よしなしことを、日々徒然に……
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 男女逆転「大奥」
2012年06月12日(Tue) 
やはり録画して積んであった、よしながふみさん原作の映画、男女逆転「大奥」を見ました。マンガ原作の実写化で、しかもジャニーズ主演だしな……とあまり期待していなかったところ、予想以上におもしろくてびっくりしました。

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松竹 2011-04-15

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まず単行本で1冊、水野編だけに話をしぼったのが、映画一作分としてうまくまとまっていたと思います。そして脚本が良い感じに重要なエピソードをとりあげていて、なおかつ多少のオリジナルシーンも追加されており、これは原作ファンにも満足のいく仕上がりだったんじゃないでしょうか。
将軍役も、静止画で見たときは「吉宗にしては威厳が足りなそう……」と感じられたのに、実際に動いているところを見たり声を聞くと、なかなか悪くなかったです。

ただちょっと残念だったのは、漆黒の裃についての描写が、若干足りなかったあたりでしょうか。周囲の人間の装いがマンガほどキラキラしく派手ではないため、「色とりどりの友禅染めの中で、ただ一人黒無地に大きな模様を背中にひとつ」というインパクトが減っていたこと(しかも実際着る前に、衣紋掛けに掛けた状態で画面に映っちゃうし)。地味だと嫉妬混じりの陰口を叩かれながらも、「しかしみな目が離せぬ。きりりと黒一色、少しも見劣りせぬ」と心の内で感嘆される描写が省かれていたこと。そして吉宗が水野を気に入った理由が、「裃が地味(に見える)=質素倹約を心得ている」と思ったから、というのが語られなかったところ。
黒裃にまつわるこの三点は、物語上非常に重要なポイントだと思うので、省かれていたのが非常に残念です。これらがあるからこそ、最後のリストラシーンでの集団黒裃が生きると思うんですが。

あと御中臈のトップ、すなわち将軍の寵愛を競う隠れライバルとして存在する松島役のキャスティングも……正直かなり違和感がありました。ぶっちゃけて言うなら、年をとりすぎ。中の人が1980年生まれって事は、撮影当時30歳ですよね? 実際の大奥では、女性は30歳になると「おしとねすべり」って言って、将軍とは同衾しなくなるそうで。原作でもおしとねすべりについては、はっきり描写されています。年齢は35歳に引き上げられてはいますが。そんな環境で引退間近の年増が寵愛争いのトップに君臨しているのはなんだかなあ、と。最初はてっきり管理職の一人だと思って見ていたので、正直混乱しました。 ……って、いま調べたら、19歳設定である主役の中の人と、松島の中の人って、3歳しか違わないの?? えええ!?

それからもうひとつ、これはしかたのないことではあるんですが……杉下(主役の付き人)が吉宗に気に入られるエピまで話が進まなかったのが、個人的にはとっても残念でした<実は杉下が一番好きvv

私は原作だと水野編……っていうか、吉宗関係のエピソード以降は読んでいて辛くって。立ち読みを含めても、家綱編あたりまでしか目を通していないんです。その後はたして杉下は活躍してるんでしょうか。 wiki によれば、7巻あたりからは吉宗編になっているとか。読んではみたいけれど、その為には間の3冊ぐらいにも目を通さなければならないし……ううむ、どこか古本屋とかで、さらっと流し読みできないかなあ……
No.3819 (映像)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2012/06/13/11:55:46 [HOME]
まこっちゃん、大奥のご紹介有難うござります。
前回の騙王は未だ手に入れておらず・・・
と言うのもナンセ田舎なもんで、本屋へ行ったら知り合いがパートのおばちゃんでカウンターにおりまして、
「あらぁ〜だったら今度入れといて上げるわぁ」と親切に言われてしまい
「いやAmazonに走ります」とは言い出せなんだのジャ。
「入ったら電話するねー」と言われたが未だ電話ナシ。

この大奥は見たい読みたいものジャのう。
何巻くらいを買うのがオススメでござろうか?
てか何巻あるのでしょうか?
以前から興味がありましたが、この度まこっちゃんに火をつけられてしまった

まこっちゃんたらぁ〜
あおるの上手ぅ〜
 
No.3821
 
神崎真  2012/06/13/18:44:34
うわー、なんか目に浮かぶようです(笑)<パートのおばちゃんのありがた親切
そう言われちゃっちゃあ、他の店には行けませんよね……
ちょっと違いますが、私は以前図書館でカウンターの人に顔を覚えられたあげく、「これなんかもどうかしら?」と本を薦められ、既に読んだことがあると言えずに借りて帰ったことがあります。
なお本屋さんでの取り寄せは、「ある程度たまってから手続きをするので、一ヶ月ぐらいは待って下さい」と言われたことがあります。

> 大奥
マンガも映画も、そこそこおもしろいですよ〜。
ただしいわゆる「ぼーいずらぶ(判らなければカタカナで検索してみて下さい)」の香りが漂っている作品なので、苦手な場合は要注意です。映画ではジャニ系二人のキスシーンとかまでありますから……
マンガはB6サイズの単行本が、現在7巻まで出ているそうです。この映画はその1巻目だけを取り上げています。なので作品の傾向を知りたいなら、まず1巻目を買ってみてはいかがでしょう。
ただ1巻(水野・吉宗編)はそれなりに大団円なのですが、それ以降は「大奥」のドロドロ感、やりきれない不条理さが渦巻く、かなり複雑な内容となっていきます。
1巻目は吉宗が大奥についての記録を読み始めるシーンで終わり、2巻冒頭からは時間を遡って三代将軍 家光の話が始まります。これがまた切なくて……(泣)

それは最初に大奥というものを作り出した、春日局の時代。
陰謀と憎しみに翻弄された果て、ようやく互いの心を通わせながらも、世継ぎを遺さねばならない将軍と子のできない側室ゆえに、褥(しとね)を共にすることすら許されない家光とお万の方との、すれ違いと苦しみに満ちた純愛の物語です。
私は3巻までしか持っていないのですが、家光編は4巻まで続き、家綱編と綱吉編の冒頭までが入っているようです。綱吉編は6巻前半まで。6巻後半から家宣編・家継編ときて、7巻後半でようやく吉宗の時代に話が戻ってくるようです。そのあたりは未読なので、たぶんですが。

個人的には3巻のラストが割と気持ちの良いところで終わっているので、とりあえずそこまでだったら切なさも少なく、気持ちよく読めるかもしれないと進言してみたり。

ああそれと、男女逆転ものでサクセスストーリーと言えば、ウェン・スペンサーの「ようこそ女たちの王国へ」という小説もオススメですよ。読書好きの間では、よくこの「大奥」と並び称されている作品です。
 
No.3822

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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