうむるので、引き受けることにした。
ところで貴族の奥さんって、なにをすれば良いんですか? え? 貴族じゃない??
嫁ぎ先は、なんと王様でした。
沙羅改めサラサは、鴻国皇帝アカツキの後宮に側室として上がることになったのです。
幸いにも皇帝は優しくて、初夜に怯えるサラサに無理強いすることもなく。その後も、部屋にやってきては穏やかに話し、添い寝をするだけの日々が続いた。
そんな優しくハンサムな皇帝が大好きになったサラサは、どうすれば彼の助けになれるのかを懸命に考えた。あいにく自分には、美貌もなければ教養もない。ならば他の側室達が、陛下を癒してあげられるようにできないだろうか。そのためには、いがみ合う側室達の間を取り持って、後宮の空気をくつろげるものにしたら良いんじゃないか!
そう、目指すは縁の下の力持ち。できることを見つけたサラサは、さっそく後宮内で虐げられている、立場の弱い側室へと接触を図るのだが ――

異世界トリップ、後宮恋愛モノ。
ちなみに加筆修正の上、商業出版もされている作品です。
んー……あらすじを読んで、もっとお気楽な天然少女が、海千山千な側室達に気に入られつつ、皇帝そっちのけで後宮の中に新たな風を吹き込むといった展開を予測していたら、ちょっと……かなり違ったかな。
以下はいささか辛口につき畳みます。

確かに最初の方は「目指せ縁の下!」で間違いないんですが……わりとあっさり皇帝と両思いになっています。周囲の側近とかも主役の資質をすぐに認め、本人が知らない部分で正室に迎えたがってるあたり、いくらなんでもお手軽すぎないか?

そもそも側室達の平均年齢が思ったより若いのが、まずイメージが違ったんですよね。今のところ登場した側室達は、推定一人を除いてみんな十代。しかも一人は臆病な小動物系だし、一人は見た目は大人びてるけど中身はお子様で、どちらも皇帝の寵を望むどころか、むしろ怖いから逢いたくないとか口にするタイプ。もう一人は大人の女性だけれど本の虫で、やっぱり皇帝にはまったく興味がない模様。
この三人とまずお友達になる訳ですが……そもそも側室って呼んで良いのか、この人達??
唯一側室らしく寵愛を望んで野望と権力欲をむき出しにしてきた一人も、結局は箱入り娘の思慮の浅さから自滅 → 後宮追放。まったく皇帝の癒しには繋がっていません。
……っていうかそもそも皇帝さんは後宮に囲ってる側室達に、形の上だけでも手をつけたことがあるのかどうか。それすら怪しいんですよねえ。主人公が後宮入りした時の展開からして、みんな一度は閨を共にしているとも思われるんですが、それにしてはお友達になった三人とのやりとりがあまりにあっさりしすぎてるというか……全年齢対象のためなのかそのあたりをはっきり描かれていないので、どうにも後宮という場のリアリティに欠けるんですよね。
罪を犯した人間の裁き方や、戦争の悲哀、人の上に立つことによって生じる責任などは、けっこうえぐいぐらいにしっかり書き込まれているのですけれど。それだけにアンバランス感が際立つというか。

あと主役がいささか現実逃避気味というか。異世界へ落ちたことによるショックとか、元の世界へ戻れるのかという不安、見知らぬ男の側室=ぶっちゃけ愛人にならざるを得なかった葛藤とかを、どこか棚上げにしているっぽく。
いきなり戦争が終わったばかりの異世界に身ひとつで放り出された、日本で普通に育った女子高生としては、イケメン皇帝に一目惚れとかしてる場合じゃないだろう??

最新話あたりでようやく身代わり=皇帝を騙しているという苦悩とか、日本への手掛かりなどに触れられてきているのですが、さてこの先どう転がるのやら……

……それにですね、そもそもの話の発端。
似てるだけの初対面の少女にいきなり身代わりを頼み込み、素知らぬ顔で後宮に差し出した見返りに自分は出世。行方が知れなくなった本物の娘の方は、心配してるんだかどうかも怪しいそんな貴族夫婦を、私はどうにも「良い人」だとは思えないんですよ……いくら主役が他に行き場がないから身代わりに合意したとはいえ、もうちょっとこまめに連絡取ったりとか謝罪したりのケアをしようよ。主役もちったぁ怒れよ。両親(仮)なんつって慕ってる場合か??
……もしも本物の娘が見つかったら、あの夫婦どうする気なんでしょうね? 今さら入れ代わりとか絶対不可能だぜ!?

……とまあ、そんなこんなで。
あくまで個人的な感想ではありますが、それなりにおもしろいので続きは読むと思いつつも、紙書籍を買うほどではないかな、という感じだったのでした。
No.4958 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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