2012年04月17日の読書
2012年04月17日(Tue)
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本日の初読図書: 「一年たって子供ができないなら別れる」 それが夫である真柴義孝から、妻である綾音につきつけられた『約束』だった。 そして結婚後一年が過ぎたいま、二人の間に子供はおらず、義孝には『次の女』が既に用意されていた。 あなたの言葉は、私の心を殺しました。だからあなたも死んでください ―― 綾音はひっそりと心の内で呟いた。 そして義孝が自宅でひとり毒物入りのコーヒーを飲んで死んだとき、綾音は遠く離れた北海道の実家にいた。発見したのは綾音のパッチワークの弟子であり、現在は義孝の愛人でもある若山宏美。 状況から他殺であることは疑いないが、警察は毒の混入経路も動機もまったく解明できない。かなり以前から「子供の産めない女には用がない」と主張し多くの女性を渡り歩いてきたという被害者には、恨みを持つ者も多そうだったが、しかし過去の恋人達の具体的な素性さえ、知る人間はほとんどいなかったのだ。 毒を混入できるのは、発見者である宏美しか考えられない。しかし宏美が犯人であったなら、警察へ通報する前に、現場に残っていた自分に不利な証拠を隠滅しないわけがなかった。また動機の点から言えば、浮気された妻という立場の綾音にも、重大な嫌疑が掛かる。 さらに今回は、容疑者の一人である綾音に対し、草薙が刑事らしからぬ特別な感情を抱き始めているようだった。共に捜査する薫には、彼が公正に判断できていないよう感じられてならない。 そこで薫は今回も湯川へと、「離れた場所にいて、ある特定の人物が口にする飲み物に毒物を混入させることは可能か。ただし痕跡が残ってはならない」という命題を提示し、調査協力を求めたのだった。
ガリレオシリーズの長編。この前に読んだ短編集「ガリレオの苦悩」の、一話目と二話目の間あたりに位置するらしいです。道理であの短編集で、薫さんが急速に親しげになっていると思いました。間にこれが挟まるとなるとしっくりきます。 でもって。 だーまーさーれーたーーー《o(><)o》 というのが読了後の最初の感想でした。くそう、してやられた!<プロローグ 義孝と宏美の会話に違和感を覚えたとき、「ああ義孝が自分本位な適当言ってるよ」と流したのが間違いでした。おのれ、あそこに深遠なる伏線が仕込まれていたとは…… 今回のお話では、犯人も刑事達もそれぞれに人間味溢れていて、魅力的かつ深かったです。っていうか、義孝(と宏美)以外みんなに感情移入してしまって……おのれ義孝! お前がみんな悪いんじゃーーー! と(苦笑) それにしても壮大なトリックでした。詳しくはネタバレになるから控えますが、最後にタイトル「聖女の救済」がぴったりと収まって、唸らせられました。うむ、まさしく(狂信的な意味も含めて)聖女。 ドラマ化するような派手さやケレン味はほとんどありませんが、非常におもしろいお話だと思いました。
……ところでドラマ化といえば、作中で薫さんが福山雅治のアルバムを聴いているのは、やはり作者の遊び心なんでしょうか(笑)
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No.3709
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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