2012年07月30日の読書
2012年07月30日(Mon)
|
|
|
本日の初読図書: 十一名もの女性を監禁拷問し殺害した殺人鬼 日下公仁(きみひと)。投資の天才だった彼は、数百億という金を動かす資産家の顔に隠れて、おぞましい快楽殺人を繰り返していた。当局の手を逃れ国際指名手配された日下は長らく行方をくらましていたが、このほどシベリア東部に潜伏しているという情報が入った。 薬師寺涼子を煙たがっている……もとい、できるだけ国内で問題を起こして欲しくないと考えている刑事部長は、これ幸いと涼子をシベリアへ送り込むことにした。たとえ成果など挙げてこなくともかまわない。一週間でも二週間でも不在でいてくれさえれば、それでいいとの思惑が透けて見えていたが、涼子は意気揚々とシベリア奥地へ飛んだ。お供はいつものごとく、泉田警部補と安部巡査、呂芳春こと貝塚巡査の三名である。 そこは町長が警察署長を兼務しているような田舎町で、領事館から案内としてつけられたのは、現地雇いの中年ロシア人ペトさんただひとり。首都近郊でテロが起こったためそちらに手が取られ、応援が来るのは早くて二週間後だという。だがそれは涼子にとって、好き勝手に行動できる時間が与えられたと言うことに等しかった。 ツンドラの森の奥深くには、旧ソ連時代の忘れ去られた秘密都市の廃墟が、いくつも存在しているという。そのひとつに日下が潜んでいると考えた一行は、機銃砲座を備えた走行兵員輸送車を調達し、深い森へと分け入っていった。 しかしその森には、人間を胴体から食いちぎるような、正体不明の恐るべき猛獣が徘徊していて……
5年ぶりでしょうか。薬師寺涼子シリーズ。いそいそと購入いたしました。 表紙で盛大なネタばれをしている是非はともかくとして、相変わらず垣野内さんの美麗イラストが素敵です。口絵の泉田警部補に悶えたファンは、けして私だけではあるまいvv 前作が正直微妙だったので心配していましたが、今回はちゃんとお涼がお涼。泉田警部補も、ちょっとやりすぎなんじゃないかってぐらい活躍しまくっていました。 そうだよ、このシリーズの醍醐味は、いかにも大物そうに登場する悪役を、コテンパンにけなし、くさし、高笑いするお涼の背後にひっそり控える有能な忠臣泉田(&マリーとリュシー)なんだよ! ちょっと怪奇成分が少なかったり、悪役がいかにも背景ありげに風呂敷広げまくった割りに最期が本当に「え?」みたいなだったとか、原発関連の批判が鼻についたのとかが微妙にアレでしたけど、それ以外はおおむね面白かったです。ジャッキーが出なかった代わりと言ってはなんですが、魅力的なサブキャラが男女共に活躍しましたし。
それにしても、周囲から生暖かい眼で見られている、お涼と泉田警部補の無自覚ないちゃつきっぷりが……おまえらもうけっこ(以下略) 泉田警部補は本当に、ほんっとーーーに判っていないのか? 無意識にストッパーかけているのか??
難癖っぽいものをつけるなら、ちょっと文章の練りが甘いかもでした。 立ち回り時などで人間の位置関係が判りにくかったり、英仏露しか話せないはずの人間が、いきなり日本語の会話に割り込んできたりと、ところどころ「あれ?」みたいな部分が。 銃つきつけられて監視されていた人間が、いきなり全員静止もされずに駆け寄ってきたり、人質を羽交い絞めにしていた人が次のシーンでは手ぶらになっていて、気絶でもさせたのかと思っていたら、人質は部屋の隅でポツンとしていたりとかとか。あと夜光曲の時も気になりましたが、泉田さんがいきなりキレて記憶をなくすほど我を失うのはどうかと……
でもまあ、細かいところは気にしない。 いつもの薬師寺涼子節を楽しみましたvv
ああ、いっそお涼がサーベルタイガー一頭ぐらいつれて帰っちゃえば良かったのに。物語の展開的に無理だったのが非常に残念です。表紙イラストのアングル、ゴージャスでほんとに格好良かったのになあ……
あれ、ところで結局、日下の存在を日本にリークしたのは誰だったんだっけ?? シベリアを開発したかったロシア政府? そして日下はどうやってあんな武器を体内に仕込めるような技を身につけてたんだろう……
|
No.3956
(読書)
|
|
|
|
この記事へのコメント
|
paoまま
2012/07/31/17:49:41 [HOME]
|
サーベルタイガー?牙が長くなりすぎて絶滅したとか言う種族? タイガーってくらいだから猫科? 猫科の生き物はすべからく美しいので“ヨシ”です。
>ちょっと文章の練りが甘いかもでした おおっとぅーまこっちゃんの鋭い突っ込みが入ってるゼー 田中センセもまだまだ精進が足らんってトコでしょうか。
って彼の本を一冊も読んでない(多分)のにエラそげに言っちゃイカンわね。
|
No.3957
|
iwamoto
2012/07/31/20:55:51
|
わたしは、本は殆ど読まないのですが(笑) たぶん女子中学生のために書かれたであろう小説を読みました。 何年か前のことです。 「十二国記」というのですが、ご存知ですか。 実は、偶然にテレビのアニメで見て、原作を読んでみたのです。 そのアニメが明日の深夜から、nhkのbsプレミアムで再放送されます。 これを録画し直せば、ビデオテープが捨てられる。 有り難いことです。
|
No.3959
|
神崎真
2012/07/31/21:37:54
|
pao まま様> それです<サーベルタイガー 今回は、氷の中で仮死状態になっていた個体がツングースカ隕石によって解凍され、シベリアの奥地で細々と生き残っていたのを、悪人がクローンで増やしていたという設定でした。 猫科の生き物って格好いいですよねえ(しみじみ) 特に虎のデザインの完成度の高さと言ったら、惚れ惚れとしてしまいますvv ライオンの赤ちゃんとかの、手足ぶっといバランス悪いのがコロコロしている様も、愛らしくて悶えてしまいますが(笑)
> 田中センセも精進が えー……実はこの感想を書いたあと、 Amazon のユーザーレビューを見に行ってみたら、この作品こてんぱんでした(^ー^;;)<平均で星二つ 精進が足りないというか、老いたというか……昔はむしろ「文章力に定評のある作家」と言われていたのにといった評価が大多数を占めているようで。思い返すと確かに、よくできた「二次創作」を読んでいる気分に近かったなあという気がしなくもなかったり。
iwamoto 様> こんばんはです。あ、名字は略していただいていっこうに構いませんので! pao ままさんちでは真@ミツコになってますし、どうぞ、お好きに呼んでやって下さいませ。
> 十二国記 おお、小野先生の大作ですね! リアルタイムで学生の頃に、本編の存在を知らぬままに外伝「魔性の子」を、続けて一作目を買って読みました。が、当時のピュア(笑)な心には、ヒロイン(陽子)の受難ぶりがあまりに辛すぎて続きが読めなかった記憶があります。いま読んでみたら、また違う感想が出てくるんでしょうかね……? 小野先生の作品はどれも重厚かつ陰鬱イメージがあって、なかなか手が出ません。いまのところ愛読しているのは悪霊シリーズ改め「ゴースト・ハント」全七冊ぐらいです。こちらは女子高生のライトな語り口でありながら、要所要所でおっそろしく怖いホラー物。やはりアニメや漫画などになっています。 「十二国記」は最近になって出版社が変わり、完結に向けて本格的に動き出しているそうで。長年のファンにとっては嬉しいことでしょうね。
|
No.3960
|
paoまま
2012/08/01/11:09:58 [HOME]
|
「十二国記」ですとーーー
今日の深夜にBSプレミアムで再放送ですとーーー わたしもコレ録画していた組です。 もちろんビデオ時代に。
ああ〜どうした事かしら今年の夏は深夜にみたいモノや録画せなアカン番組が盛り沢山やありまへんかぁ〜
どないしましょーー(何故か大阪弁)
|
No.3961
|
iwamoto
2012/08/01/13:17:59
|
完結して欲しいんです。 ず〜〜〜っと、クリフハンガー。
え? paoままさんも? 驚きました。 わたし、名前を芳樹っていうんですが、芳麒とも書きます(笑)
キリンビールは飲んで良いのでしょうか、飲まない方が良いのでしょうか。 宗教上の理由で、「鯉」は食べません。 特に赤い鯉。
|
No.3962
|
paoまま
2012/08/01/16:38:45 [HOME]
|
iwamotoさんの、 >キリンビールは飲んで良いのでしょうか は分かるのですよ、芳麒の「麒」と麒麟つながりですから。
でも >宗教上の理由で、「鯉」は食べません が???です。 広島カープファンって事もナイだろうし・・・??? にゃんだろか?
十二国記は舞台が中華チックだったでしょ。 宮城谷昌光氏の中国の時代小説が好きと言う事もあって、何となく見たら面白くてハマってしまいました。
十二国記多分何冊も出てますよね、原作はどれだけ長いんだろうか・・・
|
No.3963
|
iwamoto
2012/08/01/18:53:19
|
paoままさん、よそ様のところで,こんなに話して良いんでしょうか。 ま、ここなら変なオジイサンも来ないしね。 十二国の世界では、麒麟が王を選びますよね。
既刊のものは全巻持ってますよ。 泣きながら読みました(笑) 泣くのって気持ち良いですもんね。
わたしは鯉軍がリーグ戦に参加した年に生まれました。 スヌーピーと同い年ってことですね。
芳樹パパは中国新聞社に勤めていました。 旧市内の「舟入高校」を卒業しました。 姪達は広島大学の院生です。
現在のところ、堂林のスリーランなどで、リードしています。 きのうは、頭に来る引き分けでしたね。
|
No.3964
|
神崎真
2012/08/01/22:42:25
|
おお、 pao まま様まで食いついていらっしゃる(笑)<十二国記 うわぁん、そんなふうに話題にされると、私も改めて読みたくなっちゃうじゃないですか。買ったは良いけれど、そしてDLしたは良いけれど手をつけていないあれやこれやが、誇張でなく山になって、順番を待っているのに〜〜《o(><)o》
あ、ちなみに今のところ文庫本で11冊(+外伝1冊)出ているそうです> pao まま 詳しくは「十二国記 wiki」でぐぐるとよろしいかと。
しかしちょっと調べてみたら、原作の最新刊は 2001 年に出たっきりなのですね。 それはひどいぶら下がりっぷり……(汗) それでも作者様は 2003 年発行の雑誌インタビューで「一連の事件についてはあと一作書けば決着する。」と発言されているそうですし、七月から新潮社で既刊の新装版が順次刊行されていくということなので、近々最終巻が期待できる、かも……?
> 赤い鯉 うちは家族みなさほど野球に興味はありませんでしたが、いちおう中国地方のよしみでカープを応援していました。最近はサッカーやバレーなどに押されて、一時ほどはTVで野球放送を見かけませんね。
|
No.3966
|
|
|
|
この記事のトラックバックURL
|
https://plant.mints.ne.jp/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/201207303956
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|